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戦士達ハ世界ニ其ノ名ヲ謳ウ  作者: ユーキ生物
決戦編
23/40

第二十三話 次鋒戦① 虐げられた流派

 ―――――――ヒカル軍控室


「すぐ脱ぐのにいちいち正装になるなんて面倒だな・・・」


 先鋒戦同様ヒカル軍には正装は不評だった。


「それ言ったらどうせ鎧着るんだから最初から装備してけばいいのに・・・」

「いやいや、レイラ、対戦相手を見てなかったの?」

「見てたわよ。コウと同じ剣士でしょ?」

「時代錯誤な格好してましたよね。」

「・・・相変わらず毒舌だなキララ・・・まぁ、そうだ。同じ剣士として手合わせしないとな。」

「それで負けたら笑えますね。」

「キララ容赦ねぇな・・・まぁ、相手が神体を使ってきたらこっちも使うかもな。」


 そう言うとコウは歓声が沸き上がる会場へと向かう。


「コウ。」

「任せとけ。」


 ヒカルとコウは頷きあう。



 ―――――リオウ軍控室


「シゲノブさん?正装着てますけど、いつもの袴でなくていいのですか?」

「ソフィ殿、心配無用。この正装の下に着ておる。試合前にいつもの服装にさせてもらう。」

「えっ!?袴が収まってるんですか!?」

「どうなってんだ!?」


 あまりに予想外のカミングアウトにリオウ軍の戦士達は驚きを(あらわ)にする。


「戦闘力だけでなくこういった器用さも従者部隊には求められるのです。」


 セツナが珍しく誇らしげに言った。


「シゲノブ、全力を出しても構わんからな。」

「・・・全力を使わずに勝てるよう努める。」


 シゲノブはリオウと言葉を交わし、会場へと向かった。




第二十三話

次鋒戦① 虐げられた流派



 ――――――――天空コロシアム


「いやぁ、マナさん、昨日の先鋒戦は盛り上がりましたねぇ・・・」

「不屈のレイラ様、そして弱点をクリティカルで放てるカルノレット様、両者とも先陣を切るに相応しい戦い方でしたね。」

「そこで!!本日の次鋒戦の戦士の方々の入場ですっ!!」

「ユイさん・・・ハードル上げますね・・・」


 ――――――――わああああぁぁぁ!!


 二人の戦士が会場に一礼をし、入ってくる。


「リオウ様の軍からは神体『神の息』を持つ剣士、シゲノブ様!! ・・・そして、ヒカル様の軍からは神具『神の鎧』を持つ剣士、コウ様!! なんと次鋒戦は剣士同士の対戦となりました!!」

「剣は命を断つ物です。この両剣士はどの様な斬撃を放つか・・・」

「でも剣士同士の戦いって、先鋒戦の様な派手さがないですよね。」

「ユイさん、何を言ってるんですか?二人が向け合うのは真剣ですよ。命のやり取りをする勝負が地味なわけありません。」

「お、おぉぅ・・・さすがマナさん、マナさんも剣士ですから熱が入りますよね。」


 ――――――――バッ!


「コウ様もシゲノブ様も帝国戦士の正装を脱ぎました!!・・・シゲノブ様は袴姿でいかにも侍、という服装なのに対して、コウ様は動きやすさを重視したラフな格好・・・あまり剣士っぽくないですね・・・」

「コウ様は『神の鎧』を身に付けますから、袴というわけにはいかないのでしょう。」



「両者、開始位置4へ!!」


 審判のイレアが開始位置を告げる。


「開始位置は4! お二人の距離はおよそ4メートル」

「お互いに刀を付き合わせた時に先端が1メートルほど距離が空く間隔ですね。ここからの1~2メートルの距離をどう詰め、相手の間合いに入るか・・・その辺りから始まるようです。」


 コウとシゲノブが配置に着く。


「ふーっ・・・」


 シゲノブは深く息を吐く――――――



「―――――シゲノブ様がお相手する予定の剣士コウ、『神の鎧』の使い手という情報はありますが、『神の鎧』がどの様な能力(ちから)を持つかは明らかとなっておりません。ですので、未知な部分はありますが、攻撃A・防御A・敏捷A~S・持久力A~Bといったところでしょうか・・・彼は鬼神流という流派でして、刺突を得意としているようです。」

「侍従長殿・・・相手がどんな者であろうとも・・・某は、間合いに入る者を斬る、それだけだ。」


 それだけを思いだしシゲノブは構える。


「玉座決定戦、次鋒戦―――――いざ、尋常に・・・はじめっ!!」


 イレアの号令で決戦が始まった――――――――


「“鬼神流 神突 鋭牙えいが!!”」


 先制攻撃を放ったのはコウ―――――神速で放たれた二つの突きは上段から弧を描く様にシゲノブへと向かい獣の牙を彷彿とさせた――――


「――――ふっ!!」


 ―――キキィン!!


 シゲノブは二つの刺突を居合で斬り伏せる。


「“神突 せん!!”」


 弾かれたままコウはシゲノブの正面から二撃目に入る―――弾かれぬよう突きに回転を加えた重い刺突を一直線に―――


「――ぃあっ!!」


 ――――ガガガガッン!!


 シゲノブの居合は力強く回転に立ち向かい、その軌道を逸らす―――


「“神突 旋牙(せんが)っ!!”」


 コウは直ぐ様切り返し、シゲノブへ刀を向け、先程放った“鋭牙”と“旋”の複合技を放つ、回転を加えられた刺突が弧を描き、牙となってシゲノブへ襲いかかる。


「―――――――っ!!」


 ――――――キキィンッ!!


 シゲノブは要所を見抜き、2つの牙に一撃ずつ加え軌道を変えると、コウの牙はシゲノブの足元に刺さる。


「――――くっ!!」


 シゲノブの間合いに入ってしまったコウはバックステップにて距離をとる。


 ―――――――スッ


 直後、コウがいた場所をシゲノブの刀が薙いでいた。


「スゴい猛攻だぁ!!ヒカル軍のコウ様の怒濤(どとう)の攻撃がリオウ軍のシゲノブ様を襲う!!」

「コウ様の攻撃もさることながら、それを受けきり、(わず)かな隙も逃さないシゲノブ様もかなりのものです。」

「確かにシゲノブ様、一撃ももらってませんよね。」

「今の打ち合いだけの評価ですが、コウ様は確かに技が豊富であらゆる攻め方を見せられましたが、一つ一つの技の錬度が完全とは言えなく、対してシゲノブ様は技らしい技はなく、ただ斬るだけでしたが、それだけ故に太刀筋の錬度が高く、強く美しい剣閃(けんせん)をしております。どちらが優位ということではなく、両名の戦い方が異なるというだけですが。」


「今、マナ殿が言った通りだ、お主の剣技は洗練されていない。お主もそれがわかっているから迷いが剣技に出ている。」

「まぁ、間違ってないよ。でも、それでアンタに負けるとも思えない。」


 コウの言葉は強気に出る。


「・・・来るがいい。」

「言われなくても―――――――“鬼神流 神突 (きょく)”」


 コウは再び突きを放つ、今度は突きの軌道が曲がる。


「――――ぬっ!!」


 ―――キィンッ!!


 シゲノブはそれを居合いにて弾く


「まだまだっ!!“神突 曲集気(きょくしゅうき)”」


 先程放った“曲”をシゲノブを中心に円を描くように連続で移動しながら放ち続ける―――――――


「――――っ!!何度やろうと同じことっ!!」


 シゲノブは同じ様に居合いで弾き続ける・・・が


(・・・なんだ・・・どうしてこの者の剣閃を止めるのに某は苦労しているのだ・・・?)


 ―――――――キンッ!! ガッ!!


「なっ!?」

「どうよ?」


 コウの剣閃がシゲノブの袴の裾を僅かに切っていた。


「これはっ!?コウ様の剣がシゲノブ様に届いたっ!?」

「コウ様、まるでカルノレット様の“勝利を掴む神の物語(グロリア)”を使っているみたいですね・・・」

「そーなんですか?マナさん。」

「いえ、あくまで例えです。あの“曲集気”という技、回り込んで曲がる突きを放っているだけのように見えますけど、左腰に帯刀するシゲノブ様の居合い、シゲノブ様の左側に刀を薙ぐのは非常に振りにくく、どうしても身体を先に回転させなくてはなりません。そしてコウ様はその左側から攻め立てています・・・」


「さすが従者部隊のNo.3よくわかっている。」


 コウがマナの解説を認める。


「これが、俺達(・・)二人分の鬼神流の技だ。」

「・・・・・・?」


 コウの言葉にシゲノブも会場も疑問符を浮かべる。


「難しいことじゃない。鬼神流は突きの“神突”と居合いの“鬼門”、2つのスタイルを使うもの、俺は昔は鬼門のスタイルを取っていて、神突のスタイルを使う友によく負けていた。だから、居合い使いが嫌がる剣技は身をもってよく知ってるってだけさ。」

「なるほど、一筋縄ではいかないようだな。」

「ただ、アンタの居合いも見たことないんだよな・・・流派は?」

「・・・一応、大和流、ということになる。」

「大和流・・・聞いたことないな・・・」

「流派は国外発祥だ・・・某がかつて住んでいた平和な国の剣術でな、戦のない国の剣術は価値などないと白い目で見られて・・・。それからはただ近付く者を斬るのみだった・・・そして、今の流派と成った・・・ただでさえ汚された剣術だ、戦の国で振るってさらにその名を汚すわけにはいかぬのだ!!某は負けるわけにはいかぬのだ!!」

「・・・かかって来るがいい、放浪の侍よ。」


「失礼、戦に出るときは名乗るのが礼儀であったな・・・聴くがいい!!最強の王に仕えし最強の剣術使いの名を―――――!!」


枕戈待旦(ちんかたいたん) 拒絶刃壁(きょぜつじんへき) 流星光底(りゅうせいこうてい) (いち)にして (れい)の空間 千の(ざん) 唯我独(ただわれひとり)()るのみなれば 神の恩恵 後の攻勢 星火燎原(せいかりょうげん) 越える(ことわり) 浮きたる(おん)を両断す!! (しず)かなる『惑星(ほし)の戦士 プラネットガーディアン』万物断ち切る者の名だ!!」


「悪くない闘志だが、それ(・・)じゃあ俺には勝てないな・・・」

「何っ!?」

「まぁ、詳しい解説は俺がアンタに勝ってからしてやるよ・・・『神の鎧 グラックロイオ』!!」


 コウは大地を踏みつけ、『神の鎧』を呼び出し――――次の瞬間には竜を模した鎧を纏っていた。


「・・・すぅぅぅっ 『神の息』」


 シゲノブが深く息を吸い、身体が発光する。


 神の能力(ちから)を行使する第二ラウンドが始まった――――――


どーも、ユーキ生物です。


玉座決定戦、次鋒戦が始まりました。先鋒戦は耐久の高いレイラがいたため長引きましたが、次鋒戦からはあまり長引かないようする予定です。


さて、先鋒戦の後書きでも宣言しましたが、ここからの後書きは先鋒戦のキャラについて、名乗りを含めて語ろうかと思います。

今回は残念ながら先鋒戦で負けてしまったカルノレット君について・・・・・・

何度か後書きで触れましたが、カルノレットのテーマは「天才」です。そして、各キャラに属性という設定をしていたのですが、カルノレットは「勝利」というよくわからない属性が付いてます。この第二十三話でマナが言いましたが、カルノレットの神具『神の聖典』は勝つ手段を示し、その道具(術)も用意してくれるというもので、いうなれば相手の弱点をクリティカルで放てる、とかいうチートキャラです。パクり技が多いのは、基本的に勝利の物語は少年漫画とかになるので、とかいう理由からだったりします。

名乗りは基本的にテーマや生い立ちなんかを中心に構成しております。カルノレットの名乗りは「天資英明(てんしえいめい) 才華欄発(さいからんぱつ) 竜麟鳳(りょうりんほう)の転生者! 神の代行 王の後光(ごこう) 故郷(くに)の栄光 ()天賦(てんぷ)! 頓智頓才(とんちとんさい) 将相兼備(しょうそうけんび) 多種多様なる魔術を()って (くじ)く強きを一蹴す!! 咲き誇る『夢の戦士 ナレイト・オブ・テスタメント』」

となっております。

最初の四字熟語は確か実在する四字熟語のはずです。そして、「竜麟鳳の転生者」これも才ある竜とかの転生者と、とにかくスゴい存在だと言ってます。ちなみにこの竜麟鳳、また出てきますので頭の片隅にでも置いておいてもらえるとよいかと・・・

そして、神の代行も王の後光となることもできる故郷の英雄である才能を持ってる、とここでも言います。頓知頓才も将相兼備も実在する四字熟語で才能あってなんでもできると、そのスゴい才で弱いものを挫く強い者を完膚なきまでに叩きのめす。という、才能を弱者のために使う、という名乗りになっております。

「ナレイト・オブ・テスタメント」はそのまま英語で「聖典の語り手」という意味で名付けました。勿論、勝利を形にする夢を実現するから「夢の戦士」です。


以上がカルノレットの解説になります。

次回の後書きはレイラについて語らせていただく予定です。


次回更新は3月10日(金)を予定しております。

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