友達との時間
2人で泣き笑いしているとそれなりの時間が過ぎていた。
「中川さん、集合の時間まであと15分ぐらいしかないよ!」
「え?、本当に?」
「早く行かないと間に合わないかも」
「ちょっと待って、こんな顔じゃなんて言われるかわからないよ」
「あ、確かにどうしよう」
今彼女は泣いたあと、目が少し赤いなんなら僕自身も少し嬉泣きをしたので少し赤い。
「じゃあ、えっとそうだ!藍沢先生に連絡してみよう!」
「えっ、でも交換してるの?あっ、そっか」
「うん、この前のオリエンテーションの時に交換してるから、でも何て言えば」
「う〜ん、あっそうだ私から連絡してみるね」
何か自信があるようなので一旦任せてみる。
それにしてもなんだか口調がさっきより明るいというか?表情も豊かになったていうか
「わかったよだって、先に自由行動しておくよう言っておくって」
「ほんと!でもどうやって?」
「そのそれは⋯⋯」
少し恥ずかしそうにしながらスマホの画面をこちらに向ける。
「猫を見つけたので遅れます?」
「声に出して読まないで⋯⋯恥ずかしい」
「あぁだからこの前の土曜日路地裏で猫といたのか!」
「うっ、うん」
「じゃあ取り合いずこれで大丈夫なんだよね、じゃあ少しだけやりたいことがあるんだけどいい?」
「やりたいことって?」
「その〜一緒に写真を撮りたいな、なんて⋯⋯ほら鳥居とかも撮りたいからさ」
若干言い訳のように聞こえる口調でそういう。
「うん、いいよ!」
「本当に!」
「じゃあ鳥居のところまで行こう!」
そうして鳥居の下まで移動して写真を撮る。
「いくよ」
「うん」
初めての友達だからか、2人とも距離感がわかっていないためとても近い距離で写真を撮る。
「撮れた!どれどれ⋯⋯」
クスッと笑う、写真に映る2人はまだ目が赤かった。
「笑わないでくださいよ!一名くん!!」
「いやだってこれは、ってひとなくん?」
「はい、私友達ができたら名前で呼び合ってみたかったんです!」
「そうなんだ、それじゃあ僕も氷柱さん?」
「はい!!」
満面の笑みでそう言う。
「それじゃあ、あっ僕も石持ち上げておこうかな?」
すると彼女は苦い顔をする。
「どうしたの?」
「いえ、まだ少し怖いと言いますか⋯⋯石とは言えど一度絶望に打ちのめされたきっかけですし、それに⋯⋯あんな醜態を見せてしまったのですから⋯⋯思い出しても恥ずかしい⋯⋯」
前とは打って変わって、ころころ変わる表情を見ながらも考える。
氷柱さんにとってはトラウマになってるのか、でもそれなら!
「じゃあ行こう!」
「えっ!」
彼女の手を引っ張って石のところまで。
「この石がトラウマになってるなら今解決しよう」
「えっでもどうすれば?」
「だって実際に僕と友達になれたわけだし、未来は確定したものじゃないしほら!」
彼女の手を掴んで一緒に石を持つ。
「1人では無理でも2人なら、2人が無理なら3人で!全部1人で抱え込まなくていいんだよ!辛い時、何かに打ちのめされた時僕みたいに誰かが話を聞いてくれるし、そばにいてくれる、僕たちは1人じゃない、常にたくさんの人に支えられているんだから、なんて僕も最近まで1人だったんだけどね」
「やっぱり優しいですね⋯⋯よし!」
全身から精一杯の声を出す。
「ありがとうございます!これから少しずつでも歩んでいけそうです、例えそれがどんなに小さな一歩であったとしても、だってこうして今一名くんと出会えたんですから!」
自信と力強さに溢れた言葉でそういう。
「それじゃあ行きましょう一名くん、私たちもいっぱい見てまわりましょう!」
「うん!じゃあ行こっか!」
そうして歩み出す、先ほどまでとは違う表情で。
「いや〜いきなり猫って送られてきた時は驚いたけどまさか2人で来るとはね〜」
『すみません⋯⋯』
「別にいいよ〜だって先生今日はオフと変わらないからね〜」
「でも待っててくれたんですよね、ありがとうございます!」
「おや〜口調が少し変わってるね〜何か吹っ切れたのかな〜」
「はい!一名くんのおかげで吹っ切れました!」
「それはよかったよ〜、じゃあ〜この後の自由行動も頑張ってね〜あっあと私の部屋にはいつでもきていいからね〜猫ちゃんたちと待ってるからね〜」
「あっ、はい」
少し照れながら返す。
「じゃあ、いってらっしゃい〜」
『はい!!』
これにて第一章完!ほとんど説明パートでしたが次からは物語をどんどん進めていく⋯⋯予定ですので読んでくれたら幸いです!




