学校を見て回ろう! 其の三
屋上テラスから出て一息つく。
腕時計を見て時刻を確認する。
「まだ10時かぁ、、次はどこに行こうかな?」
言われていた時間まで後2時間ほどあるためどこに行こうか迷う。
「3階は大体見終わったし次はどうしよう?」
三階の残る場所は空の教室と校長室くらいだ。
「2階は何があるんだっけ?」
手に持っていた冊子を広げて確認する。
「えぇっと、化学実験室かぁ、そこまで化学には詳しくないんだよなぁ。でもまぁいってみるか!あと2時間くらいあるわけだし」
せっせと階段を降りていく。
化学実験室は屋上テラスの真下にある。
「化学実験室はっと、こっちは準備室だからこっちか」
扉の前まで行くと中から話し声が聞こえてきた。
声の感じからしておそらく女性、それも2人いる。
「であるから、化学は発展してきたわけだよ!」
「そう、それに連なって生物学も進歩してきたわけなんだよ〜!」
何かの講演会のような説明口調で話す2人。
窓からそーっと見てみる。
2人の教師に対して1人の生徒が真剣な顔、というよりは表情を変えずに聞いていた。
「あれって、、」
すると1人の教員がこちらを見る。
「ん?あれは確か」
こちらに気づいたのか足早にこちらにきて扉を開ける。
「ようこそ!化学と生物の研究所へ!さぁさぁこっちへ来て君も聞いてくれ」
半ば強引に連れられてもう1人の生徒の隣に座らされる。
「ではでは生徒の数も増えたことだし、一つの実験でもしようか!」
「ちょいちょい、待ちなよ久美まだ自己紹介してないでしょ〜」
「あら、そうだったわね。ではあなたは2回目で申し訳ないけどちょっと待ってね」
そう言われて隣のあなた、改め中川 氷柱さんは頷く。
「ありがとう!では改めまして私の名前は野田 久美科学を担当してるわ!」
「で私は藍沢 優生物を担当しているよ〜」
(テンション高いなぁ〜)
「そこの君「テンション高いなぁ〜」とか思ってるでしょ」
「なんでわかったの!?」
思わず大きい声が出てしまった。
「ふふ、化学をやっていればだんだんと別の学問もやるのよ!」
「正確には、私が教えたんだけどねぇ〜、あと付け加えるなら顔に出てたからかな〜」
「細かいことはいいの!それより実験始めようか!」
「そだね〜」
2人でテキパキと準備を始める。
(同意なしとは、まぁいいか)
ちらっと横を見る。
『あっ』
目が合った。
「・・・・・・・・・・」
何も言えずに固まってしまう。
「よろしくね、桂くん」
「あっはい」
(ん?)
「なんで名前?」
「はぁい、準備できたよ〜」
遮られてしまった。
「それじゃあ、実験はじめよっか!」