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ぼっちの学校  作者: 水銀
第二章 心を紐解き心を開く
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英語の授業と体育館裏

氷柱(つらら)さんがいる方を見つめていたらいつの間にか授業が始まる5分前になっていたので急いで1時間目の英語の準備をする。

そうこうしている内に授業が始まる。


あれ先生がまだ来てないのにチャイム鳴っちゃった


それから3分くらい経っても先生は来なかった。


寝坊とか?でもどうなんだろ、あんまり先生の仕事について詳しくないしな、もしかして移動教室とか?でもまだ初回の授業だしそれっぽい教室もなかったすなぁ


1人心配になっていると、廊下の方から走ってくる足音が聞こえた、だんだんと近づいてきて一番近くまで来た時と同時に扉が開いた。

息切れしながらも着実に教卓の方に向かう。

そして咳払いをしてから話し始める。


「えぇ、すみません普通に寝坊しました、次からは気をつけます」


一言目は遅刻したことについての謝罪から始まった。


「それでは授業を始めます、まずは軽く自己紹介から、私の名前は長谷川 英璃(はせがわ えり)、年は33歳で誕生日は7月8日、趣味は旅行です自己紹介は以上では授業に入ります」


そういって、カバンから荷物を取り出して授業を始める。


「さてまずは授業がなかった理由ですが、とある交渉をしていまして、その交渉が少々時間がかかった感じです」


交渉ってなんだろう?授業関連なのかな


「その影響で今週からしばらく英語が一週間に7時間分ある時が多くなりますのでその点を頭に入れておいてくれれば嬉しいです、他の業務連絡といえば今週の学力調査テストですが、入試問題と似た感じで出題されますので、少し難しくなるかもしれません」


えっ!?入試問題ってあの!?それとも赤本との方?どっち!?


疑問と困惑が出たり引っ込んだり頭の中がこんがらがる。


「では授業の進行についてですが1学期は論評、要は文法を中心に進めていき後半は文章を中心に進めます」


よし一旦授業の話に集中しよう


「1学期と2学期はそんな感じで進行します、そして3学期は現在企画中ですので二学期の後半くらいに話すと思います、それでは今日は単語だけやってしまいましょうでは教科書を開いてください」


その後はただひたすらに単語を書く授業が続いた、その後も他の授業が続き気づけば昼になっていた。


もう昼かぁ、じゃあ食堂にって、今日は確か体育館裏に呼び出されてたな


周りを見渡してみると氷柱(つらら)あんがすでにいなかった。


もう行っちゃったのかな?じゃあ待たせるわけにもいかないし僕も行こう


教室を出発して体育館まで行き周りを通って裏まで行く。


「あっ!」


体育館裏まで行くと氷柱さんが階段のところに座って待っていた。


「あっ!一名(ひとな)くん!」

「ごめんまたせちゃった?」

「いえ、私も今来たばかりですし大丈夫です」

「よかった〜、それにしてもなんで体育館裏に?」

「ふふ〜ん、それはですね!」

「それは?」

「これです!!」


ババンと出されたのは巾着に包まれた四角い何かだった。


「それは一体?」

「連想してみてください、お昼、巾着、四角い何か、体育館裏といえば」


頭を回転させて考える、そして答えには簡単に辿り着いた。


「あっ!お弁当!」

「正解です!」


巾着の結びを解いて、花柄の大きめのサイズのお弁当箱が姿を表す。


「大きい!作るの大変だったんじゃ?」

「いえ、いいんですなぜなら友達と一緒に作ってきたお弁当を食べるというのも私の夢だったんです!」

「それなら僕も作ってきた方が良かったんじゃ⋯⋯」

「確かにそれもそうですね」

「あっ!氷柱殿妙案があります」

「ほほうそれは」

「毎週交代で月曜日にお弁当を作ってくるというのはどうでしょうか」

「それはそれは確かに妙案であるな、ふふ」


クスッと互いに笑った。


「なんで歴史風で喋ったんだろう」

「多分さっきの授業は歴史の授業だったからだと思いますよ」

「そうだったね、で月曜日に交互に作ってくるってことでいい?」

「はい!私友達の作った手料理を食べることも夢だったんです」

「じゃあそういうことで来週は僕が作ってきます!でお互いに作って来れない理由がある時は連絡するとします!」

「はい!それじゃあ食べましょうか!」


そうして2人でお弁当を食べ始める。

弁当の中身は彩豊かでその上健康にも気を使った内容で見ているだけで食欲がそそられる見た目だった。

そう見ているだけで。

弁当を美味しそうに食べる2人を体育館の陰から見つめる1人の少女がいた。


「2人でお弁当を食べるだなんて、あむ、どういう関係なんでしょう?」


彼女の名前は清水 心(しみず こころ)、清水ソーシャルネットワークの社長の娘でありこの学校に通う生徒でもある、そんな彼女が今あんぱんを咥えながらこうして陰に隠れて観察しているのは気になるという好奇心的な行動といいなと思う羨ましさの二面性がある。

ここで少しだけ彼女の昔の話をしよう、彼女は生まれながら人見知りで家の中でも家族以外とまともに話すことができずにいた、でも幼少期はずっと家で育ってきたため環境にも少しずつ慣れてくるのは必然で使用人達ともある程度話せるようにはなってきた。

だがそんな彼女にとって大問題があった、それは小学校に通うということである、義務教育である都合上通わざるを得なく、渋々学校に行ったものの行けばそこは話し声で溢れるミニ都会であり人見知りの彼女は萎縮してしまう、しかしそんな彼女に対して話しかけてくる人もいたため驚きのあまり逃走することも多々あった、そんな中で彼女が身につけたのが潜伏能力である、人に見つからないようにするための最適解を考えて行動に移すという考えて行動することによりたった“一度“を除き見つかることはなかった。

その能力が今こうして役に立っているのである。


「あむ、それにしても美味しそうなお弁当です」


今日のお昼はわざわざ人見知りの心がわざわざ学校を出て、パン屋まで買いに行ったあんぱん3個が今日のお昼ご飯なのに対して、あっちはいろんな具が入ってるお弁当だからよだれを垂らしそうなぐらいに羨ましく思うのは誰から見ても明らかである。

だからお腹が鳴ってしまうのも仕方ないのだ。

ぐ〜っとお腹がなり、瞬発的に隠れる心。


聞こえてしまいました!?


「何か音聞こえなかった?」

「いえ私は特に聞こえませんでしたけど」

「じゃあ気のせいかな?」

「はいそれより後15分ほどで授業も始まることですし食べてしまいましょう!」

「そうだね」


え!もうそんな時間私も早く食べないと!!


咄嗟にその場に座り込んで袋からあんぱんを取り出し食べる。


「ごちそうさまでした!」

「はい!お粗末さまでした!それじゃあいきましょうか!」

「うん!そうだね」


!!早いです、まだ食べ終わってないのに!


その場であたふたしそうになるが、すぐに冷静になりバレない場所に隠れる。


「次の授業ってなんだっけ?」

「確か数学だったと思います」

「そっか、ん?」

「どうしたんですか?」

「いや何か落ちてるなって」

「確かに何かのパッケージみたいなものが」

「あぁ、カフェの近くにあったパン屋さんのパンのパッケージじゃない?」

「あぁ、あの有名なところですね!」

「でもなんでこんなところに?」

「さぁなんででしょう?取り合いずゴミでしょうから教室のゴミ箱に捨てておきましょう」

「そうだね」


そうしてパッケージを拾ってそのまま教室の方へ向かう。


「ふぅ、危なかった」


体育館の壁を登って上の室外機があるところまで登っていたため見つかることはなかった。

地上まで飛んで降りて一名たちが進んだ方を見る。


「それにしてもパッケージを落としちゃった時は焦りましたけどなんとかバレずに済んでよかったです」


安心して一息ついていると、チャイムが鳴る。


「あっ、早く行かないと!」


残ったあんぱんを口に咥えて、走り出すそれもものすごいスピードで。

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