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戦士達ハ世界ニ其ノ名ヲ謳ウ  作者: ユーキ生物
決戦編
31/40

第三十一話 最終戦② 重なり合う心

「“湧き出る不屈の戦士フェニックス”」

「不屈の回復技か・・・ならば、永劫の苦痛に沈むがいい!!『汝を包むは煉獄の劫火』!!」


 ―――ゴウッ!!


 リオウの言葉に呼応し、黒い炎がレイラを包んだ。




第三十一話

最終戦② 重なり合う心ユニゾン




「くううううっあああああああああ!!」


 焼かれた先ですぐさま回復するが、レイラはその灼熱の苦痛を無にはできない。焼き続けられる拷問の最中にいるも同然・・・苦悶の表情と声を上げ、レイラは膝を着く・・・


「貴様の回復も、こうなってはな・・・気概は立派だが、力の差は歴然だ。もう立つなよ。心が壊れてしまう。」

「――――くぅっ!!お、お気遣い、どうもっ!!“瀑布襲落(ばくふしゅうらく)”!!」

「『貫け巨岩の槍』」


 ――――ゴゴゴゴゴゴゴ・・・ドゴォ!!


「くふっ――――かはぁっ!!」


 炎に焼かれながらも踵落としを仕掛けようとしていたレイラの背後の地面から鋭利な岩が突き出し、レイラの中心を貫く―――


「貫かれたままだと回復はどうなのだろうか。」

「はぁ・・・はぁ・・・残、念ながら、それでも、アタシは立ち続けるわ。」


 ―――――ゴウッ!!


 レイラの貫かれた腹部から炎が上がり、岩を焼き切る。


「岩を焼くその火力を攻撃に使えればいいのだがな。」

「・・・アンタ、よく、わかってるわね・・・アタシも、同意見よ。」


 致命傷を何度も受けているレイラの精神は疲労を隠しはできなかった。


「これは困った・・・どうやって墜とそうか・・・」

「へへ・・・さしものリオウも、手を、こまねくか・・・」

「・・・『煉獄の劫火、焼き尽くせ!!』」


 レイラを包んでいた黒き炎が火力をあげレイラを埋め尽くす――――


「――――っ!!」


 レイラは焼かれない・・・しかし、その顔には苦痛を超えた絶望の表情が浮かび、もう声をあげることすらできなくなっていた――――


「そのまま膝をつき、蹲っていた方がいい、その方が、お互いのためになる―――――」


 リオウも流石に骨が折れるようで交渉に入る。


「はは・・・バカ言っちゃ、いけないよ。アタシが、倒れるわけにはいかないんだよ――――」

「・・・くっ・・・好きにするといい。」


 リオウは悔しそうに背を向き―――――


 ――――パチンッ!


 指を鳴らす――――


 ――――シュボッ!


 すると、レイラを覆っていた黒き炎が消えた。


「えっ・・・!?」


 ―――ドサッ


 安心感からかレイラは脱力しその場に倒れてしまう。



「レイラ、よく耐えてくれた。」



 レイラの耳に届いたのは――――


「ヒカル・・・」


 彼女の信じる王の声―――


「後はボク達に任せて――――」




 一分前


「コウ!カケル!大丈夫!?」


 ヒカルはセツナと戦うコウとカケルの加勢に来ていた――――


「ヒカル様、そのように無闇に敵に近付いてはいけませんよ。」


 セツナがヒカルに接近する――――その首元にはコウの刀が在った。


「それ以上は許さん。」

「―――!?」


 コウの刃に気付くとセツナはバックステップで距離を取る―――


「『コウもカケルも傷が癒え、全力以上で戦える』」


「しまっ――――!!」


 セツナが下がった隙にヒカルは二人を回復する―――


「コウ、カケル、時間がない『二人で協力して一分以内に勝負を決めるんだ』」


「「―――承知!!」」


 二人の目つきが変わった。


「先程のは少々驚きましたが、いくら強化しようと、ワタクシの時間遅行の前では次元が一つ違うのですから―――」


「行くぞ、カケル!」

「おっけー、コウ!」

「「―――――“重なり合う心ユニゾン”」」


 王が照らす舞台で、空間を速さで支配するカケルと、今という次元を掌握するコウの一分限りの二重奏デュエットが始まる――――――


「“静止する世界オーブ”」


 セツナは時間遅行を使い勝負を決めに行く――――


「ホントにこの能力、ズルいよな。」

「確かに、二人ががりでやっとイーブンなんだもんね」


 時間がゆっくり流れる世界には一切時間が遅れていないコウとカケルがいた。


「・・・!?」

「時間がないから、早速種明かしだ。」

「コウ・・・時間遅行の世界だからそこまで急がなくても・・・」

「まぁ、一秒でも早くってことで・・・さっき発動した“ユニゾン”は俺とカケルの神具の能力をシェアするのさ」

「コウの知覚からの未来予測と僕の速さ、合わされば時間遅行を打ち消せるってワケ。」

「そ、そんな機能・・・」

「もちろん、あるわけないさ、でもヒカルができるというんだ、絆の見せ所だろ?」

「コウと僕の仲を信頼されて、照らされて、応えない訳にはいかないでしょ。」

「無茶苦茶な・・・」

「まぁ、無茶苦茶かもな・・・でも、二人で力を合わせることができる、その状況アドバンテージを作ったのは俺達の努力だ。ズルいなんて思わないでくれよ。」


能力が機能しなくなったセツナは二対一に敵うことはなく、一瞬で倒されていた。


「コウ、カケル、連戦で悪いが―――」

「次は、リオウだな。」

「セツナさん、素で結構強かったね・・・」

「そうだったの?ボクには一瞬で勝負がついていたように見えたけど・・・」

「その辺も追々話すよ。今はレイラだ。」


 三人はレイラの元へ向かうのだった。



「『レイラは元気になる』」


 焼かれ続けたレイラの精神も回復し、ヒカル軍は四人となる。


「四対一・・・降参は――――」

「―――するわけなかろう。今まで戦ってきた仲間に申し訳が立たぬわ。」

「それでこそ、ウェルドラド第一皇子リオウ・・・尊敬する兄上だ。」


 リオウとヒカルは向き合う―――


「強くなったのだな、ヒカル。」

「ボクだけの力じゃない、仲間がいなければここまで来れなかった。」


 そういうヒカルの後ろにはその仲間たちが堂々と立つ――――


「ふっ・・・最後まで、良い戦いができそうだ。無論、勝つのは我だがな・・・。」


 一人になってもリオウは棍を構える――――――



「ヒカル様――――――!!」


 突如ベルが会場に飛び込む――――



 ―――――――――ドンッ!!



 リオウがヒカルたち一歩踏み出すその瞬間、天空コロシアムが爆音と共に揺れた。


「何だっ!?」


 警戒体勢に吐いたリオウが棍に炎を纏わせ、カケルが情報を得ようと天へと駆け出し、コウが全神経を研ぎ澄ます―――――


「――――『神の杭』」


 コロシアムの中央に銀の杭が刺さる――――


「何っ!?」

「えっ?」

「ん?」


 リオウ、カケル、コウが同時に疑問を口にする――――

 リオウの棍は炎が消えて

 カケルは天から落ち

 コウは『神の鎧』がはずされていた


「落ち着いて話すために君たちの能力を封じさせてもらった。」


 『神の杭』を足元に刺した人物・・・イレアが告げる。


「イレアさん、これは・・・?」

「少しタイミングが早かったが・・・次代を担う若者達よ、よく聞くがいい。これから現王政は北のテクノリアと協力し、ウェルドラドを、墜とす――――これは、戦線布告だ。」


「リオウッ!!」


 イレアが告げる中、ルゥムが慌てたようにコロシアムの戦場に駆けて割って入る。


「ルゥム、どうした!?」

「リオウ、ソフィが、ソフィが攫われた―――!!」

「何だとっ―――!?」


 ソフィ誘拐の情報にリオウが動揺する――――


「すまんな。テクノリアに協力を依頼する報酬で、彼女を欲したのでな。」

「イレア――――!!」


 リオウが怒りを露わにする――――


「いいか、明日の夜明けと共に、我々はウェルドラドに総攻撃を仕掛ける。投降するも交戦するもこの国の王たるお前たちが決めるんだ。」


「ソフィ・・・!!」


 リオウは拳を強く握る。


「兄上!!」

「・・・ああ!!わかっている、ヒカル、我々は国を共に護るんだ。戦士達を集めてブリーフィングだ。」


 次代の王達が、現王政から国を護る戦いが始まる――――

どーも、ユーキ生物です。


さて、長かった「決戦編」が終わりました。決着はつかず・・・ありがちでしたかね・・・とにかく、次回からは「VS現王政編」になります。そして、「VS現王政編」は「戦士達」の最終章となります。・・・書いてるうちに続きのアイデアが出てきて正直迷ってましたが、初志貫徹で、ひとまず最終章とします。

ということで、だいたいこの辺で次作について語りだします。とりあえず次作のプロットどころか「VS現王政編」のプロットももう少し残ってるので、詳しい情報は次回以降とします。


さて、毎度恒例のキャラ解説ですが、今回から大将戦の二人になります。

大将戦のテーマは「忌み子対決」です。ですがソフィとキララの決定的な差は能力の方向性です。ソフィは強力過ぎたチカラ、いわばプラスの過剰ですが、キララは迷惑なチカラ、マイナスです。救われ方もソフィはリオウがなんとかするというリオウが軸となっていて、キララはヒカルはなんとかするために努力するという一緒に悩んであげるという形になってます。

今回はソフィです。リオウ軍が先ですので。ソフィのテーマは先程もありましたが「プラス」です。あんまテーマっぽくないですけど。属性は「氷雪」まぁ、こおりタイプです。余談ですが私はグレイシアを好んで使います。SM世代では氷パを作ったりしてました。強くはないですが。

名乗りは

万里雪原(ばんりせつげん) 雨露霜雪(うろそうせつ) 氷城嵐雪(ひょうきらんせつ) 雪魄氷姿(せっぱくひょうし) (はる)()(とき)を待ちわびて (おの)能力(ちから)を悔いて尚 氷甌雪腕(ひょうおうせつわん) 磨く腕 (ことわり)集いし 花風星雪(かふうせいせつ) 氷姫(こおりひめ) 翼の嵐と(あい)(たい)し 月の剣閃(けんせん) 星の(つい)から受け継いで 咲き誇る才へと紡ぎ行く!! 凍てつきし『空の戦士 ホワイトスノープリンセス』」です。

ソフィの名乗りは最後に作りましたので造語多めです。最初はとにかく強い氷のチカラを表現してます。そんな氷と雪に包まれ、光が通らず寒い冬には必ず暖かくなる春がやってくるから私は強力過ぎる力でも高めよう。理の王に集まった四季の戦士達、その冬の戦士である氷姫である。夏の戦士である翼の嵐と相対し、月の光のごとき剣閃、そして星の鎚の秋の戦士から季節を継ぎ、才が咲き誇る春の戦士に繋げる戦士なり。という意味になっています。リオウの戦士はうっすらですが時間、四季をテーマにしてます。ではヒカル軍は・・・。『ホワイトスノウプリンセス』は『白雪姫』です。雪女と言われていたソフィを姫にした名です。

とりあえず今回はここまでです。次回はキララの解説になります。


章が変わるので一週お休みして、次回は5月26日㈮を予定してます。

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