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戦士達ハ世界ニ其ノ名ヲ謳ウ  作者: ユーキ生物
決戦編
29/40

第二十九話 大将戦② 謳い、照らされ、輝くことを知る。

 ―――――ドゴオオンッ!!バリバリバリバリッ!!


「はああああああああっ!!」


 ―――――ゴウッ!!ビュオオオオオオオッ!!


「おおおおおおおおおおっ!!」


 キララとソフィ、二人は渾身の一撃を放つために「溜め」に入る。そして、会場は雷と吹雪で満たされていた―――――



第二十九話

大将戦② 謳い、照らされ、輝くことを知る。



 訓練中にセツナは対戦相手のヒカル軍の情報を皆に話していた。


「セツナさん、それで、私の相手は・・・」

「ソフィさんの対戦相手、金髪の雷使い、名をキララ、というそうです。神具は『神の槍』、雷を蓄え、増幅させ、放つという神具の様です。攻撃SS 防御C 敏捷D といったところでしょうか。」

「・・・? 蓄えて増幅して放つって・・・雷はどこから来るんですか?」

「雷はキララさん自身が持つ異能の様です。ですので弱点としては―――――」

「―――――充電切れ、ですか。」

「その通りですソフィさん。大技やラッシュなどでキララさんの溜めた雷を使い果たさせれば、大きな隙が生まれます。」



「・・・・・・。」


 凍気を溜める中、ソフィはそのやり取りを思い出していた。


(セツナさんの助言を考慮するなら、この撃ち合いは“防ぐ”だけでいい。一点に凍気を凝縮して、力を温存する――――拡散させるだけでいい。)


 ソフィは狙いを絞る―――――


「はああああああああっ!!“大解放 アブソリュートレイザー”!!」

「おおおおおおおおおっ!!“氷凍旋烈波ひょうとうせんれっぱ”!!」


 ―――――ドッ!!


 青白い雷と純白の吹雪がぶつかり合う―――――


「ものすごい威力だぁ!!実況席も寒くて痺れます!!」

「・・・・・・。」

「マナさん?」

「ユイさん、見てください。」

「え?」


 実況のユイの視線の先には、一帯を焼き尽くさんとする雷を鋭利な吹雪が跳ね除け散らす姿だった。


 ――――――ビリビリビリッ!!


「―――――ぅ!!くうぅ―――!!」


 拡散させた雷がソフィに絡みつく――――


「はああああああああっ!!」


 キララの雷が更に勢いを増す―――――――――が


 ――――――ドオオオオオオンッ!! バリッ!! バリバリッ!!


 雷の砲撃は止み―――――


「―――――っ、ふうっ!!ふうっ!!」


 そこには純白の肌に焦げを作りつつも、雷に包まれながらも、轟雷を防ぎ切った白雪姫の勇ましき姿があった――――


「はぁ・・・はぁ・・・な、なんで・・・!?」


 ヒカル軍最強の攻撃を防ぎ切られたことに驚きを隠せないキララ――――


「ソフィ様防ぎ切った!!・・・ですが、さすがにパワーの差は明らかかっ!?」

「ユイさん・・・今のはソフィ様が能力ちからを温存してました。ちょっと安直過ぎですよ。」

「・・・どうして温存していたのでしょうか?」

「それはもちろん――――――決定的なチャンスを作るためですよ。」


「はぁ・・・はぁ・・・キララさん、あなたの神具は溜めるものでしたね・・・ですが、私は――――」


 ―――――ゴオオオオオオオオオオッ!!


 そういうとソフィは再び凍気を溜め始める―――――


「くっ・・・・はぁ・・・はぁ・・・もう・・・」


 ―――――バリッ バリッ


 息も絶え絶えにキララは再び蓄電を開始するが――――


「――――私も確かに・・・厳しいけど・・・反撃されないのなら・・・これで、充分!!“氷烈波ひょうれっぱ”」


 ――――ビュオオオオオオオッ!!


 先程の“氷凍旋烈波”ほどの凍気には届かないが、強烈な凍気が反撃の隙を与えずにキララを襲う――――


 吹雪の白さが晴れた時―――――――そこには氷漬けにされたキララの姿があった。


「ソフィ様、決まった―――!!」

「・・・作戦勝ち、といったところでしょうか。」


 氷漬けにされたキララを確認して、イレアは宣言のために息を吸う――――


 ――――ドゴオオンッ!!バリッ!!バリッ!!


 突如、天からの落雷が氷に包まれたキララを直撃していた――――雷は氷を砕き――――そこには使い果たしたはずの雷を強烈に纏うキララが立っていた。


 それを見たイレアは一歩下がった。


「そんなっ!?どこにそんな雷が!?」


 予想外の出来事に取り乱すソフィ。


「もちろん、私自身から。」

「ありえませんっ!?キララさんの能力では静電気程度のはず――――」


 慌てるソフィにキララは落ち着いて問う。


「ソフィさん、ヒカルさんの能力は知ってますか?」

「・・・仲間に力を与える言霊、ですよね?でもそれはこの戦いには使用できないはず・・・」

「確かにヒカルさんの能力はこの戦いには使えません、というより、その前、ヒカルさんの能力をソフィさんは誤解してます。」

「・・・えっ?」


「マナさん、今のキララ様の話・・・」

「・・・いえ、私にわかりかねます・・・」


 アナウンスの二人もキララの言葉には言葉をなくす。


「では、ご説明しましょう・・・まず、どうして私達戦士は名を謳うと神通力が強化されるのでしょうか?」

「神にその存在を知らしめて、神の力を分け与えてもらうため、でしょう?」

「ええ、その通りです。神に存在を認知させることが強くなることには必要なのです。では次にヒカルさんの言霊です。あれはリオウさんの万象を操る言霊とはかなり違うものです。ヒカルさんの言霊は、言霊を掛けた相手を照らし、その存在を神にさらに知らしめるものなんです。」

「・・・・・・。」

「そして、私はヒカルさんに言霊を掛けてもらって、もう一つ、その上があることに気付いたのです。」

「・・・それが、さっきの・・・」

「はい・・・謳って知らしめる、照らされ知らしめる、そして・・・私自身が自ら輝くことで・・・さらに強い神の力を得ることができるのです―――――それが、この能力ちから!!」


 ――――――――ドッッ!!


 キララから雷が溢れ出る――――


「――――――“神獣纏身しんじゅうてんしん ver.麒麟きりん”」


 溢れ出る雷は四足の神々しい獣の姿を模す――――その獣の額には角となる『神の槍』が――――


「――――――――――――――はっ!? わ、私だって――――!!」


 あまりの神々しさに一瞬意識が飛んでしまうソフィ・・・しかし、すぐさま反撃のための力を溜め始める――――


 麒麟の雷の中、キララは祈りを捧げる――――


「ありがとう、ヒカルさん・・・私の、私の『鬼の呪い』は鬼のものなんかじゃなかった・・・!!それを教えてくれて、ありがとう・・・生まれたことを悔やんだこともあったけど・・・ヒカルさんと出会えて、本当に良かった・・・ありがとう・・・・・・愛してます・・・。」


「二人ともとてつもないエネルギーを溜めています!!これは、砲撃をぶつけるタイミングも大切ですね!!」

「―――いえ、そんなことはありません。ここまで来たら放つタイミングは一つでしょう。」

「マナさん? そのタイミングって?」

「―――――――二人の溜めが終わって全力でぶつかり合える準備ができた時ですよ。」


 キララに集まる雷撃も、ソフィに集まる凍気も、その凄まじいエネルギー量とは裏腹に今度はとても静かに溜められていた――――


「―――――――“世界を消し去る雷撃アノミー”」

「―――――――“世界を静止する氷撃ステンドグラス”」


 ――――――――――ゴッ!!


 自然災害すらをも凌駕する蒼白の雷撃と純白の吹雪が再びぶつかり合う―――――コロシアムはぶつかり合うエネルギーで激しく振動する――――――


「―――――――っ!!す、スゴいエネルギー・・・これが神獣纏身・・・輝きによる強化ってこと!?・・・」


 徐々にソフィが押され始める・・・


「・・・っ・・・マズい・・・このままだと・・・!! っ!!おおおおおっ!!」


 せめぎ会う雷と吹雪は吹雪が徐々に、徐々に後退していく・・・


「っ・・・くっ・・・も、もうっ・・・!!」


 圧倒的雷撃を前にソフィが膝を着きかけた、その時―――――


 ―――――――ストンッ


「―――――――『神の杭』」


 ――――――――スッ


 コロシアムから雷も吹雪も消えてしまった――――――


「そこまで!! 玉座決定戦大将戦、両者引き分けっ!!」


 そう宣言するイレアの足元には銀の杭が刺さっていた。


「なっ!?」

「そ、そんなっ!?私、まだ戦えます!!」


 二人の抗議にイレアが首を振る。


「これ以上続けたらこの天空コロシアムが崩れてしまう。ある程度は耐えられる魔術がかけてあるが、お前らの攻撃の威力がそれを超えたんだ。悪いが会場が耐えられないため強制的に試合終了とさせてもらう。」


「なんとっ!!キララ様、ソフィ様の攻撃の威力が強すぎたため大将戦はまさかの引き分けで終了っ!!」

「最後まで見たかったですが、仕方がありませんね・・・」


「・・・この場合、私たちは最終戦には・・・」


 薄々わかりつつもキララはイレアに問う。


「無論、二人とも不参加だ。参加したところで同じ結果となろう。」

「・・・・・・わ、わかりました。」

「そう悲観することもない。ここまでやった者は歴代にもいない。お前たちはその渾身の一撃に自信を持って良い。」

「「・・・・・・。」」


 イレアの慰めも二人の耳には大して入っていなかった。


「これにて玉座決定戦のいわゆる予選が終了しました!!」

「最終戦に参加可能な戦士が決まりましたね。」

「はい!!最終戦、リオウ軍はリオウ様とセツナ様の二名!!そして、ヒカル軍からはヒカル様、レイラ様、コウ様、そしてカケル様の四名が参加資格を得たことになります!!」

「二対四・・・ヒカル様は直接戦闘はできませんし・・・セツナ様の強さも尋常ではありません・・・正直なところ私も予想がつきません・・・。」

「当初は明らかにリオウ様優勢という世論でしたが、最終戦まで来てまさかの五分五分・・・いえ、ヒカル様優勢という状況になっております!!誰がこんな展開を予想できたでしょうか!?」

「ヒカル様も王位継承権を持っております。やはり素質があった、ということでしょう。」

「明日の最終戦、こうご期待ですっ!!」



――――夜 リオウの部屋


「・・・すいませんでした・・・リオウさんと一緒に戦えなくなってしまいました・・・。」

「残念と言えば残念だが、よくあれほどの相手に食らい付いた。二対五はさすがに厳しい、よくやった。」

「・・・はい・・・。」

「さすが、我の姫・・・戦う姿、美しかったぞ・・・ゆっくり休むんだ。」

「・・・はい、ありがとうございます。」



 ――――時を同じくして ヒカルの部屋


「キララ・・・その・・・今日の戦いで最後・・・ハッキリ聞き取れなかったんだけど・・・何て言ってたの・・・?」


 ヒカルはキララに問う。


「あ、あれは・・・その・・・」


 キララは戦い中の告白を思い出し、顔を赤らめる・・・


「その・・・さ、最終戦、ヒカルさんが勝ったら、改めて、お伝えします・・・」


 キララはチキったのだった。



 夜が明け―――――次期皇帝を決める最後の戦いが始まる。

どーも、ユーキ生物です。再びの投稿延長失礼しました。


さて、戦士戦が終わり、次回から最終戦となります。勝つのはどちらか――――

大人数での立ち回り、頑張って書きますので、ご期待ください。


では、恒例の名乗りに関してですが、今回から副将戦ですね。副将戦のテーマは・・・まぁ、戦いはほぼ一瞬で終わって終わってしまうのでテーマもクソもないですよね。今回はリオウ軍のセツナです。セツナの属性は「斬刻ざんこく」・・・末期かもしれませんね。時期中二の倍くらいの歳になりますが・・・。

名乗りは

王候将相(おうこうしょうそう) 金枝玉葉(きんしぎょくよう) 英雄豪傑(えいゆうごうけつ) 見初められ 尽忠報国(じんちゅうほうこく) 戴月披星(たいげつひせい) 雌伏雄飛(しふくゆうひ)に在りたまふ。 絶類離倫(ぜつるいりりん)の力を継ぎて、かつての誓い その御身(おんみ)と共に護るべく 胸に潜む(やいば)とならん!! 潜み支えし『時の戦士 ブレイドオブエンペラー』」

リオウの超人的な能力ちから、その人柄に見初められて国に一生懸命遣えている。絶対的な力を持ってリオウとの誓いと身体を護る王の懐刀となる。という内容になっております。

『ブレイドオブエンペラー』は「皇帝の刃」です。セツナは「従者」ということに特化させていますが隠れた特別な忠誠心がリオウに対してある、というテーマになっております。


では、次回はゴールデンウイーク挟みますし、何とか一週間で投稿できるように頑張ります。

次回更新は5月5日㈮を予定しております。

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