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キャラメイクをしよう。

『RDOの世界にようこそ! 私は女神アリス。あなたの夢をサポートする者です。』



 うお!? 脳に直接声が!

 驚いて顔を上げると、目の前にはこの世のものとは思えないような美女がいた。

 まあこの世のものではないけれど。


 纏う服は半透明で透けそうなのにその実奥は見えないという、いろんな意味で神秘的な格好だ。

 スタイルもよく、顔は神が自ら創り上げた芸術のように精緻だった。


 そこでふと、女神アリスのリアルさに気付いた。

 肌はきめ細かいながらもどこか人間味があり、髪の毛は一本一本のさらさら具合まで手の取るようにわかる。

 そして何より、こうしてじっと観察していると段々困ったように変化していくその表情が、彼女にも感情がそなわっているのではないかとさえ思わせるほど現実的だったのだ。


 ってか俺見つめすぎだろ。

 若干女神引いてるぞ。


 どうしよう。

 何か気の利いた一言を…


「すみません、あなたが美しすぎてつい見とれてしまいました」



 よし! 言ってやったぞ。あまりにも臭過ぎて現実では絶対に言えない言葉! まあそれ以前に言っても気づかれないけど!

 ゲームなら気兼ねなく言えるな。

 いかにもイケメンっぽい気の利いた一言だ。

 さて…反応は?


『ではこれよりゲームの説明に入ります』


 無視か。無視なのか。

 いいさ、無視されるのには慣れてる。

 落ち込んでなんかないぞ!


『このRDOは、皆様が見る夢の一つを再現したような世界です。普通に街で暮らすもよし、鍛冶師になって武器や防具を作るもよし、商人になってお金をたくさん稼ぐもよし、冒険者になっていろんな場所に冒険するもよし。夢見る者(プレイヤー)一人一人に、それぞれ違った人生があるのです』



 なるほど。

 じゃあまるで生まれ変わって新しく人生をやり直すみたいだな。それもファンタジーの世界で。



『この(ゲーム)に明確な終わり(クリア)はありません。皆様には皆様が思うように生きていただきます』



 クリア条件がないのか。

 まあMMO系のゲームをやるのは初めてだし、これが普通なのかもわからない。

 俺は今までRPGを好んでやってきたせいでMMOについてはあまり詳しくないのだ。


『ではキャラクターメイクに移ります。まずは職業を選択していただきます。最初に、戦闘職、生産職、商人、町人の中から一つ選んでください』


「じゃあ……戦闘職で」


 やっぱり男なら戦闘職かなーと。

 それに戦闘なんてゲームならではだしね。


『かしこまりました。戦闘職ですね。では次の中から一つ選んでください』



 女神がそう言いながら一つ手を叩くと、俺の前にスクリーンが現れた。

 そこには戦士、魔法士、盗賊の3つが映し出されており、それぞれに視線を集中させると解説の文章が飛び出して見えた。

 

 【戦士】剣士、拳士、重騎士など、前衛の職業を指す。攻撃力や防御力に優れ、近接戦闘に秀でている。

 【魔法士】様々な魔法を使いこなし、多種多様な戦い方ができる。回復魔法を使える神官もこの分類。

 【盗賊】罠解除や鍵開けなどをこなす一般的な盗賊や、遠距離攻撃に秀でた弓術士なども含まれる。



「なるほど……3つの職業はさらに多くに分岐しているのか。じゃあ、これはあくまで目安みたいなものですね?」


『はい、各種ステータスの参考にするだけです。【戦士】なら筋力等、【魔法士】なら魔力等、そして【盗賊】なら器用さ等です。さらに詳しい職業や転職などは各街にある神殿でできますのでそちらをご利用ください』



 でも果たしてどれがいいんだろう……?

 剣を使う職業もやはりかっこいいと思うし、せっかくだから魔法を使ってみたいとも思う。

 それに俺は部活で弓道をやっているため、盗賊の弓術士というのにも興味がある。もしゲームで上手くなったら現実でも的中率があがるかもしれないしその逆も然り。


 と、悩んでいた俺はあることに気付いた。



「あのー、ここにある【ランダム】っていうのはなんですか?」


 3つの職業が書いてある下に【ランダム】というボタン?があったのだ。

 すると女神は答えた。


『それは3つの職業から一つをランダムに決定する代わりにスキルを一つ覚えることができるというものです』


「どんなスキルですか?」


『ランダムで選択されるものです。レアリティが低いありふれた物を覚える可能性もとても珍しく強力なスキルを覚える可能性もあります』


 ……さて、どうしたものか。

 これではずれを引いたら面倒だけどその反面当たりを引いた時のメリットもでかい。

 それに俺には特にこれと言ってなりたい職業があるわけでもないし……


「じゃあ、ランダムでお願いします」


『かしこまりました』


 そう言うと女神は数秒目をつむった。

 どの職業になるのだろうか、とワクワクしながら待っていると不意に女神が目を開け、俺に結果を告げた。


『あなたの職業は【盗賊】で、スキルはレアリティ4の【影】(シャドウ)です』


 盗賊か…対して感慨もないな。

 ところでレアリティ4というのはどれくらいなんだろうか。

 俺がそう考えたのを読み取ったのか、女神は教えてくれた。


『初期の状態でのスキルは最高のレアリティが5なため、レアリティ4はかなり珍しいスキルとなっております』


「ふーん。まあじゃあそれで」


 どうせ変えられないだろうしね。


『かしこまりました。では次にキャラクターの名前を入力してください』



 その言葉と共に俺の前にキーボードのようなものが現れた。

 んー、まあ別に何のこだわりもないし、Renという名前にしよう。



『Renさんですね。キャラクターの見た目を決めます』


そういうと、俺と同じ姿をしたマネキンが出現した。

んー、どうしようか……。


 ちなみに顔のパーツ等はいじくれるが身長や体形の大幅な変更はできないようになっている。

 なんでも過去に長身の人がVRで低身長キャラになったところ、リアルで体の感覚が少しくるってしまい自動車事故を起こしたことがあるらしいのだ。

 それ以来現実に支障をきたすようなキャラメイクはできなくなっているらしい。


「じゃあ髪の毛の色を水色にして、目を二重にしてください。それと少し目を大きく……もうちょい、あーそれくらいでお願いします」


今のでわかったかもしれないけど、俺が顔の中では目が少しコンプレックスだったりする。

目も一重だし細いのだ。


 しかしまあ、元々俺の顔はそこまで悪くないのだ。

 親が俳優女優だし妹なんてアイドルをやっている。だからブサイクではないし、むしろイケメンの部類に入ってもいいんじゃないかなーと思っている。

 ただ、気づかれない。本当に気づかれない。

 だから自分の顔が素に近い状態どこまでいけるか試したい的な願望もある。

 まあ目元と髪の色は少し変えたけどね。


『以上でよろしいですか?』


俺はコクリと頷く。


『では、キャラクターメイクは以上になります。何か変更したい点はございますか?』


「いいえ、大丈夫です」


『かしこまりました。最後に、この(ゲーム)を良夢にするも悪夢にするも、夢見る者(プレイヤー)次第です。できればあなたの夢が良いものであることを願っています。では、いってらっしゃいませ』



 その言葉を最後に、俺の視界はまた光に包まれていった。

※業務連絡:9/11の2時頃、キャラクターの見た目や名前を変更いたしました。コメントしていただけた通り、リアルそのままの容姿や名前に誕生日を入れたりするのは個人情報的におかしいですもんね。

ご指摘ありがとうございました。



【加筆修正のお知らせ】

2016/9/17/22:50頃

・最初の方の主人公の臭いセリフの前後の地の文を少し加筆。

・3つの職業に関する女神と主人公のセリフに少し加筆。

2016/9/18/10:05頃

・女神のスキルの説明の後の主人公のセリフと地の文を加筆修正

・「ユニークスキル」を「スキル」に変更し、それに伴い前後の文を加筆修正

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