学校を見て回ろう! 其の六
「竹内先生、こんにちわ」
取り合いず挨拶をする。
「君は、、、桂くんこんにちわ」
互いに挨拶をしたものの次に何をいったものか黙ってしまう、そういった様子から感じとったのかはわからないが、竹内先生の方から話しかけてくれた。
「桂くんは美術室を見学しにきたんですか?」
「はいそうです、時間的にもこっち側にいた方がいいと思ったので」
「そう計画的でいいですね」
「ありがとうございます、ちなみに聞きたいんですけどこの絵は?」
「あぁ、その絵ね、私が描いたんだけど題名が決まらなくてね⋯⋯」
「そうだったんですか、それにしても綺麗な絵ですね」
「ありがとう⋯⋯」
そう言ったあとしばらく黙り込んんでしまう。
「あの、どうかしたんですか」
声をかけると急に先生が喋り出す。
「そうね、そうしましょう」
「?」
「桂くん、この絵の題名考えてみてくれないかしら、客観的視点が欲しいの」
「急にそんなこと言われても、、、」
流石に困惑の色を隠せない。
「どんなことでもいいの、君の純粋な意見が聞きたい」
「それじゃあ少し時間をもらってもいいですか」
「わかりました」
椅子に座って、少し考えてみる。
青を基調とした色使いで、渦のような絵、でも渦のイメージとは裏腹に明るさも兼ね備えている色の絵かぁ、この絵の題名を考えるのはなかなかむずいなぁ
「う〜ん、、、」
先生の方をチラッと見てみると真剣な眼差しでこちらの回答を待っている。
明るいといえばなんだ?「楽しさ」?「青春」?、渦といえば「海」と「魚」?とかか?、いや違うか、明るいは「生」生きた人間のイメージで渦は人がたどり着けない、または人の命を奪う可能性のある「不」のイメージと考えればどうかな?明るく描かれた渦は奪うじゃなく生み出すと考えれば
「生寿なんてのはどうでしょうか、先生」
熟考した上で考え出した答え、渦という発音のままで「生」の意味を待たせる。
全力で考えた上で出したからそれなりに自信もあったため勢いよく先生の方を見る。
すると先生はポカンっとした顔でこっちを見ていたがすぐに表情変えて喋り始める。
「そうか、フフッ、そうか君が少しわかった気がするよ、いいね生寿」
さっきより少しだけ口調が変わった気がするものの、褒めてくれたことで安心する。
「さて、それじゃあもう時間だし移動しましょうか」
そこでチャイムが鳴る。
「11時50分のチャイムね、私は片付けてからいくから先に食堂に行っておきなさい」
「わかりました先生、では失礼します」
そういって扉を閉めて食堂に向かう。
「桂くん、わかっていたことだけれど想像以上にいい子ね、校長の見る目は相変わらずすごいわね、さてパッパと片付けて食堂でお昼ご飯を食べましょうか」




