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TRPGリプレイ小説 「国境を越えて」  作者: えにさん
最終章 盗賊か冒険者か 【イェルム】
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8-4 迫り来る危険

 護衛メンバーを見て思ったことは、よくここまであやしい連中が集まったと言うものだった。リーダーであるディオン。その仲間のクーナ、リーブの三人をのぞいた他の連中のあやしいことと言ったら一言では表せない。

 筋肉マッチョのコーディはまだ許せる。しかし盗賊風の女、ディスは絶対やばそうだ。運搬する商品が狙いなような気がする。

 もう一人、全身ローブのキース。これまた怪しさ抜群で何を考えているのか判らない。ろくな事を考えていないと勝手に結論する。

 翻って自身を見ると、俺だって端から見れば盗賊に見えるし、実際王都ではそうだった。カイロウの奴も似たような所だろう。

 俺はこの怪しさ絶賛爆発中のメンバーで何事もなく依頼が終わるとは全く思えなかった。俺が考えるべきは何かが起きたとき、自分とリリーの命を守ることだった。普通に考えれば狙いは運搬する荷物。だからそれを放棄することで助かる可能性は高かった。もちろん口止めとして処分される可能性も忘れてはいけない。あらゆる可能性を想定して慎重に行動する必要があった。

 ちなみにリリーはいつもと変わらず通常運転。誰に遠慮することもなく普通に接している。メンバーに探りを入れる上でそれはありがたかった。

 リリーの背後に立ち、相づちをしているだけで怪しまれることなく、他者を観察出来る。普通ならそんな俺の視線を不審に思われるところだが、リリーの自然な笑顔がちょうどいい隠れ蓑になっていた。

 そうやって観察を続けるも、結局イマイチ正体が掴めなかった。理由は幾つかあると思うが、単純に相手の技量が俺のそれを上回っているからだろう。

 俺程度の観察眼では相手にならない。それはつまり事が起きたら逃げの一手。それしかない。それを決断出来ただけで十分。って言うかこの状況、どう考えてもやばすぎじゃねぇの?


 そして一行は予想通り山賊の襲撃をうけた。もちろんこれは事前情報もあって想定の範囲内。俺はリリーを庇いつつ応戦する。

 結果だけ言えばコーディの投石によって決着が付いた。今まで王都でいろんな奴を見てきたけれど、あそこまで力が強い奴は初めて見た。人間離れしているとしか言い様がない。

 人間離れしている?? 俺の予感が何かを訴えてきた。あいつは危険だと。今までの行程では奴の隣に位置していたが、出来ればそこから離れたい。いや、離れていた方がいい。

 それを願い出ようと思ったところ、リーダーのディオンが隊列変更を伝えてきた。ありがたいことにコーディとの距離が離れている。


「で、結果的にリリーと俺が最後尾になるわけ? なんかちがくないか」


「おにいちゃん。ディオンさんが決めたんだから、それでいいじゃん」


「まぁ。ダメって言うわけじゃ無いんだけど。…判りましたよ」


「先の戦闘状況を見て検討した結果なんだ。二人の危険度は上がってしまうように思えるのかも知れないが、結果的にこの隊列が一番いいと思う。よろしくお願いします」


 本当はとてもありがたかったのだが、一応否定的に答えておいた。この程度の偽装が通じる連中とは思わないが少しでも攪乱しておきたかったのだ。

 そして変更後の隊列で俺の正面に立ったのはキース。この男は必要以外に喋ることをせず、さっきの戦いでも何もしなかった。いや、少なくとも攻撃対象にならないよう行動していた。状況的に勝てることを確信していて自分の手の内を見せないようにしていたのかも知れない。

 とにかく判らないという意味で、危険人物の一人なのは間違いない。それでもあのコーディよりはましだろう。しかしこの男どこかで見たことがあるような気がする。うーむ、はっきり言葉に出来ない。いや、それよりもまずは目先の問題。身の安全を重視しなくては。

 よく言えば身内の危険から離れたが、悪く言えば最後方。後方からの襲撃は常套手段の一つ。さっきの戦闘だけで諦めたとは思えないから山賊に気をつけなくてはならない。キースにばかり目を取られていて山賊を見逃したなんて最悪だからな。そんな緊張した時間が経つ内に一行は吊り橋に到着。

 吊り橋を見た瞬間俺は悟った。これは絶対に何かある、と。って言うか最初からここが狙いだったんじゃねぇのか。


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