第十八話 蓄積、継承、神の棍
―――――――作戦反重力開始
キュイィィィンッ―――――――
どこかで作戦を開始する合図を送ると、リオウ達の周囲から何かが起動し、機械の回転音がし始めた。
「――――――――!?」
「なんだっ!?」
――――――――気付いたようだが、もう遅いっ!!
ブウゥゥゥゥンッ―――――――――
機械の音が変わり――――――――
「うわっ!?」
「くっ!!」
「何これっ!?」
「気を付けろっ!!奇襲が来るぞっ!!」
――――――――外で訓練をしていたリオウ、シゲノブ、ソフィ、キョウを中へと浮かび上がらせた。
第十八話
蓄積、継承、神の棍
――――――反重力装置
技術の国テクノリアが作り出した科学の粋を集めた結晶
複数の装置で囲んだ範囲内の物体から重力として受ける力の向きを一瞬だが、逆方向にすることができる装置。
端的に言うならば、囲った範囲のものを浮かせる装置。
――――宙に浮いた人間は、翼でもない限り満足に動くことなどできない、作用・反作用の単純な理屈さ、踏ん張る足が着いていないのだから。
テクノリアの司令室で技術者は怪しく笑う。
―――――確か、リオウの戦士には翼を持つ者がいたはず、そいつに掻き乱される前に――――――撃て。
ズガガガガガガガガガッ!!
「銃声!?」
リオウ達は困惑する。突如宙に放り出され、身動きが取れないまま、何もない所から銃声がするのだから―――――
―――――――――魔術を使うための言葉を発する前に仕止める。これがリオウ攻略法。さらに、言葉を発する時間を稼ぐ仲間も無力化させることで確実にする。
テクノリアの司令室で技術者はカメラから送られる映像を確認する。
「『弾丸は柔らかく、我々を貫くことはできない。』」
そこには言霊による魔術を発動させるリオウの姿があった。
―――――――――何だとっ!?
リオウの前には炎を纏った棍――――――――
―――――これが、ウェルドラド最強の武人キョウ・・・空中という不自由な状態での奇襲でも王を守ったのか・・・だが・・・
「・・・くっ・・・ぐっ・・・がはっ!!」
「キョウ師範代!?」
――――――王は守れたが、自分を守ることまではできなかったようだな。
キョウは神の棍に炎を纏わせ差し伸ばすことで、銃弾からリオウを守っていたが、キョウ自身を守るものはなく、その身体は数多の銃弾に貫かれていた―――――――
「おおおおぉぉぉっ!!リオウッ!!」
――――――ゴオオオオオッ!!
嵐を纏ったルゥムが翼で飛翔し、リオウのもとへ駆け付ける―――――
「ルゥム!!地表から銃撃だ!姿は見えないが、確実にいる!」
リオウはすぐさまルゥムに指示を出す―――――――
「承知!!“翔べ!!降り注げ!!貫け!!神の翼!!”」
―――――バッ!!スッタタタタタタタッ!!
ルゥムが空中で一回転すると、神の翼から羽根が散らばり、風に乗って地表へと矢となり降り注ぐ――――――――
――――――――ガッ!!
広範囲に落とされた羽根の矢は反重力装置の一つに命中した―――――
「おっと!?」
反重力装置が停止すると、リオウ達の身体は宙から大地へと戻った。
「これは・・・何かの機械・・・?・・・テクノリアかっ!?」
リオウ達はすぐさま周囲を見渡すが、そこには何も見えない。
「誰も、いない・・・おおかた視覚できない装置か何かだろう・・・とりあえずの防御魔法は唱えているが・・・」
警戒をしつつ対策を練る・・・
「・・・リオウ・・・」
「キョウ師範代?」
地に倒れたキョウが力なくリオウを呼ぶ。
「シゲノブ、ルゥム、ソフィ、この場は頼んだ。」
仲間に場を任せ、リオウはしゃがみキョウの言葉に集中する。
「師範代、ありがとうございます。」
「・・・なに、ただ、王を、守っただけだ・・・」
命を張ってリオウを守ったキョウに感謝を告げる。
「リオウ・・・お前に、これを、託す。」
そう言って、キョウは『神の棍』をリオウに差し出す。
「『神の棍』・・・」
「そうだ・・・『神の棍』の能力は・・・振るうことで、戦闘技術が蓄積され・・・他者に渡るとその技術を継承する・・・受け継がれることで真価を発揮する神具・・・最強の技術がそこには在る。・・・そいつで、仲間を・・・民を・・・護ってやれ・・・」
「・・・・・・はいっ!!」
キョウに見送られ、神の棍を手にリオウは戦う戦士のもとへと向かった―――――――
「くそっ・・・どこに何体いるかわからないと、こんなにもやり辛いもんだとは・・・!!」
「カルノレット様、こういった時に慌てては敵の思う壺ですよ。警戒しつつ、落ち着くことが大切です。」
そこには既にカルノレットとセツナが駆け付けていた。
「向こうが発砲とかしないと場所が特定できないのが辛いわね・・・」
『隠密機は効果を失い、姿を現す。』
リオウが言霊の魔術を行使する。
―――――――――ブッ・・・ブウゥゥゥゥンッ!!ガッ・・・ガッ・・・
完全迷彩を纏っていた銃撃機が続々と姿を現す――――――
「―――――――――リオウッ!!」
―――――――なっ!?バカなっ!?あり得ないっ!!完全迷彩の理論上こんなことっ!?
「さて、テクノリアの技術者のことだ、どこかで見てるんだろ?」
リオウは虚空を睨み付ける。
「・・・まさか、そこまで見破られるとは・・・」
銃撃機の一台から声が聞こえた。
「テクノリア・・・何が狙いだ?」
「ただの分担さ。そんなことよりもお前だ、リオウ。反重力装置はともかく、完全迷彩は反魔術回路が組まれていて、そうも簡単に破られる物じゃないんだ・・・理論上視覚することは不可能なはずなのに・・・リオウ、お前はいったい何なんだ!?」
「我か・・・」
リオウは一度目を閉じ、大きく息を吸って強く目を開ける。
『彼方が此方を知らぬと言わば!!我が名を世界に刻むべく!!この場で貴く謳おうぞ!!聴くがいい世界を治める王の名をっ――――――!!』
「全知全能 金甌無欠 森羅万象 統べる王! 艱難辛苦の闇に在ろうと 我葉一語 民幸明喜の陽が昇る!! 血より継ぎしは揺るがぬ志 師より継ぎしは強き魂 不動山如 揺るがぬ強き王と成り 全ての民を護り抜く!! 揺るぎなき最強の王『ロジカルプリンス』ここに!ここに在りぃ!!」
圧倒的な風格を以て名乗りきるリオウ、そのままリオウは間髪入れずに言葉を紡ぐ――――――――
『現れし機械は風に乗って散り、大地へと還る。』
銃撃機の大半が一瞬で散ってしまう。
――――――ッタアァァァン!!
――――――キィンッ!!
リオウの声が届かない遠方からの狙撃をリオウは見向きもせずに棍で防御する。
「・・・わかる・・・棍なんて初めて手にするのに・・・振るい方が反射的に出てくる・・・」
そうして『神の棍』を実感している内に,ルゥムが狙撃をした機体を撃ち抜いていた。
「そうだ、リオウ・・・そいつで・・・」
リオウの棍裁きを見て、キョウは目を閉じる。
「・・・キョウ師範代・・・ありがとうございました・・・」
最強の武人の亡骸を前に、リオウは棍を握り締め、師へと誓いを立てる。
「我は、必ず、民を護る王に・・・」
その背にはキョウの命が背負われていた。
「「「「「「ありがとうございました!!」」」」」」
戦士達は師へと感謝を告げるべく、深く頭を下げた。
―――――最強の魔術と最強の戦闘技術を持った最強の王が誕生した。
―――――――くそっ!!リオウ!!まさかここまで強いとは!!・・・パペリオンになんと言えば・・・
テクノリアの司令室で男は屈辱の炎に焼かれる――――
―――――――主任、大丈夫ですよ。また新な兵器を作れば・・・幸い、我々は無事なのですし・・・・
主任と呼ばれる男とその部下は次の作戦に向けて互いに策を練る―――――
「いや、お前達は次の兵器を産む必要はない。」
その声は司令室の外から聞こえた。
「お前達の技術は確かに一級品だが、企画そのものが小物過ぎる。作戦を練る素質がない。」
現れた男は主任達に語りかける。
「今後は私の指示で動いてもらう。いいな。」
―――――――ボス・・・
「そもそも、あそこにあれほど珍しい素体かいるというのに、殺してしまうなんてもったいない・・・」
ボスと呼ばれた男は子供の様な純粋な笑顔をしていた。
―――――――ボス、いったい何を?
「・・・我々は、神を創る。」
どーも、ユーキ生物です。
いつもの時間に投稿できず申し訳ありません。日付は予告通りなのでご勘弁ください。
いや、書けていたんですよ。ほとんど。ただ、私は設定とか製作プロットとかは紙のノートに手書き派なものでして、それをスマホで写真撮って、スマホで文章を起こしているのですが、リオウの名乗りを新たに作ったのがこの間のことでして、ノートに書いたものを写真に撮るのを忘れてまして・・・ノートは家に置きっぱなしで、しかも火曜から職場に泊まりがけで帰れず・・・名乗り以外は書けていたのですが、名乗りは先ほど帰宅してからノートを見て書いた次第でございます。準備不足でした。
さて、「最強の王編」はこれにて終了となります。なんだか続きそうな終わりでしたけど、次回から「決戦編」になります。テクノリアの方はその内出てきます。「決戦編」はこの物語を作る上で真っ先に考えた話なので、いわばメインシナリオとなります。よろしければお付き合いください。
こうして遅れて投稿したり、年末年始に長い休みをもらったり、「決戦編」に移る時は休み無しに・・・とか考えていたのですが、先程触れたように、最近リアルの方がかなりバタバタとしております・・・ちょっと厳しいものがります・・・さらには4月にはまた私の生活ががらりと変わるので、バタバタすることは必至となっております。できればそれまでに書き溜めておきたい、とかかなり執筆の方がヤバ気になっております・・・ですので、「またかよ」とか自分でも思いますが「決戦編」の投稿は一週置かせてください。プロットは気合い入れて作っておりますので、後は文章に起こす時間との闘いになっております。お許しください。
ということですので、次回更新は2月3日(金)を予定しております。




