2-4 作戦タイム
「みなさん、怪我は無いですか? 先ほど言いましたが、少し行った所に開けた場所があります。そこで休憩にしましょう。あの一撃を知ってすぐに戻ってくる可能性は低いと思われます。だから一息入れて万全を期しましょう」
一行はディオンの言う少し開けた場所で休憩を取ることになった。各々が自分の状態を確認して報告する。多少の疲労はあるが怪我は無い。
さぁどうしよう。水の牙の連中はどのくらい本気を出すかな。もしかしたら襲うのやめるかも知れないよね。勝てるにしても相当な被害が出るのも間違いないし。そこまでする理由は彼らにはなさそうだもんなぁ。後は寝込みを襲うとか? うん、それくらいしか方法無いかも。全体行程的にもまだ五、六日は掛かるんだし。焦らず行こう。
さてさて、みんなの様子はどうかな。ディオンは今後についてリーブと話をしていて、クーナはその様子を伺っている。カイロウとコーディは、なんか飲んでる。結構強いお酒なのかな。コーディは慣れた感じだけど、カイロウはケホケホやってる。今更ながら思うんだけど、このパーティはバラバラなんだよね。チームとしてなっていないというか。一応リーダーはいるけど、みんな好き勝手に動いているんだよ。休憩時も無理にコミュニケーションとろうとしないし。
初顔合わせが多いとは言えもうちょっと砕けても良いと思う。とは言え、アタシも深くつきあうつもりは全くないんだけどね。さてと、一人で浮いているみたいだし、クーナさんと話でもするか。彼女たちの思惑を掴んでおきたいしね。
「あら、一人? どうしたの彼において行かれたの?」
「彼じゃ無いってば。リーブはディオンさんと打ち合わせ中」
「冗談だって。で、怪我とかは無い? 大丈夫だった」
「それは大丈夫です。私たちの方には殆ど矢が飛んでこなかったですし」
「逃げろ。なんて聞こえたけど、それより速く敵の方が逃げたもんね」
「ええ。コーディさんのあれは凄かったです。何かの技なんでしょうか」
「技って言うより、力任せって見えたけど」
「どちらにしてもあれのおかげで助かりました」
「それはそうとして、クーナさんは向こうに着いてからどうするの?」
「どうするって言いますと?」
「隣国のヴィセアに行くんですよ。滞在するのか、それともすぐ戻るかって事ですよ」
「わたしはヴィセアがどんなところか興味があるのでしばらく滞在するつもりです」
「何か当てがあるって事?」
「特別何かあるわけじゃありません。でもリーブもいるしなんとかなると思います」
「ディオンさんも一緒に行動するんでしょ」
「どうなのでしょう? そうして貰えると嬉しいですけど。これが終わった後は何か考えがあるみたいです」
「そうなんだぁ」
「そう言うディスさんはどうするんですか?」
「アタシはすぐに戻るつもり。こっちの方が知り合いも多いし何かと楽だもん」
「来た道を戻るんですか?」
「どうかなぁ。こっちは山賊いるし、遠回りだけど関所を通った方が安全かも」
「ですよね。みんなと一緒ならともかく、少人数で通るのは危険ですね」
そんな雑談をしているうちにディオンが戻ってきてみんなを集めて話し出す。どうやら今後の隊列を変更するっぽい。
「先の戦闘状況を見て検討した結果なんだ。二人の危険度は上がってしまうように思えるのかも知れないが、結果的にこの隊列が一番いいと思う。よろしくお願いします」
中央の比較的安全な位置から最後方へと変更になったイェルムが多少文句を言っていたが、許容範囲と納得したみたい。そうして今後の隊列が決定した。ちなみにアタシのポジションは実質変わっていない。