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戦士達ハ世界ニ其ノ名ヲ謳ウ  作者: ユーキ生物
輝きの王編
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第十話 算盤は剣よりも強し

第十話

算盤(そろばん)は剣よりも強し


「さて、戦士も(そろ)った事だし、帝都に戻ろうか。」


 ヒカルは五人の戦士達に向かってそう言う。


「いよいよ決戦か・・・鬼神流の最強を証明する時が・・・」

「そういえば、今さらだけど、玉座決定戦の相手って・・・“あの”第一皇子のリオウなんだよね・・・」


 決戦に向けて意気込むコウに対し、相手の強大さを再認識するカケル。


「・・・“あの”リオウが相手なんだっけ・・・ヤバい・・・私、勝てる気がしない・・・」

「いやいや“あの”リオウよ?アタシは良い経験ができると思うけど?」

「まぁ、キララ様が不安になるのもわかります。レイラ様は回復できますけど、ワタシ達は消し炭にされかねないわけですし・・・」


 キララは不安を露にするがレイラは期待に満ち溢れる。そんなキララをベルがフォローする。


「もちろん最後はリオウと戦わなきゃだけど、皆はその前にリオウの戦士と戦って勝たなきゃいけないんだよ。」


 ヒカルは玉座決定戦のやり方を確認する。


「そういえば、確か、戦士が一対一で戦って勝った戦士が最終戦に臨めるんだっけ?」

「ええ、その通りです、カケル様。」

「うわー、僕、自信ないなぁ・・・」

「カケルはボクの戦士の中で対遠距離攻撃の要なんだから、頑張って勝ってもらわないと。」

「ついこの間まで一般人だった人に対して、ずいぶん無茶を言うよね・・・せめて僕の相手が僕と同じように素人であることを祈ろう・・・」

「ダメよカケル!そんな弱気じゃ勝てる勝負も勝てないわ!」


 カケルに(かつ)を入れたのは体育会系まっしぐらのレイラ


「相手が強いならアタシ達も強くなるしかないでしょう!?」

「まぁ、そりゃそうなんだけど・・・」

「さぁ!!悩んでる時間が惜しいわ!!腕立てから始めましょう!!」


 鬼気迫る勢いで筋トレを強要してくるレイラ


「まぁ、まぁ、落ち着いてレイラ。闇雲に特訓するのも悪くないけど、決戦まで時間がない訳だし、効果的に鍛えなくちゃ・・・ベル姉。」

「はい、ヒカル様・・・」


 ヒカルが仲裁し、ベルは何やらメモのような物を見て戦士達に語り掛ける。


「まず、レイラ様ですが、神体を攻撃に活かせないが故の一撃の攻撃力の低さ、ですね。そして、近接攻撃しかない、というのも相手によっては厳しい戦局になってしまいかねません。キララ様を相手にロングリーチの武器を主体に戦う相手に対抗する方法と、神具を用いた攻撃力を体感して、対策を模索してください。」

「え・・・あ、はい。」


 ベルは各々の弱点とそれを補う訓練法を教え始める。


「反対にキララ様は、攻撃力は素晴らしいです、雷速の槍も脅威ですが、立ち回り、武器の扱い方が素人のモノですので、宝の持ち腐れ、といったところになっております。レイラから格闘術を教わって、より効果的に攻撃できる様に鍛えて下さい。」

「・・・・・・し、素人・・・」


 ベルは帝国従者部隊の戦闘訓練ではセツナに次ぐ実力者、指導もお手のものだった。


「カケル様はコウ様からその速さを活かす戦い方を教わって下さい。コウ様は何言われても鬼神流は崩さないのですよね?なら、カケル様に鬼神流の歩法を応用した立ち回りをお教えして下さい。」

「おう、任せとけ。」


 それぞれの長所を活かし、弱点を補う方法を伝え勝率を上げる、ベルの考えはもっともだったが―――――――――


「そして、ワタシは、低い神通力を底上げするために―――――――ヒカル様と一緒にいます。」


 ――――――私情をこれでもかというほどに含んでいた。


「それで?こうやって特訓する訳だけど、ヒカルは決戦に望む際、何人いればリオウに勝てると思うの?」


 レイラはヒカルに問う。


「・・・何人、とは言い切れないけど、レイラがいないと厳しいだろうな・・・とはいえレイラだけでも厳しいだろうし・・・レイラを含み二人はいないと勝ち目はないだろう。」

「う、うれしい事言ってくれるね・・・その心は?」


 レイラは照れつつも追求する。


「リオウの魔術は生物以外全てに干渉できる魔術、すなわち刃も雷もリオウが言葉を放てば触れる事すら許されなくなる・・・そして、その弱点というか、天敵にあたるのが、身体を武器とする格闘家・・・もちろん、格闘家だから勝てるわけじゃない、リオウの魔術は近接することを徹底的に拒んで接近戦をさせないはず・・・そういう意味で、仕留めるレイラと、レイラを近接戦まで運ぶもう一人、という計算かな・・・その際、ボクは無防備になるから三人以上欲しいし、リオウの戦士の事を考えるとそれで万全とは言えないけどね。」

「ヒカルも思っていたより色々考えてるのね・・・」

「そりゃあ、戦闘じゃ役に立てないからこういう所で貢献しないと。」

「さすがヒカル様ですぅ!!素敵っ!!愛しておりますっ!!」

「とはいえ、過半数の勝利を要求するわけだから、みんな各々が強くないと厳しい。リオウだって強い戦士を揃えてくるだろうから。」

「そうと決まったら早速特訓よ!キララ、始めるわよ!」


 修行中毒(レイラ)はキララを引き連れて特訓へと向かう。


「カケル、オレらも始めよう。」


 各々が決戦に備え強くなるために己を磨き始める。






 ――――――――――そして


「そろそろ近場の町へ行って休もうか。」


 夕暮れ近くになり、ヒカルは戦士達に声を掛ける。


「いや、まだまだよ!睡眠なんて一時間あれば十分なんだから!」

「それで十分なのはレイラだけだって。休むことも戦士にとっては大切な仕事だ。」

「・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・っ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」

「キララは息も絶え絶えな状態だし・・・・・・大丈夫?」

「・・・はぁ・・・はぁ・・・っ・・・う、うん・・・な、なんとか・・・」


 特訓は素人だったキララには厳しいものだったらしい。


「・・・・・・あれ?」


 そんな中、ベルが頓狂とんきょうな声をあげる。


「・・・? ベル姉、どうかしたの?」

「・・・・・・い、いえ・・・その・・・あの・・・何というか・・・」

「どうした?いつも遠慮がないくせに珍しく控え目じゃねぇか。」


 コウが言う様に珍しくおどおどするベルは申し訳なさそうに告げる・・・。


「その・・・今晩の、宿泊費なんですけど・・・もしかすると、六人分の代金・・・足りないかもしれません・・・テヘッ・・・」



「・・・・・・・・・・・・えっ・・・?」



 場が凍り付いた。


「えっ!?なんで!?今までやけに高級な部屋に泊まってたから余裕だと思ってたのに!?」

「それは・・・ヒカル様を安い部屋に泊めるんなんてことできませんし・・・。」

「いやいやいや!!それで泊まれないんじゃ本末転倒じゃねえか!?」


 コウが思わずツッコむ。


「ベルはヒカルのことになると常識を捨て過ぎる・・・誰か、ベルの代わりにお金の管理を・・・」

「「「・・・・・・・・・・・・。」」」


 コウはベルの代わりを探そうとするが、その瞬間全員が目を逸らす。


「わ、私はずっと山に籠ってましたし・・・そういうのは・・・」

「アタシだって同じく山籠もりだったし、学校も仕事も行ってないし・・・お金なんて触ったことほとんどないし・・・」

「ぼ、僕がみんなのお金の管理なんて滅相もない・・・無理ですよ!」

「・・・そうはいっても、俺だって刀を振ることしかできないし・・・」


「おい。・・・文句言うだけかよ・・・」


 ベルも思わず暴言を吐かざるを得ないていたらくっぷりだった・・・。



「そんなお金のことでお悩みの皆様の前にリーネ登場デス!!」


 金の無心で暗い雰囲気が漂う中、突如叫びながら走って現れる小さな姿があった。


「「「「・・・誰・・・!?」」」」


 皆が同じ疑問を口にする。


「リーネはリーネデス!帝都で働くことを夢見る田舎の会計師デス!」


 そういって小さな少女は算盤そろばん片手にポーズを決める。


「会計師・・・」

「確かにお金には困ってるけど・・・会計師がいてもお金そのものがなくちゃ、やりくり以前に・・・」

「心配無用デス!リーネを雇ってくれたらその問題の解決策を教えるデス!」

「雇うって言っても・・・」

「ヒカル様が王になった時にリーネを帝国の会計師にしてくれるだけでOKデス!リーネ戦闘はできませんが、悪い話じゃないと思うデス。」

「・・・ところでリーネ様?どうしてヒカル様だとおわかりで?」


 ぐいぐい来るリーネに対しベルは少々警戒する。


「何故って・・・金髪小柄にメイド、刀、槍、道着!!どう見たって王族とその戦士じゃないデスか!?目立ってないとお思いデスかっ!?」

「・・・ですよね・・・」


 あまりの正論にぐうの音も出ず・・・


「あれ?僕は?」

「はぁ?アンタ誰々デスか!?」


 カケルは戦士とは思われていなかった・・・


「それじゃあ、リーネ、これからよろしく。ぜひ、国を豊かにしてくれ。」

「まずは私達の宿泊費ですけどね。」

「どっちも任せるデスっ!!」


 リーネは町の役所へと向かい―――――――――帰ってきた。


「王位継承の経費として申請すれば、ヒカル様は湯水の如くお金を使えるのデス!!これ、ベルさんは知ってると思うデスが?」

「・・・そうでしたっけ?」

「ありがとうリーネ、助かったよ。・・・でもできるだけ無駄遣いはしないようにやりくりしてね。」

「了解デス!!」


 こうして、戦士ではないが、帝国を担う会計師をヒカルは手にいれたのだった――――――


「皆さんリーネに感謝するデス!!リーネがいなかったら今ごろ全員野宿でサバイバルニート以外は飢え死にしてるデス!!」

「命の恩人・・・」


「武力だけが人を守るとは限らないのデス!!」


“会計師”はあまり一般的ではありません。“会計士”の方が現実では一般的です。お間違えなきようお願いします。ユーキ生物です。


第十話から「輝きの王編」となります。この「輝きの王編」はヒカルサイドの話となりますので、次話もヒカルサイドです。今までのようなヒカルとリオウを交互に、とはしませんのでご了承下さい。リオウファン(?)の方は腐らずにお待ち下さい。「輝きの王編」の後は同様にリオウサイドの話になりますので。

リオウファンとか適当に言いましたが、リオウとヒカル、読者の方はどちらの方が王にふさわしいと思いますか?まぁ、まだ彼らの王っぽいところはそこまで表現できてませんが・・・「私ならこっちの方が王になって欲しい」ということを考えつつお読みいただけたら幸いです。


さて、戦士集結編が終わりましたが、また仲間が増えました。戦士ではないのでお許し下さい。リーネを考えていた際に「神の算盤」にして戦士にすればよくね?とか思いましたがやめました。まぁ、今後のリーネの活躍を考えた際の結果です。・・・ネタバレ気味になりかねないのでリーネについてはこの辺で。


プロットを書くという名目で一回更新をお休みさせてもらいましたが、成果報告をしますと、「戦士達」のプロットは0.2話分くらいしか進みませんでした。テヘッ・・・

「戦士達」のプロットを書こうとしていたら、なぜか「Desire Game」の話が湧いてくるという・・・

後は「輝きの王編」ではなくだいぶ後の話が煮詰まってきたり・・・

集中力が足りませんね。プロではないのでお許し下さい。そんなこんなでいつ不定期更新になるかわかったものではないので、ブックマーク登録をするなら今の内ですよ!!(激しすぎるステマ)(マーケットではないですが。)

ステマはさておき、作者視点でブックマークがされるのはモチベーション凄く上がりますから、もし毎話お読みいただけるのであれば、ブックマークしていただけると切実に、ただ、ただ、ありがたいです。


次回更新は11月11日(金)を予定しております。

私はポッキー、プリッツでいったらフラン派です。

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