最初の復讐、始まる
裏設定!
魔王軍の中で怒らせたら一番怖いのはディスペアである。ザラセスを小馬鹿にするとこの世の物とは思えない苦しみを味合わせている。だからマッドネスはあんなにカタカタしてたんですよね。
ギャンブリンとグリードは大博打を打つためすぐに金がなくなる。
前回でギャンブリンとグリードとエレガントはカジノに行ったのだが、結果はエレガント以外大敗。エレガントは一万勝ち。運がいいんですかね。
アリス達は朝早く、森から出ようと歩き回っていた。
数分歩き回った時、ある異変に気がついた。
アリスは先頭を歩いている男に怒り口調で聞いた。
「ちょっと、なんで同じ場所を歩いてるのよ」
「やはり同じ場所をずっと歩いてますよね...」
男も気がついていた。事実、先程いた場所に何度も帰ってきている。
それにだんだんと空気が重苦しくなっている気もする。
さらに数分間歩き回ったが、やはり同じ場所に帰ってくる。
そんな状況だからか、アリスは不安と恐怖が混ざり合い、怒りが生まれてしまった。
「さっさとこの森から私を出しなさいよ!!殺すわよ!?」
焦りもあったんだろう、持っていた杖で地面をバンバン叩いた。
すると1人の男がボソッと呟いた。
「ここが魔王の狩場だから出られないんじゃ...」
その呟きをアリスは聞き逃さなかった。
「だからなによ!魔王が来たらあんた達の力で殺せばいいじゃない!!」
するとガリアルがなにか策を思いついた顔をした。
そしてその顔をした後、大きく空気を吸い、叫んだ。
「魔王!見えているんだろう!!今すぐ我々をここから出せ!!出なければ魔王軍は壊滅することになるぞ!!」
魔王の狩場、故に魔王に声が聞こえているはずだと思ったのだろう。
事実、俺はウィズドムが開発したモニターという物で奴らの動きを昨日の晩から監視していた。
俺はガリアルの言葉を聞き、指を鳴らした。
瞬間、森の木々が左右に分かれ、道ができた。
そちらに進め、その意味を込めて道を開けた。
アリス達はそちらの方向へ慎重に歩み出した。
当然だが、森から出られる道では無い。
アリス達が歩いて行った道の終着点は、魔王城。我が城だ。アリスは魔王城が見えた瞬間に身を震わせた。これからなにが起きるかがわかったのだろう。
魔王城の前には3人のメイドが立っていた。
1人は赤髪、1人は橙髪、1人は黒髪。身長は全員ほぼ同じの160cm程だ。
「おいお前達!そこでなにをしている!!」
先頭を歩いていた男が叫んだ。
その叫びに動じず、赤髪のメイドが丁寧に話し出した。
「魔王様からルードゥン様、バリアール様、フルドラ様、ドルエド様、ガリアル様、アリス様を玉座へと連れて来いというご命令を受けました。ご同行お願いいたします」
そう言った後、3人のメイドは同時に頭を下げた。
だがそう簡単に言う事を聞くはずがない。
「ダメだ!貴様らの根城に入るのは危険すぎる!!」
正しい判断だ。敵の根城に入るというのは、敵国に素っ裸で入国するのと同義だ。6人だけともなればさらに拒否する力は強くなるはずだ。
だが、そうは問屋が卸さない。
メイド達は同時に顔を上げ、赤髪のメイドが話し出した。
「...魔王様曰く、『あなた方が入るのを拒否するのであれば、死なない程度に武力行使するのを許可する』とのことでした」
鈍く光る銀色の瞳を鋭く向け、そう言った。
アリスの奴隷達は一斉に臨戦体制に入った。
一触即発、そんな状態になっていた。
その空気を止めたのは、バリアールだった。
「分かった。同行しよう」
「んなっ、バリアール!?」
ドルエドが叫び、バリアールの正面に立った。
「もしアリス様の美しさが穢されでもしたらどうするんだ!!頭おかしくなったのか!?」
バリアールの胸ぐらを強く掴み、そう言った。
だがバリアールは至って冷静だった。
「俺達がいればアリス様も安全だ。それに、魔王を殺すのも簡単になる」
「そ、それはそうだが...」
「それともなんだ、お前はそんなにも弱いのか?」
その言葉にドルエドは目を見開いた。自分は弱いと馬鹿にされたからだ。
「バカを言うな!俺はこの世で最も強いんだ!!」
「では入城しよう。お前がいればアリス様を守り抜けるはずだろう?」
「当たり前だ!」
そうして口車に乗せられたドルエドは他の者達の意見を聞かず、大声で入城することを宣言した。
「有難うございます。ではこちらへ」
メイド達は男達に一礼し、魔王城の中へと案内した。
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「連れて参りました」
赤髪のメイドは誰も座っていない玉座に向けて一礼し、そう言った。
玉座の側にはギャンブリンとその従者、ヴァイスが立っていた。
ヴァイスは白髪でグレーの瞳が際立っている目をしており、フカフカの耳をしている身長170cm程の人狼の男性で、ギャンブリンが一番信用している従者だ。
「そこのゴスロリ、魔王はどこよ!」
アリスが二人と出会って間もなくそんなことを叫んだ。
「ここには来ない。魔王様はあなたの能力をよく知っているから」
上から見下すようにそう言った。
アリスはその言葉に強く動揺した。
自分の能力を知られているということは、魔王は自分がよく知っている人であることを理解したからだ。
「ま、魔王の名前はなに!?教えなさい!!」
「わたしむずかしいこと分かんな〜い!」
ぶりっ子の真似をしながら言った。一瞬でその場の空気が冷え切った。ヴァイスは今にも吹きかけているが、主人を馬鹿にするのは良くないと頑張って耐えている。言った本人は恥ずかしかったのか少し頰を赤らめている。
「ま、魔王様!もういいですか!?」
天井に向けてギャンブリンは叫んだ。
『ああ、もういいぞ』
「っ!まお…!」
ギャンブリンはアリス達に話す隙を与えなかった。
ザラセスからの了承を受け、素早く手のひらを地面につけた。そして、その場にいる全員に届く声で叫んだ。
「“賭博"!!」
瞬間、その場にいた魔王軍以外の全員が消えた。
ギャンブリンの一つ目の能力、"賭博"。能力は、自分の声を聞いた者を指定した複数の場所のどこかにランダムで移動させる。
「完了しましたよ」
『よくやった。所定の位置に行ってくれ」
「分かりました」
そう、まだ終わっていない。今はまだ位置を動かした、それだけだ。ここからあいつを、アリスを苦しめ、殺害する。
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「ど、どこだここは!」
フルドラは大広間へと移動させられていた。何もない、ただただ広い部屋だ。
「俺の相手は...へえ、いい男だな」
グリードが奥から歩み寄り、喜ばしいことがあったかのように言った。
「誰だお前」
「グリード、魔王軍幹部だ」
「早速で悪いがお前は男同士でヤレるか?俺はできるぞ」
「は!?ヤラせるわけないだろ!!」
「...チッ、あっそ」
グリードは拒否された途端、興味がなくなったのか、殺意の雰囲気を纏っいった。
フルドラはその殺意に気がつき臨戦体制をとった。
「さっさとやろうぜ。俺に勝てるとは思えないがな」
煽るようにそう言った。
その言葉にフルドラはブチギレた。
「貴様も魔王も、俺が殺してやる!!覚悟しろ!!!!」
「はっ、やってみろよ!」
そうして、グリードとフルドラの戦いが始まった。
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フルドラが転送させられたように、他の5人も別の場所へと移動させられていた。
「私の相手はあなた?」
「そのようだ」
バリアールと相対したのはリバティー。
バリアールは鈍く光る銀の刀を抜刀し、構えた。
それに応じるようにリバティーも抜刀し、緑の刀を構えた。
そうして剣豪同士の戦闘が始まる。
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「君はアリスの配下だね?」
「貴様に答える義理はない」
威圧感をむき出しにし、ブレイズへ槍をすぐに突き出せる態勢を取っているガリアルとは裏腹にブレイズは余裕の笑みを浮かべている。
「じゃあ私と遊ぼうか。配下くん」
体中から炎を巻き上げ、指の骨を鳴らした。
「かかってくるがいい!」
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「まさか移動系の魔法を使えるとはな...」
「あの小娘、俺達をアリス様と別れさせおって...!」
ルードゥンとドルエドは同じ場所に移動させられていた。このように低確率で不具合が起きてしまうのは"賭博"の弱点と言っていいだろう。
「まさかの二人...」
その場にいたエレガントは嫌な顔をした。二人というのは想定していなかったからだ。
ルードゥンはエレガントの顔を凝視していた。
「ふむ...お前は先程の女の姉妹かなにかか?」
「...そうだと言ったら?」
ルードゥンは汚い笑みを浮かべた。
「お前を捕らえ、先程の女の前で殺す!」
そうして、魔王城の各場所が戦場へと化していった。
切りをよくするためにはこの話の文字数を少なくするしかなかったんです!許してください!!次回はもうちょっと長いものを描きます!!