2人の勉強会
「さて、準備したものも持ったし、忘れ物もない!じゃあ出発するぞ〜」
カバンを背負って帽子を被り家を出る。
フロントでの手続きを済ませて、校門まで向かう。
校門が見える所まで、行くとすでに氷柱さんがついていたので小走りで向かう。
「ごめん、待った?」
「いえ大丈夫です、十分前ぐらいについたばかりなので!」
「やっぱり着くの早いね、学校にはいつも何時くらいについてるの?」
「大体毎朝6時くらいに起きて、教室には8時20分ぐらいにはついていますね!」
「すごいなぁ、僕なんて大体、50分とかなのに、やっぱり早起きの方がいいのかな?」
「まぁ人によってそれぞれですから、自分にあったと思う時間でいいと思いますよ!」
「それもうだね、じゃあそろそろ行こうか行き先は取り合いずカフェとだけ聞いてるけど?」
「はい、この前見つけたのですが、路地裏に一軒だけカフェがあったんです!」
「そこでなら勉強もできるんだ!」
「はい!看板に書いてありました!じゃあ出発しましょ〜!」
元気な声でそう言いながら坂道を下っていく。
10分ほどたって到着するとやはり今日も人で賑わっていた。
「やっぱり人多いね」
「そうですね、じゃあ引っ張っていくのでついてきてください!」
そういって彼女は僕の手を掴んで引っ張っていく。
人混みの中を抜けた先の路地裏につくとそこは見覚えのある場所だった。
「路地裏ってこの前と同じところだったんだ!」
「はい!でお店があそこです!」
指を刺して示した先には、おしゃれな看板のカフェがあった。
「カフェ・リアか、なんか漠然とオシャレに見えるね」
「はいやっぱり路地裏にあるカフェっていいですよね!この辺りは来たことがなかったのでやっぱりいいです!」
「じゃあ入ろっか!」
扉を開けて店内に入る。
内装はよくあるカフェの内装といった感じだが特異な点を言えば外からではわかりにくいぐらいに広い、それに個室や団体で入れそうなスペースなど様々な客層に対応しているのがわかった。
「いらっしゃいませ〜、あっ!」
店員さんがこっちを見て驚いた表情を浮かべる。
「どうしたのかな?」
疑問に思ったので、氷柱さんの方を見てみると、氷柱さんも驚いた顔をしていた。
あれ?これ僕も何か驚いた顔した方がいいのかな?
そんなどうでもいいことを考えていたら店員さんが口を開く。
「あなたもしかして、クレープ食べにきてくれた子?」
「あっはい!」
「本当に!また会えて嬉しい!」
クレープ?あぁ!あの氷柱さんが食べたっていうクレープ屋さんの人か!でもどうしてここに?
「あの、すみませんどうしてここに?」
「あぁ、そういえばあれ以来、来てなかったからわからないか!いや〜クレープ屋さんを開いたのはいいものの従
業員を雇い始めた頃、とある企業と合併するって話になってねでその時に、ここのお店をしてるおじいちゃんが腰を痛めたっていうから、合併ついでにやめてこっちにきたのよ、で今ここで新しくクレープとカフェを作ってるてわけ」
「なるほど」
「それにしても、前より表情が柔らかくなった気がする、う〜ん」
何か考え込むようにしながら氷柱さんを見つめていると、急に僕の方を見始めた。
「ん〜、もしかして彼のおかげかな?」
「そうなんです、一名くんのおかげで私救われたんです!」
「ふ〜ん」
ニマニマしながらこっちを見てくる、そして急に肩を叩いて。
「そっか、そっかじゃあ彼氏くん頑張ってくれたまえ」
「えっ?」
「へっ?」
「あぁ違いますよ、僕たち友達なんです」
「そうです!私達友達なんです」
嘘偽りのない目で見ながら認識を改める。
「あぁそっか、お姉さんのはやとちりか、ってそろそろちゃんと転院しないとな、はいそれではお席にご案内しますがどちらにいたしますか?」
だいぶ急だな〜
「じゃあ、窓際のソファーの席でお願いします」
「かしこまりましたではご案内します」
案内されたまま着いていくと個室の手前のL字のソファー席に案内された。
「ではメニューが決まりましたら、そちらのベルを鳴らすかスマホでコードを読み込んでそこから注文してください、それじゃあね」
「あ!そういえばお名前聞いてませんでした!」
「おっと!忘れるところだった私の名前は山鳥 紫穂多分しばらくはこの辺に住んでるからあったら声かけてね!っと注文入ったじゃごゆっくり」
そういってバタバタと慌ただしくきた道を戻っていった。
「なんというか元気な人だったね」
「はい、滋賀では受験もあって一回にしかいけなかったんですけどまさかこんなところで会えるとは」
「よかったね!知り合いがこんなに近くにいて!」
「はい!人間の縁と言うものはこんな偶然を起こしてくれるんですね!」
「だね!じゃあ取り合いず飲み物だけ頼んじゃおうか」
スマホを取り出しコードを読み取る。
「はい!私はアイスティーでお願いします」
「じゃあ僕はミルクティーにしようかな」
注文を完了してスマホをしまう。
「まずはなんの勉強をしようか?」
「そうですね、やっぱり最初は公式とかが覚えやすい数学とかからですかね」
「じゃ、教科書とノート出して勉強しようか!」
「わからないところがあったらお互いに確認する感じでいきましょう!」
そうして、それぞれ勉強に入る。
途中、商品を届けにきても。
「商品をお持ちしました〜、ってすごい集中力、全然聞こえてないや、う〜んじゃあぶつからない位置においておこう」
その後も時々質問しあったり、いつの間にか届いていた飲み物に驚きつつしながら2時間近く経った。
「ふ〜、数学と国語終わり〜氷柱さんはどう?」
「はいこっちも英語以外は終わりました」
「あとはお互い英語だけか」
と、ここで2人ともお腹がなる。
「そろそろお昼頼もうか」
「はい⋯⋯」
「う〜んメニュー結構あるなぁ」
「あっ!クレープもあります!」
僕が見ていたメニューの裏も見ながら目を輝かせていう。
「ほんとだ、しかもお昼ご飯用のセットもある!」
「私、クレープのヘルシーセットにします!」
「じゃあ僕は、カレー風味のクレープセットにしようかな」
注文して今度は驚かないために商品が届くまで待つ。
「お待たせしました、こちらクレープのヘルシーセットとカレー風味セットになります」
届いた商品は食欲をそそる匂いと綺麗に作られた見た目だった。
「それじゃあ、『いただきます』
2人でしっかりと手を合わせて食べ始める。
「ん!!これすごく美味しい」
「こっちもです!」
それから2人は夢中になって食べ進め気づいたら2人とも食べ終わっていた。
「美味しかった〜」
「はい、ついつい言葉を忘れて食べるのに集中してしまいました」
「それじゃあ、勉強を再開しようか」
その時個室の扉が開く音がする。
そういえばちょくちょく店員さんが商品運んでたな
個室の扉が閉まると、中に入っていたであろう人の姿も見えた。
「あれ?清水さん?」
出てきた人は清水さんだった。
「あひ!!」
つい声に出してしまうと奇声と共に清水さんが尻餅をついた。
「あ!大丈夫!」
「清水さん?」
あれ氷柱さんの口調が元に!?
「あっ、あっ、大丈夫でしゅかりゃー」
かみかみながらも大きな声で大丈夫といってレジの方まで小走りで行ってしまった。
「大丈夫だったのかな?」
「多分大丈夫だと思いますけど」
「あっ、よかった口調戻って」
「すみません、まだ面識が浅い人の前では緊張してしまうみたいで」
「そっか、まぁこれから少しずつ直していけばいいしね!」
「はい、あと少し心配ですけど、取り合いず勉強してしまいましょうか」
「そうだね」
その後も何事もなかったあのように勉強を進め、1時間経つ頃には残りの範囲全てが終わっていた。
「それじゃあ勉強も終わったしそろそろ帰ろうか」
「はい、そうですね」
そうして2人で会計を済ませて学校まで戻る。
「じゃあまた」
「はい、またいきましょうね!」
そうして別れた後はいつも通り過ごして1日が終わった。




