第十一話 光と闇
第十一話
光と闇
「リーネ、小遣い頂戴。」
「ダメデス!今月は先月より既に出費が多くなってるデス!必要なら申請書を書いてキチンと記録、審議をするデス。」
「リーネ様、宿のグレードを上げませんか?これではヒカル様の 王族としての示しが・・・」
「うるさいデス駄メイド!!ヒカルも了承済みデスし、これでも中ランクの部屋にしてるデス!我慢するデス!!」
リーネはヒカル一行の財布を握り、財政をコントロールしていた。
「駄・・・駄メイド・・・」
「だ、大丈夫?ベル姉・・・?」
「あぁ~ん、ヒカル様ぁ~ん、ペロペロペロペロ・・・」
「もうっ!ベル姉、くすぐったいよ・・・」
今日も今日とて、ベルはヒカルを愛でる。
「なんていうか、ベルってブレないよな・・・」
「というより、王族を嘗めて不敬罪とかにならかいのかしら?」
「愛故に、ですから。」
レイラの疑問に詫びる様子もなく言い切るベル。
「そういえば、ベルさんって最初の戦士なんだよね?」
「はい。ワタシがヒカル様の初めての・・・ポッ・・・」
「・・・まぁ、冗談は放っといて。私が戦士になった時、ベルさんとコウさんは既に戦士としていましたし・・・まぁ、コウさんは剣士ですから戦士になる理由はいくらでもありそうですけど・・・ベルさんはメイドさんですし、ヒカル君も『ベル姉』って昨日今日の間柄の呼び方してませんし・・・少し気になります・・・」
「キララ様、ワタシがヒカル様の戦士になった理由は“愛故に”ですよ。」
「・・・・・・・・・。」
大真面目にとんちんかんな答えを返すベルに呆れざるを得ない一行・・・
「質問を変えます・・・。ベルさんはどうしてメイドに?『ベル姉』って呼ばれてますけど、実の姉、という訳ではないんですよね?」
「確かに気になるわね・・・金髪じゃなくて黒髪だから違うんだろうけど・・・。」
「・・・・・・わかりました。あまり話したい内容ではありませんが、仲間との信頼を尊重するために・・・語りましょうっ!!ワタシとヒカル様の愛のラヴ・ストーリィをっ!!」
「あ、愛のラブストーリーって・・・」
「なんか紙芝居取り出したぞっ!?準備いいな!?」
「語る気満々じゃないデスか・・・」
一同は呆れ返るのだった・・・
「――――――光あるところには必ず影がある。帝国だってそれは同じ・・・華やかに輝く街の外れには、華やかに輝けなかった者達の溜まり場があるのです。そして、そこがワタシの生まれの地・・・身分の低い者に与えられる仕事など無いようなもの・・・もし、成り上がりを狙うのであれば、家族と故郷を棄て、軍へ身を投じるか、王家の遣いとして一生を労働に捧げるか・・・ワタシは後者を選びました。成り上がって華やかに輝くことを夢見て・・・。
しかし、ワタシは出身地のこともあり、従者部隊では虐げられて城の影で泣く毎日・・・若干十歳のワタシは悲しかった、虐げられることではなく、ワタシの居場所は影しかないのだと思えたことが・・・。
そこに現れたのが七歳のヒカル様!!愛らしいお姿で影で泣くワタシに『お姉ちゃん、大丈夫?どこか痛いの?』お声を掛けて下さいましたっ!!ワタシの居場所は影しかないと思っていたワタシに光を灯して下さったのです。そして何よりその可愛さっ!!天使かと思いました。
そうして、ワタシはヒカル様のお言葉に力を頂き、ヒカル様の側近となるために、もう一度『お姉ちゃん』と呼んで頂くために全力以上をもって仕事、訓練を行いました。
その時から、ワタシの目標は華やかに輝くことではなく、ワタシの愛する人の影をワタシの居場所とすることに変わっていたのです・・・・・・はいっ、拍手!!」
ベルが語り終え、一同は唖然とする。
「・・・じゃあ、その『ベル姉』って呼び方は・・・」
「はい、ワタシが呼んで欲しいのでお願いしました。」
「すげぇな・・・狂った愛の形したストーカーだとは思っていたが・・・」
「ハイ・・・一周回って尊敬するデス・・・」
全員ドン引きだった――――――
「―――――――はい、ですのでワタシは従者でも戦士でも、ヒカル様の影でいられればそれでよいのです・・・ペロペロ・・・」
「嘗めてる様子は影っていうより犬ですよね・・・」
「ホント、自己主張の激しい影デス・・・」
(ワタシはヒカル様の身分で差別をしない優しい心に惹かれました。・・・・・・いつか、身分に関係なく恋も結婚もできる国を作りましょう。)
どうも、ユーキ生物です。
輝きの王編完結しました。・・・制作用プロットがですが。
紛らわしいこと言ってスミマセン。輝きの王編はこれからが佳境になってきます。実は次の十二話はほぼほぼ書き上がってます。これなら予定通り更新できそうです。
十話、十一話の短さはヤバイですね。戦士集結編では一人一話ですから結構詰め込む形となり、一話あたりの字数が多かったのもギャップとなって際立ちますね。
この第十一話でキャラの年齢が出始めましたね。ヒカルとベルは3つ歳が離れてます。ヒカルは16歳、ベルは19歳となってます。この話を考えていた頃は全体的にもう少し年齢高めでしたが、ボク呼びとか、レイラのニートっぷりがガチになるので少し下げました。
今後少しずつ年齢を晒していこうかと思います。
それでは今回はこの辺で。
次回更新は11月18日を予定しております。(ほぼ確定)