表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦士達ハ世界ニ其ノ名ヲ謳ウ  作者: ユーキ生物
VS現王政編
33/40

第三十三話 テクノリア城門戦

第三十三話

テクノリア城門戦


 テクノリア王城へと入る門に二人の格闘家が向き合う。


「レイラ、お前もちょうどいいだろう? 『神の血』は神の力を扱う者同士の戦いでは常に劣勢、その点この『神の杭』は誰と戦おうと常にフェアに持っていける。」

「さすが『神の血』の前所有者、よくわかってるわね・・・。」

「そこの少年・・・カルノレットと言ったか。」


 イレアは『神の杭』の範囲外の離れた位置にいるカルノレットに話しかける。


「・・・何かな?」

「ここは格闘家同士の決戦の場だ。余計な手出しは無粋というもの。」

「・・・・・・。」


 イレアの制止にカルノレットは渋い顔を示す。


「さぁ、レイラ・・・来い。」

「・・・・・・。」


(来いって言われても・・・カルと話してる時からずっと隙がなさ過ぎるのよね・・・。)


 レイラは構えはするが動けずに様子を伺う・・・


「まぁ、攻め難いだろう。私も『神の血』を所有している時にはレイラと同じ様に修行に明け暮れていた。努力も経験も長く生きている分お前よりある。いわば私はレイラの上位的な存在・・・勝ち目などないものな。」

「・・・っ!!そのためのオレだっ!!“グラ〇フォール”!!」


 カルノレットは上空高く飛ぶと、重力を利用した飛び蹴りを放つ――――それは『神の杭』の範囲内に入っても重力で加速を続ける。


「そんな直線的な攻撃を見切れぬわけがあるまい。」


 ――――――ゴッ!!


「がっ――――!!」


 ―――――ズザザザザッ!!


 カルノレットの蹴りはかわされ、その腹部に回し蹴りが命中し、カルノレットは一撃で吹き飛ばされてしまう。


「カルっ!?“地泡ちほう”!!」


 隙があるとするとここだと言わんばかりに、レイラの足元を掬う足払い――――


「遅いっ!!」


 ―――――ボキッ!!


 イレアは地を踏むようにレイラの右脚を踏み折る。


「ぐっぅぅああぁぁ!!」

「不屈と名高い戦士だったが、早速立てなくなってしまったな。」

「な、めるなぁ・・・!!」


 折れた脚をひきずり、歯を喰いしばりレイラは立ち上がる。


「アタシは立つ!!回復の能力なんて関係なく!!それこそがアタシの使命!!」

「気概だけでは勝利は掴めない・・・親としてお前に完全なる敗北を教えてやろう。」


 イレアは再び構える。


「―――――アタシが負ける?それこそ悪い冗談ね!!」


 レイラも構えるがもはや歩ける状態ではなかった。


 ―――――グキッ!!


 一瞬でレイラの側面を取ったイレアはレイラの左脚を蹴り折る――――


「ぎっ、あああぁぁぁっ!!」


 激痛を耐えながらレイラはよろけながらも立ち続ける。


「――――その状態でも立つとは・・・口だけではないようだな。」

「くっ・・・!! ・・・っ、立つだけじゃない、父さんに勝つ!!」

「どうやって?もはや立つだけでも激痛が走っているだろうに。――――ふんっ!!」

「がっ・・・ぐふっ!!」


 イレアの拳がレイラの腹部を撃つ――――


「ぐっ――――らぁっ!!」


 レイラは殴られた衝撃で意識が飛びそうになりながらも、カウンターでイレアに拳を放つ――――


「そんなフラフラな拳に当たるほど軟な鍛え方はしてない。」


 ―――――ゴッ!!


 放った拳は捕らえられ、関節技で折られてしまう。


「うっ!! ぎっ・・・!!」

「・・・認めよう。気概だけは負けていなかったよ―――――」


 ――――――ドゴッ!!


 イレアの蹴りがレイラの頭部に命中し―――――その意識を刈り取る。


「―――――がっ・・・!!」

「――――くっ!!レイラ!!」


 その時、意識が戻ったカルノレットが見ていた。


「少年、起きたか・・・だがもはや君らに勝ち目はない―――――何っ!?」

「・・・・・・。」


 イレアの目には再び立ち上がるレイラの姿が映っていた。


「レイラッ!!」

「・・・・・・。」


 カルノレットの呼びかけにレイラは反応しない・・・


「意識はないが、それでも立ち上がるとは・・・だが――――」

「―――させない!!オレが相手だっ!!」


 レイラにとどめを刺そうとするイレアの前にカルノレットが立ち塞がる―――――そこは『神の杭』の効果範囲内。


「少年・・・神の力がないと何もできない君がか?」

「これでも最近鍛え始めたんでねっ!!」


 カルノレットが走り出す――――


「『神の聖典』で何を見たかは知らぬが、そのような身のこなしでは何もできぬぞ。」


 ――――バキバキッ!!

 イレアの蹴りはカルノレットの肋骨を捉え砕く――――


「ぐうぅっ―――!!」


 ―――――ズザザザザッ!!


 カルノレットは再び地面を転がる―――――転がったカルノレットの手には『神の杭』が握られていた。


「へ、へへっ・・・今みたいな角度で突撃すれば、杭の方に飛ぶって『神の聖典』には書いてあったんだ。」

「そうか・・・捨て身の作戦、君の様な子供にしてはよくやった方だと思う。だがな――――『神の杭』は能力の起動にしか使わんのだ。この土地に効力を埋め込むようにな。」

「バカなっ・・・!?」


 予想と反した結果となりカルノレットは狼狽する。


「『神の杭』さえ何とかすれば勝機がある。そう思っていただろう。そんな不安定な能力を大人は選択せんのだ。」

「さっきっからオレらのこと、子供扱いしやがって・・・」

「事実、君らは勢いだけしか取り柄のない子供だろう? そろそろ子どもは寝る時間だ――――」


 イレアの拳が再びカルノレットを襲う――――


 ――――――ガッ!!


「何っ!?」


 その拳はレイラの折れていない手に掴み取られカルノレットには届かなかった――――


「レイラっ!?」

「・・・カルが時間を稼いでくれた間に何とか意識が回復してきたよ。・・・確かに、父さんの言う通り・・・父さんから見たらアタシらは子供かもね・・・でもね・・・カルっ!行くよっ!!」


 フラフラのレイラはその劣勢とは不釣り合いな笑顔をしていた。


「えっ・・・!?」

「子供が大人のマネしても仕方がないでしょ!!子供は子供らしく!!」

「――――!? そうだね。子供らしく―――――ワガママにっ!!『神の聖典』!!」

「『神の杭』の発動空間だ、機能するわけが――――」


 『神の杭』の範囲内でカルノレットは『神の聖典』を構え、堂々と笑う―――――


「“抑えられた反骨精神アンチブラスト”!!」


 ――――パリィンッ!!


 空間を支配していた何かが崩壊する――――


「なっ!?そんな馬鹿なことが――――」

「バカなこと? ハハッ!! 子供だからわかんないなぁ―――」

「『神の血』―――――」

「“ヒ〇ル”」


 ――――――スゥゥゥゥゥ


 レイラとカルノレットの傷が癒えていく――――


「行くよっ!!レイラっ!!」

「OK!!カルっ!!」


 二人は視線を合わせ心を重ねていく――――


「決して割ぬ水の如き闘志の炎―――――“湧き出る不屈の戦士フェニックス”!!」

「闘志に応え燃ゆる猛き炎の拳―――――“魂燃やす永劫の聖火バーニングソウル”!!」


 絶えることなく回復を続けるレイラにカルノレットが無理やり炎を灯す―――――玉座決定戦でレイラをリオウが焼き続けたように―――――でも、今回はその意味合いが攻撃ではなく、強化と違う・・・


「「合わせて創れ――――――“神獣纏身しんじゅうてんしん ver.鳳凰”」」


 レイラが纏う炎が大きな鳥を模す・・・大将戦、キララが発現させた境地“神獣纏身”を二人の合わせ技で創造する――――


 それはまるで――――――才が彩る努力の協奏曲の様に―――――カルノレットがレイラを支援する――――


「飛べ!!レイラっ!!“鳳凰天昇フェニックスライジング”!!」


 ―――――ゴウッ!!


 炎の鳥が大きく羽ばたく――――


「くッ・・・その程度の強化で・・・!!」


 イレアが炎を耐えつつ炎の中心、レイラに向かう――――


「父さん、格闘家としての勝負は次の機会にね―――――カル!!」

「焼き尽くせ!!“烈火爆炎翔れっかばくえんしょう”!!」


 飛翔する炎の鳥の嘴がレイラの拳となり豪炎がイレアを捉える―――――


「くっ・・・う、ああああああああ!!」


 その豪炎は回復もなしに生身の人間が耐えうるものではなかった―――――


 ―――――ドサッ


 焼かれたイレアが倒れる―――――


「今は国を護る方が大切だから・・・二対一でも恨まないでね・・・ありがとうございました。」


 レイラは父に礼をする―――――


 ――――――――テクノリア城門戦 勝者 ウェルドラド軍 レイラ・カルノレット


どーも、ユーキ生物です。


前回は内容盛りだくさんの後書きでしたが、今回は特にはないです。温度差・・・。製作の感想でも・・・現在次作の設定を決めているところなのですが、話の流れとか各キャラの役割とかは割とすんなりパズルのピースを埋めるように進行するのですが、キャラの名前が苦手で苦手で・・・名前を決めようとして2・3日何も進みませんでした。何とかイメージカラーとか決めて、そこから少しずつ決めてますけど、難しいですね。昔からそうで演劇脚本を書いていた頃も部員から「名前なんてなんでもいいんだよ。ジョンでいいんだよ。」とか言われてました。そこまで名前にこだわりはないのですが、何でもいいと手放しになるとなかなか・・・ね。そんな感じで時々滞りつつ進めております。


では、キャラ設定等解説ですが、今回から最終戦・・・というよりリオウとヒカルの話です。少しネタバレになるのかな?あまり影響内容に語ろうと思います。この二人ですが、物語を考えていた当初はヒカルが主人公でした。今でこそリオウの方が主人公っぽいですが。製作を進めるうちにリオウのフィーチャーが多くなって・・・という感じです。ですのでリオウ軍の方が設定は薄かったりしてました。シゲノブとか当初は数行でした。テーマは「弱者VS強者」です。ヒカルおよびヒカル軍は「弱い」というテーマで作られてます。ですのでリオウ軍はその対比として生まれました。「分身(小)、呪いの静電気、弱虫、落ち目の流派、回復のみ、戦闘できない」と「最強の魔術と武術、従者最強の時間系、勝利へ一直線の天才、間合いは全分断しかも引力付、元傭兵、強すぎる能力」・・・こう書くと分かりやすいかと・・・ひどい差ですよね。そんな弱いヒカル軍が強いリオウ軍を倒す、というコンセプトで初めはいました。ですのでリオウのテーマは「強い」です。

いつしかリオウはラブロマンスを持ち、ヒカルよりも主人公っぽくなってましたね。そんなリオウですが、属性は「森羅万象」もはや・・・という自己嫌悪に製作時から陥ってたレベルの中二感ですね(笑)。名乗りですが、

「全知全能 金甌無欠(きんおうむけつ) 森羅万象(しんらばんしょう) 統べる王! 艱難辛苦(かんなんしんく)の闇に在ろうと 我葉一語が(よういちご) 民幸明喜(みんこうめいき)の陽が昇る!! 血より継ぎしは揺るがぬ(じゅつ) 師より継ぎしは強き(わざ) 不動山如(ふどうさんじょ) 揺るがぬ強き王と成り 全ての民を護り抜く!! 揺るぎなき最強の王『ロジカルプリンス』」です。

我は完全で全ての理を治める王である。我の言葉一つでどんな闇でも晴れるだろう。王家の血から得た魔術(王の啓示)と、師から得た技(神の棍)で山のように動かぬ強固な柱として民を護ろう。という意味です。最後の部分はまさに「VS王政編」でディフェンスをしているリオウの役回りですよね。ロジカルプリンスは論理皇子です。はい。どっかの後書きで書きましたが、「リオウ」は「理王」が名前の元になってるので・・・(これ考えるのも結構時間かかった気がする)。

こんなところでしょうか。


次回は6月9日㈮投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ