第二十八話 大将戦① 雷轟き、吹雪刺す。
―――――ヒカル軍控室
「おお・・・正装姿も凛々しくて美しい・・・」
「ヒカルさん・・・」
正装に身を包むキララにヒカルはそれしか言えず、見とれていた。
―――――リオウ軍控室
「ソフィは戦士の服も似合うな・・・綺麗だ。」
「リオウさん・・・」
こちらもソフィの正装に釘付けになっていた。
王家の兄弟はやっぱり兄弟だった。
第二十八話
大将戦① 雷轟き、吹雪刺す。
「やって来ました大将戦!!」
「まだ最終戦があるといえ、なかなか感慨深いモノがありますね。」
「大将戦の戦士が入場してきました!!」
ユイが盛り上げる中、白と金の戦士がゆっくりとコロシアム中央に向かう。
「リオウ軍からは神体『神の左腕』を宿す白き少女、ソフィ様!!そしてヒカル軍からは神具『神の槍』を持つ金色の少女キララ様!!」
「お二人共かなり高貴な色をしていらっしゃいますね。」
「ですが・・・こういってはなんですが、お二人とも身のこなしがユイから見ても戦士っぽくないって言いますか・・・」
「心配しないでください。私から見てもそうです。」
「どうして最後の戦いがこの二人なのでしょうか?」
「大将戦ですから、求められるモノは身のこなしだけではありませんし・・・戦ってみないことにはわかりませんが、お二人共既に凍気と電気を帯びてますよ・・・恐らくは各軍の高火力アタッカーといったところでしょう。」
「ほうほう・・・」
「とはいえ、高火力アタッカーでも高火力攻撃への持って行き方は重要ですから、身のこなし、近~中距離戦をどう征するかは大切です。」
「そんなところも注目ということですね!!」
ユイとマナが話す間にソフィとキララはイレアに礼をしていた。
「両者、開始位置3へ!!」
イレアが高らかに告げる。
「開始位置は3!!両者の間隔は十五メートルほどの中距離!!」
「二人とも武器での近接戦も術技での中距離戦もできますから、これは展開の予想がし辛いですね・・・」
「マナさんも予想ができない試合だそうで、注目です!!」
「玉座決定戦、大将戦―――――いざ、尋常に・・・はじめっ!!」
「“中解放 ノンワイヤサーキット”!!」
「“氷壁楼”」
―――――――バチバチバチッ!!
キララの横に構えた槍から雷撃が広く放たれるが、ソフィは氷の壁を造り雷撃を遮る。
「キララ様の雷撃はソフィ様の防御に阻まれた!!」
「ソフィ様の凍気と今の雷撃で砕けた氷の粒で視界が悪いですね――――ソフィ様が仕掛けますね。」
白く霞む空間でソフィが一気にキララとの距離を詰める―――――
「“氷武器結晶 氷突撃槍”!」
―――――ビキビキビキッ!!
氷の突撃槍を手にソフィはキララに突撃する――――――
「氷の大槍だー!!」
しかし、ソフィの速度はそこまで速くなく、キララに接近を悟られてしまう。
「“小解放 ノーブレスダンス”」
キララの槍が雷を纏い、キララは振りかぶり迎撃準備をする――――
「氷槍対雷槍!!どっちに軍配が――――!?」
氷の突撃槍がキララの間合いに入る――――――
「“氷武器再結晶 氷双刃”」
「――――――えっ・・・?」
―――――その直前、ソフィの大きな突撃槍の姿が消え、ソフィの手には二つの氷のナイフ、さらに身軽になったソフィが速度を上げキララとの間合いを一気に詰め―――――
「くっ―――――――!!」
――――――バリバリバリバリッ!!
雷速の槍が間一髪で氷の刃を受け止めていた――――――
「・・・今のを止めますか・・・正直自信あったんですが・・・」
ソフィはキララの対応を悔しそうに称賛する。
「いえ、本当にギリギリでした・・・槍が消えた時には思考が一瞬飛んでしまいましたし・・・」
「“氷武器再結晶 氷剣”」
再びソフィのナイフが消え、今度は氷の剣がソフィの手にあった―――――
「―――――遅いっ!!」
――――ビリビリビリッ!! バリィンッ!!
キララの雷槍がソフィの氷の刃を砕く――――
「ぅ――――キャアアアアッ!!」
そのまま雷槍はソフィを襲った。
「キララ様の槍がソフィ様に決まった!!ソフィ様が仕掛けた近接戦闘でしたが、軍配はキララ様に上がった!!」
「ソフィ様の武器が変化する仕掛けもなかなかのものでしたが、純粋な速度がキララ様にはありましたから、対応されてしまいましたね。」
―――――ビュオッ!!ピキピキピキ――――
吹き飛ばされたソフィの周囲を凍気が覆う――――
「先に謝っておきます、手加減はできませんので、私は次の攻撃でアナタを殺してしまうかもしれません。」
明らかに高威力攻撃をすることを示すソフィ―――――
(自信があった氷武器再結晶の近接戦が通じないとなると、後は純粋な火力勝負に持ち込むしかないですね・・・)
―――――ドゴオォンッ!!バリバリバリバリッ!!
ソフィの凍気に呼応するようにキララの雷も『神の槍』の増幅機能をフルで起動し、その威力を溜め始める―――――
(雷を増幅する時間が欲しいな・・・)
「アナタがどうしてリオウについているかは知らないけど、私は鬼の呪いから救ってくれたヒカルさんの恩に報いたい・・・だから、負けるわけにはいかないの!!」
「鬼の呪い?」
「私の神具『神の槍』はあくまで充電と増幅しかできない・・・この雷は私の呪われた体質が生み出しているもの・・・」
「へぇ・・・なんか、シンパシー・・・私も、強力過ぎた能力の暴発で迫害されていて、閉じてしまった心をリオウさんに救ってもらったんです・・・」
「なんか・・・アナタのこと、少しだけ近く感じたわ・・・」
人知を超え過ぎた能力を持つという似た境遇に共感する二人―――――
「「でも――――」」
「私の方がヒカルさんへのために――――」
「私の方がリオウさんのことを――――」
「「――――――想ってる!!」」
―――――ドゴオオオオオオオオンッ!!
―――――ゴオオオオオオオオオオッ!!
蒼き雷電と白き吹雪が天空コロシアムの会場を満たす―――――
「「聴けぇ!!彼方の前に在りたるは世界を統べる王の姫―――――」」
想う王のために―――――
「「世界を消し去る戦姫なり―――――!!」」
戦姫達は世界にその存在を刻むべく名を謳う――――――
「聚蚊成雷 雷霆万鈞 迅雷風裂 覇者の槍 我が身に宿りし悪鬼の呪縛 一会の縁 旱天慈雨の明珠に成さんと 金碧輝煌の光を放つ!! 轟きたる『雲の戦士 シャインブループラチニウム』 推参っ!!」
「万里雪原 雨露霜雪 氷城嵐雪 雪魄氷姿 春告ぐ刻を待ちわびて 己が能力を悔いて尚 氷甌雪腕 磨く腕 理集いし 花風星雪 氷姫 翼の嵐と相対し 月の剣閃 星の鎚から受け継いで 咲き誇る才へと紡ぎ行く!! 凍てつきし『空の戦士 ホワイトスノープリンセス』―――――参ります!!」
―――――――バリバリドッゴオオオンッ!!
―――――――ビュオオオッピキピキピキ!!
二人が名乗ると、纏うエネルギーが更に膨らみ、客席まで届きそうになる――――――――
戦いは最大火力の砲撃戦へとシフトする――――――
どーも、ユーキ生物です。
予告なく投稿を延長していまい申し訳ありませんでした。新生活でリズムがあまりうまくとれませんでしたし、慣れない環境で疲れてしまい時間があっても集中して書けませんでした。今後も少し様子見で投稿をしていきます。(不定期としてしまうとダラダラと先伸ばしにしてしまいそうなので1週間単位で)
さて、恒例のキャラ設定ですが、今回は中堅戦のカケル君になります。カケル君は前回も書きましたが、「勇気」をテーマとしてます。属性は「駿歩」。
名乗りは「萎縮震慄 弱き過去 明目張胆 踏みつけて 輿馬風馳にて立ち向かう!! 不並独走 不踏我影 不言実行の駿さを以って 月の叢雲散らすべく 縦横無尽 天駆けるっ!! 奮い起つ『大地の戦士 アースェアブレイブ』」です。
小さく震え、恐れおののいていた弱かった過去を怖いけど勇気を振り絞ってその過去を踏みつけ、とてつもない速さで立ち向かっていく。誰もその速さには並ぶことすら出来ない、誰も私の影を踏むことは出来ない、誰にも何も言わせない速さで月にかかる靄を散らすように地も天をも駆ける。という意味です。弱かった過去を越えて、速さを武器に戦うことを謳っています。
では、暫定ですが、次回更新は4月21日(金)を予定しております。
4月20日追記
申し訳ありませんが第二十九話の投稿を一週間延期させていただきます。
更新は4月28日(金)を予定しております。