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TRPGリプレイ小説 「国境を越えて」  作者: えにさん
第一章 傭兵戦士 【ディオン】
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1-4 作戦タイム

 とにかく、山賊が逃げたことで戦闘は終了した。この状況から再襲撃の可能性は低い。


「みなさん、怪我は無いですか? 先ほど言いましたが、少し行った所に開けた場所があります。そこで休憩にしましょう。あの一撃を知ってすぐに戻ってくる可能性は低いと思われます。だから一息入れて万全を期しましょう」


 パーティメンバーの怪我が無いことをまず確認する。何本か矢も飛んできていたし、岩の破片も振ってきた。かすり傷でも安心は出来ない。それにリーブ達と話しておきたいこともあった。

 馬車を中心として、それぞれが思い思いの姿勢で休息をとる。


「リーブさん。疲れているところ申し訳ない。少しお話をしたいのですが・・・」


「それは構いませんが。いったいなんですか?」


「さっき攻めてきた連中のことです。今後の対策なんかを決めておこうと。攻めと守りに分けるとか」


「そういうことですか。判りました」


 そう言いながら、リーブをつれて馬車の影へと移動する。そこから先は周囲に聞こえないよう小声になる。


「リーブさんは察知する能力に長けています。だから聞きます。パーティメンバーの中に山賊の関係者がいるとしたら誰だと思いますか?」


「それは、その可能性があるってことですか?」


「可能性は非常に高いと思います。この手の山賊達がよく使う手なんです。さっきの戦いの中で、そういったことを感じ取れていたらと」


「そうなんですか・・・・。僕は人を疑うのが好きではありません。パーティになった以上、お互い信頼し合いたいと思っています。だから、そうですね。信用できる順に言います」


「それで構わない」


「まず、クーナは間違いなく信用できます。それからあなたも」


「当然でしょうね」


「次はリリーさん。彼女はそういうタイプでは無いと思います。イェルムさんはリリーさんと知り合いのようですし、除外しても良いのでは」


「それにも同意できます」


「それから、コーディさん。彼の岩投げには遠慮を感じませんでした。だから違うと思います」


「残るは、ディスとキース、それからカイロウ。この三人か」


「そうなりますね。でも、この人が怪しい。と言う部分は感じていませんよ」


「そこまでで十分です。さて、ここからがお願いなのですが、私一人で三人を監視し続けるのは難しい。だから」


「そういうことでしたら、私はキースさんを見張ります。隊列的にも妥当でしょう」


「ありがとうございます。それから隊列も少し変えようと思います。リリーさんとイェルムさんを最後方にして、クーナさんとリーブさんを馬車のすぐ後ろにします。二人には出来る限り馬車の近くにいてほしいのです」


「僕なんかがどのくらい役に立つか判りませんが、でも、やれる限りのことはしますよ」


「頼りにしています」


 そして、二人して戻ってくると、今後の隊列の変更について説明する。

 前後どちらから敵が来ても対処しやすいように、弓の得意なクーナとリーブを中心に変更する。一般的に最後尾は危険なのだが、今歩いているのは狭い一本道。後ろから迫ってきたとしても比較的早い段階で察知できる。それよりも壁上からの攻撃に素早く対応できた方が良いだろうと言うことだ。

 この変更に意見を言ったのはイェルムだった。


「で、結果的にリリーと俺が最後尾になるわけ? なんかちがくないか」


「おにいちゃん。ディオンさんが決めたんだから、それでいいじゃん」


「まぁ。ダメって言うわけじゃ無いんだけど。・・・判りましたよ」


「先の戦闘状況を見て検討した結果なんだ。二人の危険度は上がってしまうように思えるのかも知れないが、結果的にこの隊列が一番いいと思う。よろしくお願いします」


 変更後の隊列は、先頭にカイロウ。その後にコーディとディス。その次に私が馬を引く。荷馬車の後ろにクーナとリーブ。その背後にキース。最後尾はリリーとイェルムだ。この隊列ならば馬車を信頼できる人物で囲っていることになる。


 一行は十分な休憩を取った後出発した。決して歩きやすくは無い道をゆらゆらと進む。一本道であるため迷う心配は無い。

 確率的には低いが、また山賊の襲撃がくる可能性はある。このパーティの総合戦闘力を考えれば襲撃を恐れる必要は無い。むしろ襲撃に乗じて内部から裏切りが発生する方が危険度は高い。

 私は、十分な緊張感を持って行動していく必要があった。

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