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戦士達ハ世界ニ其ノ名ヲ謳ウ  作者: ユーキ生物
戦士集結編
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第五話 悪ガキ

第五話

悪ガキ


 リオウは森であったであろう土地を北へと歩いていた。


「この辺の木々は焼き払われていて・・・・・・こっちの木々は切り刻まれていて・・・・・・目の前には氷付けにされた木々・・・こいつはいったい・・・?」

「まるでリオウ様の魔術でも使ったかの様な・・・」

「我はこんな無駄なことはせん。したとしてももとに戻す。」

「リオウ殿はそんなことまでできるのか?」

「シゲノブ様、リオウ様は言葉にしたことを現実にする魔術をお持ちなのですよ。森の再生くらい容易く行えます。」

「というより、破壊そのものを無かったことにできるぞ。」

「・・・・・・そうか。」


 概念魔術の凄さを再認識するシゲノブ・・・


「そういえば、侍従長殿もかなりの使い手のようだったが?どういった能力を持っておるのだ?」

「あら、シゲノブ様、乙女の身体のことを聴くのはデリカシーがないのではありませんか?」

「・・・乙女なんて歳でもあるまぃ―――――――」


 シゲノブが言い終わる前に、彼の首には小太刀が押し付けられていた。


「―――――――――っ!?」

「シゲノブ様?口は災いの元と言います。おっしゃることにはご注意くださいませ。」


 ゴゴゴゴゴッ―――――――――

 メイドは笑顔を崩さない―――――――しかし、その背後には修羅の姿が見えているようだった――――――


「とりあえず、あの村に着いたらこの木についても聴いてみるとするか。」


 そう言うリオウの視線の先には小さな村があった―――――――



「――――――神の聖典?」

「ええ、それがこのマステン村の周辺を荒らしている原因です。」


 マステン村の教会の司祭は荒らされた木についてそう答える。


「司祭殿、その話、もう少し詳しく聞かせてくれぬか?」


 思わぬところで出てきた神具の名前、三人は司祭の話に耳を傾ける。


「―――? え、えぇ。――――――御覧になった通り、マステン村は過疎が進んだ土地です。そんな村にも一つだけ、他の土地にはないものがありました。」

「それが、神の聖典――――――」

「ええ、いわゆる神具と言われるもので、不思議な力を持つその本はそれだけで一つの村の魅力となっておりました。この教会で展示を行うことで村は生計を立てるほどに。」

「展示するだけって・・・誰かが所持するということはなかったのでしょうか?」

「はい、後の調べでわかったのですが、神具を使用する際には神通力、という力を用いなければなりません。ですが、この村には誰一人として神通力を扱える者がいませんでした――――――ただ一人を除いては。」

「その一人が、神の聖典を使って村の周辺を荒らしているのですね?」

「・・・はい。彼の名はカルノレット、この教会にいた孤児です・・・まだまだ子供ですが、魔術の、神通力を使う才を持っている子です。彼はある晩に教会の聖典が祭られている祭壇に忍び込み、聖典を奪っていきました。今まで誰も扱えなかった聖典を、カルノレットが読んだ瞬間、その能力を発現させたのです。そしてそのまま『オレにしか扱えないんだから』と・・・」

「取り返すことは・・・できませんよね・・・」

「えぇ、カルノレットはあの聖典を使いこなし、大人をも退けてしまいます。」

「ほぉ・・・フフフ・・・こいつもまた・・・なかなかのじゃじゃ馬のようだな・・・」

「リオウ様、笑い事ではありませんよ。」

「じゃじゃ馬でよい。シゲノブの時も言ったが、能力があれば取り立てる、後のことは我に任せておけばよい。司祭殿、カルノレットとやらは暴れ足りないのであろう?」

「――――はい。カルノレットは能力(ちから)を持て余し、村周辺の森に魔術を―――――」

「そんな暴れん坊は帝国戦士には不適切なのではありませんか?」

「なに、我が力の振るい所を教えてやれば良いだけだ。」

「リオウ様、あの子を、カルノレットを導いてはくださるのですか?」

「任せておくがよい司祭殿。ただし、カルノレットは我が帝国戦士となってもらうがな。」

「リオウ様、そんないきなり・・・司祭様も困ってしまいます。」

「・・・というより、リオウ殿、某はリオウ殿は神体使いを戦士として集めていると伺ったが?」

「能力があれば神具使いでも構わん。何より、あの森の壊し方、我が教育してやねば。」


(・・・わかった気がします・・・きっとリオウ様はこのままカルノレット様が暴れては国にとって脅威となってしまうとお考えなのでしょう。だからその芽を摘むという目的もあるのでしょう・・・)


「神の聖典って何が書かれているのだろうか・・・気になるな・・・何が何でも引っ捕らえなければ・・・」

「確かに、某も少々気になってはいる。一度は拝見したいものだ。」


(きっと、そういうお考えのはず・・・恐らく・・・たぶん・・・)


 いらぬところで悩むセツナであった・・・



 そんなこんなで教会を後にするリオウ一行――――――――


『光よ、神の聖典の使い手、カルノレットの所在を示し導け――――』


 リオウの手元の光が一方向を示す―――――――


「・・・もしかして、某もこうして・・・?」

「はい・・・申し訳ありません・・・」

「謝ることではないが・・・ないが・・・なんというか、このやりきれぬ気持ちはどうしたものか・・・」

「・・・心中お察し致します。」


 あまりに便利すぎるリオウの魔術に二人はやるせない感じになっていた。



 光に導かれてたどり着いた先は、炎の海だった――――――

 その中で怪しく笑う少年・・・


「お前がカルノレットか?」


 リオウは少年に問う。


「―――――だったら?」


 喧嘩腰のカルノレット


「お前、我に仕えぬか?帝国戦士としてその能力を振るわせてやろう。」

「オレを下につけようっての?そういうのはオレより強いヤツが言えるセリフだぜ?アンタ、オレより強いのかい?」


 カルノレットからの挑発―――――


(男性の方のプライドとやらはワタクシには理解できませんね・・・どうして自分が一番上でなくてはならないのでしょうか・・・?)


 そんなやり取りにセツナは呆れていた・・・


「無論、我はこの世を、いや、世界の(ことわり)すらも治める王だぞ。」

「奇遇だな。オレも森羅万象を治める神の代行を任された天才魔術師を名乗らせてもらってる。」

「神の代行か・・・良いだろう。だが、それを名乗るには能力(ちから)の振るい所をわきまえよ。世界を壊して何が神だ。」

「オレにお説教とは、王様ってのは神より偉いんだな?」

「そうだ。王である我が、幼き神とやらに能力(ちから)の振るい方を教えてやろう。」


 ―――――――一瞬の間が空き――――――


「火○っ!!」


 カルノレットが先に仕掛けた―――――――――

 カルノレットの腕が炎へと変わり、リオウへと襲い掛かる―――――


『いかなる炎も我を焼くことはできぬ』


 リオウの言葉で炎はリオウにダメージを与えることはできなくなった――――――


「――――――なんだよそりゃあ!? くっ――――――ならっ!!」


 カルノレットが聖典を(めく)る―――――


「ザケ○ガッ!!」


 今度はカルノレットから雷撃が放たれる―――――


『雷もまた我に届くことはない』


 しかし、それも道を逸れていってしまう。


「・・・・・・シゲノブ様、もしかすると、神の聖典って・・・」

「・・・うむ、恐らく・・・漫画とかであろう・・・」


 セツナ達は神様の娯楽趣味に驚きを隠せなかった・・・


「神様って暇なのかしら?」

「・・・そう思ってしまうのも無理はなかろう・・・」


『全てを流す雨が降り―――――』


 リオウがそう言うと突如雨が降り出し、カルノレットの炎を鎮火させる。


『森は再び生命(いのち)を宿す。』


 今度は燃えた木の下から新たな木が芽を出し、成長していった。


「ハハッ、やるじゃん。王族の概念魔術、確かにすごいけど・・・こういうのはできる?――――――――劫火蒼炎(オーバーロード)弾丸(バレット)!」


 カルノレットが次の術を唱えると、彼の身体から蒼い炎が吹き出し―――――――カルノレットの姿が消えた


「――――――――まったく、携帯小説まで網羅とは・・・神様はかなり暇を持て余していらっしゃるようで・・・」


 リオウの目の前、カルノレットの拳が迫っていたが、セツナがそれを止めていた。


「なっ!?」

「肉体強化の術か、確かに我には使えぬ術だな・・・」


 リオウの概念魔術は「生物以外に干渉かんしょうできる」能力、つまり生物には干渉できず、それは肉体を強化することが出来ないことを指す――――


「王様、いくら何でも仲間に頼るのは卑怯なんじゃない?」

「仲間を率いて戦う力、これもまた一つの能力(ちから)であり、誰にでもできることではない。例えば今のカルノレットに出来ない様にな。――――――シゲノブ」

「御意――――――峰打みねうちで失礼する。」


 リオウが指示するとシゲノブは峰打ちでカルノレットを沈めた。


「くっ――――――!!」

「カルノレット、我がお前に能力の振るい方を教えてやる。だから、我と来い。」

「・・・オレは、力が欲しいんだ。誰にも負けない、理不尽に打ち勝つチカラがっ!?」

「―――――――叶えよう。仲間と共に戦う力、まずはそこから始めてみろ――――――共に来るがいい、我が『夢の戦士 ナレイト・オブ・テスタメント』よ。」

「――――――わかったよ。この『夢の戦士 ナレイト・オブ・テスタメント』主と、そして戦士達と共に戦おう。」


 ――――――ドンッ!!ドンッ!!ダダダダダダッ!!


「―――――何の音だ?」

「村の方からですね――――――スンッ――――!?火薬の匂い!?」


 轟音と共に村から上がったのは炎の柱と煙だった―――――


「行くぞ!」


 リオウ一行はマステン村へ戻る――――――そこは先程カルノレットが森にしていた様に火の海となっていた――――――


「生命反応アリ、迎撃シマス。」


 そう音声を発するのは鋼の身体をした人間型自律思考機械(ヒューマノイドロボット)


「このロボットは・・・テクノリアの兵器ですか。」

「テクノリア?」

「ウェルドラドの北にある技術大国です。ウェルドラドやパペリオンの人の様に特別な道具や能力はありませんが、技術を駆使した兵器で強さを保つ強大な国です。」

「―――――っ!?教会はっ!?司祭様は無事なのっ!?」

「落ち着けカルノレット、いいか、こういう時が、お前の能力(ちから)の振るい所だ。教会と司祭は我とセツナが救出、護衛する。お前はシゲノブと共にこの兵器どもを蹴散らすのだ。」

「でも――――――ううん、わかった。一体残らずガラクタにしてやる!!」

「そうだ、恐れることはない、お前は天才なのだろう?それにお前には立派な名があるのだ。その名を謳い存在を世界に刻め―――――それはヤツらにはできぬ圧倒的なチカラと成ろう。」

「―――――世界に、名を刻む―――――」

「名乗ること、それこそがチカラを振るう者の相手と世界に対する礼儀だ――――――」

「―――――うん!わかった!!」

「それじゃあ、健闘を。行くぞ、セツナ!」

「はいっ!」


 リオウとセツナは教会へと向かう。


 その間に兵器は他の兵器を通信で呼んでいた――――――カルノレットとシゲノブの目の前には50を越える人型の破壊兵器があった。


「ナンダ貴様ラハ?破壊実験ノ邪魔ヲスルナ、排除スル。」


「―――――よかった。一応言葉は理解してくれるみたいだな。」

「ナンダト?貴様、テクノリアノ技術力ヲ知ラヌノカ!?」

「いや、名乗っても相手が聞いてくれないとさすがに悲しいからな。もういいよ―――――破壊兵器(ガラクタども)

「我ラニハPE665部隊トイウ名ガ――――」


「名前ってのは、そういうモンじゃねぇんだよ――――――――」


 リオウに教えられた事を兵器(ガラクタ)達に教えるように、カルノレットはその名を謳い、世界に存在を刻む―――――――――



天資英明てんしえいめい 才華欄発さいからんぱつ 竜麟鳳りょうりんほうの転生者! 神の代行 王の後光ごこう 故郷くにの栄光 天賦てんぷ! 頓智頓才とんちとんさい 将相兼備しょうそうけんび 多種多様なる魔術をって くじく強きを一蹴す!! 『夢の戦士 ナレイト・オブ・テスタメント』 これが・・・これが、帝国戦士としてのオレの名だっ!!」



 カルノレットは高らかに神の聖典を掲げる―――――――


「―――――『王の啓示』」


 カルノレットはそう聖典の言葉を語る―――――――


「カルノレット殿・・・まさか――――――」


『天からは雨が降り注ぎ、その雨は兵器の鋼をちさせる―――――』


 上空から雨が降り始め、村の炎を消し、その雨を浴びた兵器はび始める―――――――


『錆びた鋼は風に乗り、ただの鉄粉へと成る。』


 兵器は錆びた部分から崩壊し、突風に乗って飛んでいってしまう―――――――

 そこにはもう兵器の姿はなかった。


「カルノレット殿、今のは――――?」

「ッハァッ!!・・・ハアッ!!ハアッ、ハァ・・・なんだ、この、消耗具合はっ・・・ハァ、ハァ・・・これが、リオウの使う、神の啓示・・・」


 カルノレットはリオウの、王家にのみ扱うことのできる概念魔術「王の啓示」を使うことができた。しかしながらカルノレットには王家の血は流れておらず、負担がかかるのみだった・・・


 ―――――ゴウッ!!ビュオオオオッ!!


 教会の方より突風が吹き荒れる―――――


「・・・こっちも無事終わったようだな――――カルノレット、大丈夫か?」


 吹き荒れる突風に乗ってリオウが教会より戻ってくる。


「・・・っ・・・うん。なんとか・・・それで、リオウ、司祭様は?」

「教会までヤツたの進行は進んでなかった。無事だ。もうすぐセツナが連れてくる。」

「――――そうか。よかった。」


 カルノレットは安堵あんどし、胸を撫で下ろす。


「――――カルノレット・・・」

「・・・司祭様・・・」


 司祭がカルノレットの辿り着く


「無事、だったのだな・・・いや、いらぬ心配だったか。お前は、これから帝国戦士として戦うのだから・・・」

「うん。オレ、これからリオウ達と一緒に行くよ・・・」

「そうか・・・まぁ、お前の様な悪ガキ、手は焼くし、あちこち壊して金もかかる・・・だから――――」

「司祭様・・・」

「だから、とっとと王の側近になって、教会とこの村をもっと栄えさせるんだぞ――――」


 ――――それが、親代わりの司祭から送られる悪ガキの旅立ちへの手向たむけの言葉。


「―――――っ・・・・・・任せとけって。オレは魔術の天才だぜ、すぐにでもこの村を・・・村を・・・」


 強がっていても、カルノレットはまだまだ子供・・・別れをなんとも思わぬことなどなかった・・・


「必ず、必ず恩返しにくるから、それまで、元気でいてくれよ。」

「・・・うむ。待っているぞ。」



 こうして、若き天才戦士がリオウ一行に加わることとなった。


どうも、ユーキ生物です。


第五話いかがでしたか?

 カルノレットの「神の聖典」は圧倒的ネタ感のある神具はないか?と考えてできたものです。意外とパクリ技は難しくて、読んでくださる人の大半が知っている術、という縛りがやっかいだったりしてます。知らない術だしてたらすみません。更に火○ってもはや何のことか・・・ですよね。メラメラの兄貴の技です。ハイ。


 最初にこの話を考えた頃は玉座決定戦しか考えていませんでしたが、こう、各戦士達との出会いを書いてると、この後の決戦でどっちを勝たせるか今更ながら悩みだしました・・・愛着が湧いてきて・・・どうしようか・・・

 ・・・とか悩んでるとなんやかんや本編がプロットに追いついてきたり、頭を抱えることが多くなってきました。更新頻度が落ちたらお察し下さい。とりあえず六話は確保してありますが・・・。


そういうことで次回更新は9月30日金曜日を予定しております。

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