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小説の書き方  作者: けけお
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テーマについて

 何事もアウトプットした方が身に付くので、このエッセイみたいなのを書いています。

 役に立たない内容ですいません。


 大塚英志著「キャラクター小説の作り方」を読み終えました。


 日本の小説はかつて文学(私小説)がメインだったのだが、途中から「アニメのような小説」や「ゲームのような小説」が生まれた。それを出版元がキャラクター商品として販売した。だがこの新しい小説は、今後もっとメッセージ性を強めて、今までのスニーカー文庫のような小説から離れて、自分たちなりの現実を描く文学になっていってもいいんじゃないか。


 そんな感じの事を、一部に書いていました(語弊があったらごめんなさい)。


 私は江戸風ファンタジー小説を書いているのですが、書く際に江戸時代について書かれている本を数冊図書館で借りて読みました。

 すると、面白い事が書かれていたんですね。

 以下その部分の要約です。


 歴史の教科書では、江戸時代は支配者と搾取される側の、暗黒の時代と描かれている。士農工商の身分制度に縛られ、五人組で自由は奪われ、武士の切り捨て御免に民衆は怯え、命懸けの一揆が絶えず繰り返されていた、と。

 しかし調べれば、江戸時代は全くそんな時代ではないのだと分かる。


 飢饉の時は、押し買いと言うのが発生した。儲けに走り米の値段を釣り上げる米問屋に民衆が押し入り、米を奪い、そして本来支払うべき正当な金額を自ら置いていく。


 一揆はほとんど起きていなかった。幕府は税金に嫌気がさして農地を放棄した農民も一揆としてカウントしていたレベルである。それを頻繁に一揆が起きているかのように歴史の教科書には書いてある。


 日本にやってきた異国人は、日本の庶民は金持ちではないが自由を持っていると評価し、武士階級を広大な土地を持つもののそこから出られない不自由な存在であると評価していた。


 江戸後期は文化が成熟し、武士は偽名を使い庶民に混じり、俳句などの趣味を楽しんだ。


 ……うーむ。


 実はずっと前に、こんな本を読んだことがあります。

 社会科の先生が定年で教師をやめた後、フィールドワークで江戸時代の事を調べて歩き回った。そして驚いたのは、江戸時代は暗黒時代では無かったと言う証拠ばかり見つかった事だ。自分は江戸時代は暗黒の時代と信じて、そう生徒に教えてきたが、あれは一体何だったのか。


 他にもこんなのもありました。司馬遼太郎先生の作品です。

 江戸時代、酒場で町民が隣りの席の武士を口汚く罵る。しかし武士は黙ってそれに耐える。もしも本当に切り捨て御免などしてしまえば、その町民の親族や友人が奉行所に口うるさく訴えて、最終的に武士は切腹とるからだ。町民はそれが分かっていて、武士を罵るのだ。


 さて、最初の本に戻ります。作者は怒りを込めてこんな事を書いていました。


 オランダが幕府に病院の建設を提案し、幕府はそれを了解した。

 幕府は、病院を建設するのに適切な農地を見つけ、土地代、収穫量をきちんと計算して、正当な金額をもって土地を所有する農民に対して買取り交渉を行った。

 しかし、農民は土地を手放す事を拒否する。

 ならばと三倍の金額を提示するが、それも拒否する。

 最終的に幕府は、二番目に病院に向いている土地を購入し、病院を建設した。

 これが武士による搾取であるなら、あらゆることが搾取になってしまう。

 万が一これを搾取だと、江戸時代が暗黒時代だと論じるのであれば、当時の西欧の世界各地で行われた残酷極まりない植民地支配も並行して論じるべきだろう。


 と言った内容でした。


 いちど笑ってやろうと思いついて「エロマンガ島」をググった事があるのですが、ここはヨーロッパに植民地支配された島で、内容はひどいものでした。

 白人が、現地の白檀の木を搾取するために、病人が使っていた毛布を無垢なエロマンガ島の島民に与え、伝染病を起こして人口を激減させ、またそれを神の罰だと洗脳してキリスト教に改宗させ、神の名の元に支配した。

 なんとまあ、えげつない話です。


 世界で白人が有色人種を家畜としている暗黒時代に、日本の江戸時代はミラクルピースだった、と言うのが正しい歴史認識となるはずですが、学校では日本は悪の権化みたいに教育します。とても変ですよね。


 さて、私は小説に求めるのは娯楽性でそこは振れないのですが、確かにテーマを入れた方が、内容が濃くなる気がします。

「やや江戸お龍は堂々と」でも、この辺の歴史観とかをこっそり入れておいたら、もっと今後の作品に繋がる実力がついていた気がします。



 さて、テーマを探すには、資料を読むのがひとつの手段な気がします。先人の想いを学ぶと言うことで。


 と言うことで「逃げる魔王のスラップスティック」はいじめが多少はテーマっぽいので、いじめの資料を読むことにしました。


 お嬢さんがいじめ自殺で亡くなられた方の本で、小森美登里著「わが子のいじめ自殺でわかった 今、子供たちと教師に起きている本当のこと」です。


 なんていうか、辛かったです。可哀想過ぎて、何度も読むのを挫折しそうになりました。しかし、学校のいじめ自殺を隠蔽する保身体質に対する怒りとか、小林美登里さんの真摯な姿勢に胸をうたれたりで、泣きながら、なんとか最後まで読み切りました。


 実は私は「逃げる魔王のスラップスティック」で、いじめを傍観するのも同罪だと書いてしまいました。

 しかし、本の中ではこうありました。要約します。



・傍観者は加害者と同じ

 子供たち今のいじめは、裸の写真をとるなど性的ないじめが多い。守りたくても怖くて守れない。本当に傍観者は加害者ですか?


・やり返すぐらいの強さも必要

 親がやり返せと言って実際にそうすれば、あっという間に教室はバラバラになります。そして、やりかえされた子供の心にも怒りや苦しみが残り、いつか爆発します。


・いじめられる側にも原因がある

 そこに何か理由があれば人は人を傷つけても良いのでしょうか。そんな権利を持って生まれた命はあるのでしょうか。


 大人が子供たちに、傍観者は正義感のない卑怯者で、やり返すことを強さと教え、やられる子も悪いんだよと教えたらどうなるでしょうか。



 ……心から、反省です。




 小説って、テクニックは大事だけど、テーマも大切みたいです。


 最後に、小森香澄さんの御冥福を心よりお祈り申し上げます。

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