4-3 ターゲットを追って
殺す方法。一番簡単なのは、近づいて急所にナイフを刺す。人にはいくつも急所があって、それを的確に刺せば簡単に死ぬ。
緊張し、周囲を警戒している状況でそれを行うことは難しい。
人は警戒が緩む時がある。一般的には寝ているときなどがそうだ。ちなみに一部の高い察知能力がある人物などは、寝込みを襲っても気づく場合がある。寝てはいても周囲に対する緊張を解いていないからだ。
しかしどんなことにも絶対は無い。極度の疲労後、重傷を負っていてそもそも動けない状態。魔法による状態変化。さまざまな理由によって、警戒心を低下させることが可能。
一撃必殺の技など存在しないが、さまざまな状況を作り出すことでその瞬間を手にすることが出来る。
確実な仕事をこなすには、ターゲットのことを知ることが肝心。行動パターンや長所短所。周囲の援助状況。そう言った所をしっかりと調べる。
依頼はパーフェクトにこなす。それには十分な情報、そして準備が必要。半月ほど時間をかけてそいつの行動を監視する。
対象の戦闘能力、察知能力、耐久性、癖、好きなもの、嫌いなもの。なにがどんなふうに役に立つか判らない。調べられるものはとことん調べる必要がある。
本人だけでは無い。共に行動している仲間もチェックする。実際に手を下すときは彼らも側にいる可能性が高いからだ。不確定要素は出来る限り排除する。
もちろんこちらの存在に気づかれてはいけない。全ては慎重に慎重を重ねて事を進めていった。
そうだ、一つ条件が追加されていた。街中で始末するのを避ける。死体が残らなければなお良い。とのこと。どんな方法だろうが、死は死でしか無いのだが。それが依頼なのだからそうするしかない。
行動を開始して、程なくターゲットを発見した。資料の通り冒険者をやっている。冒険者と言うものは、特定の居を構えて行動しない。街から街へと根無し草のように移動し、そこかしこで様々な依頼を請け、その報酬によって日ごとの生活を行っている。
一定パターンの行動が少ない上、一つの場所に長居しない。これは相手を知る上で面倒な事だった。
時間をかけ十分な下調べを続ける。ターゲットは単独でも高い能力を有する。加えて共に行動する仲間も手強い。全員が揃った状態で何かを仕掛けるのは難しいだろう。分断する、あるいは単独行動を狙うなど、策を練る必要がある。
幾つかのパターンを検討し、その中から可能性の高い方法を選択していく。




