体力測定で勝負です!!
本日木曜日は男女共同の体育がある日だ、何をするかといえば体力測定だ、握力であったりを個々に計っていくよくあるものだ、なぜ今日かといえば明日がテストなので今日は測定だけして早く帰って勉強できるようにとのことらしい。
「体力測定かぁあんまり真面目にやってこなかったんだよなぁ、氷柱さんはどう」
隣にいる氷柱さんに対して質問する、今日は珍しく早起きしてたまたま登校中の氷柱さんを見つけたので一緒に教室まで登校している。
「そうですね、私も今まで半分くらいしか力を出していませんでした、第一あの時はやる気もありませんでしたから、でも今は気合十分なので中学の記録を大幅に越してしまうかもしれません!」
自信に満ちた表情でそういう彼女の笑顔を見ながら、頭を回す。
「じゃあ僕も今年は頑張ってみようかな」
「いいですね!なんなら勝負しませんか!勝った人は良識の範囲内で負けた人にお願い事をできるとか!」
思ったより大胆な提案に驚く。
「それじゃあ、良識のある勝負をしようか!」
「しましょう!」
「それじゃあ僕が勝ったら、一緒にゲームでもしたいな!氷柱さんはどうするの」
「それは、いいえ秘密です!」
「そう言われると気になる!!でも秘密なら仕方ないよね」
「はい!それじゃあ良い勝負にしましょう!」
「うん!」
教室に入ると中にはまだ誰もおらず2人だけの状態だった。
「あれ?一着なんて珍し気がする?」
「はい私も初めてです!」
「そうなの、氷柱さんより早くくる人って一体?」
「それはですね、清水さんと桂くんです」
「桂くん?あぁあの男の人か!」
「はい!ってそんなあんまり見たことない人を言うみたいな、寮一緒ですよね?」
「多分そうなんだけど、いまだに寮の中で見たことないんだよね」
「そうなんですか!じゃあ今日は少し珍しい日かもしれませんね」
「そうかもね!じゃあそろそろ席に座って待ってようか」
「はい!」
教室の中で二手に分かれてそれぞれの席に着く。
その後続々と17人の生徒が教室まで来てそれぞれの席に座った。
あれそういえば清水さんまだきてないよう?って!えぇ!なんでもう席に座ってるんだ、入ってくるところ見てない気がするけど!?
驚くのも無理はないなぜなら入ってくるところを見れるはずがないのだ。
それはなぜか答えは単純教室にいたのに見えなかった、いやどちらかというと見にくくなっていた。
少し時を遡って一名たちがくる1分前。
「今日も早くきてしまいました、特に何があるというわけでもないのに」
スマホを眺めながら早く来すぎたことに対する小言を言っていると廊下の方から2人の話し声が聞こえた。
!!誰か来ます、しかもこの声中川さんの声!どうしよう!
何かに隠れるよう咄嗟に窓際のカーテンのところに影ができないように隠れていたのだった。
あれでもなんで隠れたんでしょう?別にいつものことなのに
確かに隠れる理由はない、しかしその隠れる理由は今までのストー、ゲホンッ、2人の観察をしてきたことによってどちらかの声を聞くと必然的に隠れるようになったのだ。
そして隠れるもう一つの理由は後から続いてやってきた。
そう一名が珍しく朝早くに起きて氷柱と一緒に登校してきたのも理由の一つだった。
あれ?なんで桂くんがもう教室に!?いつもはもっと遅いのに
いつもは遅く来る一名が早くきたという事象に対して心の潜伏能力が出した最適解の行動がカーテンの裏に隠れるというものだった、つまり反射能力にも近い形で隠れたのだ。
でもどうしよう?ここからどう自然に自分の席まで戻れば?
しかしながら、そのタイミングは意外と早くやってきた、そう他の生徒が教室まで登校してきたのだ。
そのタイミングですぐさま席につき誰にもバレない形で座った。
そうして現在に至る。
まっ、まぁそれはさておき先生の話を聞こう
「それでは、今から体力測定について説明します、まずは外でやる種目を終わらせてその後体育館に移動したのち握力などを筆頭にそれぞれの測定を終わらせます、その後身体測定もついでにやってしまいます、その後制服に着替えた後、教室にて記録した後解散となります、ではまずは各自更衣してグラウンドに集合してください」
先生の指示のもと動き全員がグラウンドに移動する。
「それではまずここで私と池田先生で50メートル走の記録をします、私があっちで記録しますので池田先生の合図で走ってきてくださいでは私はあちらへ」
説明を終えたのち50メートル先まで移動する先生を見届けてから50メートル走が始まった。
「それでは全員名簿順で進めていくから各自そのまま名簿順2列になってくれ」
そして、そのまま順番通りに走っていき僕の番になった。
「それでは次桂いや桂 化菜と桂 一名」
そうですよね、苗字一緒ですもんね!!
「では位置についてよーいどん!」
合図とともに走り出す。
50メートルだからそこまで時間もかからずにゴールできた。
「一名くん8.27秒、ついで化菜さん9.76」
あれ?そんなに差あったかな?まぁ取り合いず待機しておこう
その後もう4組が終わり氷柱さんの番になった。
「絶対に勝ちますよ!」という意志の固い眼差しでこちらをみる。
眼差しに対して誰にも見えないぐらいの小さく手を振る。
その瞬間に合図が出され走り始める。
そして10秒以内にゴールしたのだけは確認できた。
「中川さん7.28、ついで能山くん7.52」
す、すごい!めっちゃ早かった
そして全員がなんとなく一定の場所に座っていただけだったので氷柱さんは僕の隣に座った。
そして僕の耳元に口を近づけて僕にだけ聞こえる声で。
「私の勝ちです!」
と勝ち誇った笑顔でそう言った。
「でもまだ始まったばかりだよ」
こちらも負けじと耳元で言い返して、互いに火を燃やす。
そしてそれをみる視線が一つ、もう言わなくても察しがつくだろうが、心が再び一名達の方を見ているのだ。
何を喋っているんでしょう?ここからでは聞こえないし、でも近づくのもあからさまだしどうしよう!
悩みに悩むもの決まらずそのまま最後の走者も走り終え次の種目に移動する。
ちなみに心のタイムは7.11だった。
「では次はハンドボール投げですのでネットがある方まで移動してください、そこに次の担当教師がいます」
そういった流れでどんどんやっていき結果的に僕の勝利という形で終わった。
その後教室に戻って記録した後解散となった。
そして、僕と氷柱さんだけ教室に残り2人で話しをする。
「くぅ私に握力さえあれば勝てたのに!!」
「そこはまぁあのどんまいとしか言いようが⋯⋯」
「次は勝ちます!!」
「次もやるの!?」
「はい!私が勝つまでやりますよ!」
「そ、そんなぁ〜、うんまぁでも楽しいからいいよ!」
「はい!!」
「それじゃあ次の勝負は置いといて、そうだな〜今週の土曜日って何か予定ある?」
「いえ、特にこれというものはないです」
「それじゃあ、その日に一緒にゲームしよう!って聞くの忘れてたけど持ってる?天下争乱?」
「ふふん!」と誇らしげに笑ってから。
「全て履修済みです!」
「よかった〜!!」
「では、わかりましたテスト後に次の日一緒にしましょう、では今日フレンド登録などだけやりましょうか?」
「そうだね」
「では、一旦帰って設定しましょうか」
「うん、あっ!そういえば僕が勝ったから結局聞けなかったけど何をお願いするつもりだったの?」
「あぁそれは、いえ、そうですね、私にもう一度勝って聞いてください!」
笑顔を見せてそういう。
「うん、それじゃあ次も負けられないな」
「はい!全力で勝ってください!もちろん私も負けるつもりはありませんが!」
この胸にある想いは今はまだしまっておきます、それに今は友達時間をもっと楽しみたいですから、一名くんと一緒に!




