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王都

 俺が転生してから12年が経った。俺は12歳、ミファーは11歳になっていた。

 「スークは明日から王都の学園に行くのね。」

 「うん。少しの間、お母さんとお父さんには会えなくなると思う。」

 「手紙は毎月送るんだぞ?」

 「わかったよ。じゃあ俺は明日の準備の最終確認してくるから。」

 「おう。わかった。」

そう言って俺は部屋に帰った。この世界では魔法の使える子供は12歳から魔法学園に6年間通うことになっている。そして卒業後はいろんな職に就くことになるが卒業時成績上位者は宮廷魔導士やらに推薦されることもできるらしい。宮廷魔導士になれば未来は安定すると言われている。そんな学園に俺は明日から行くことになっている。そして俺は準備を終わらせて眠りについた。

……

 学園に行く日の朝。俺は馬車に乗ろうとしていた。

 「おにーちゃん…」

ミファーは俺にくっつきながら泣いている。

 「ミファー、もう離れなさい。スークが馬車に乗れないでしょ?」

 「いやだー。おにーちゃんがいなくなっちゃう!」

そんなことを言うミファーを撫でる。

 「安心しろ。年に一回は帰ってくる。それに来年になったらお前だって学園に通える。そうなったら俺といつでも会えるようになる。だから泣くな。」

俺がそういうとミファーは泣き止んで俺から離れる。

 「それじゃあ行ってきます。」

 「おう!頑張って来いよ!」

 「いつでも帰ってきていいのよ!」

 「絶対帰ってきてね!」

 「うん。」

俺がそう言った瞬間馬車が動きだす。学園のある王都まではかなり時間がかかる。前世の世界とは違いこの世界には車などは存在しない。この世界の主な移動手段は馬。だが馬の速度などたかが知れている。馬車の速度は毎時4から14キロ。王都は100キロも先なのだ。10時間も揺られていたら腰が痛いどころの話ではない。この世界の人はそれが当たり前だから慣れているのだろうが俺にとっては地獄でしかない。電車の中ですら椅子はある程度柔らかいし、会社まで1時間もかからなかった。それと比べると馬車で10時間はキツイ。なので俺は俺が住んでいた町が見えなくなった辺りで馬車からおろしてもらった。

 「と、まずは荷物を亜空間に入れてっと。」

俺は魔法で作った空間に荷物を入れる。

 「よし、それじゃあ行くか。《飛行》」

俺がそう唱えると俺の身体は空中に浮いていく。そのまま全速力で王都の方向に進んでいく。飛んでいる時の速さは時速300キロ。普通の人間なら全身骨折しているだろう。だが俺の場合は違う。身体強化で自分の身体を壊れにくくする。そして風魔法で自分にかかる空気抵抗を減らす。さらにCD値を減らすために空間魔法で壁を作りさらに空気抵抗を減らす。呼吸に関しても空間魔法で自分の口の中と外をつなげれば普通に呼吸できる。だがここまでやっても最大時速500キロが限界だ。500以上出すと魔法自体が耐えられなくなり壊れて俺自身に全てのダメージが押し寄せてきて死んでしまう。

 「まあ500でも前世じゃバケモンだけどな。」

前世で500キロ出せる乗り物は超電導リニアやヘリコプター、飛行機などがあったが人間本体が500キロはただの化け物だ。その気になったら長距離の瞬間移動も可能なのだが、瞬間移動にはリスクが高いためこうやって飛んでいる。そして跳び始めて20分、ついに王都が見え始めた。

 「よし、ここらへんで降りるか。」

俺は門番にバレない程度の距離で降りる。そして門に向かって歩き出す。

 「今年から学園に通うスークなんですが…」

 「王都は初めてですか?」

 「はい。初めてです。」

 「そうか。入るには金貨2枚だ。」

 「わかりました。」

 「よし、通っていいぞ。それと王都での身分証を作った方がいい。そうすれば次回から門を通るときの値段が銀貨3枚になるからな。」

 「わかりました。どこで作れますか?」

 「ギルドか役所だな。役所の方がお勧めだ。子供だと悪い冒険者に喧嘩を売られるからな。」

 「わかりました。ありがとうございます。」

俺はそう言ってその場を後にする。その後俺はギルドに向かっていた。冒険者ギルドにはあこがれていた。ザ・ファンタジーのような感じがするからだ。そして俺はギルドを見つけて中に入る。中にはがたいの良い男性や杖をもった女性が多くいた。俺が入った瞬間視線が俺に向く。俺はそんな視線を無視して受付に向かう。それをある男性が邪魔する。

 「おい、ガキ。ここはお前のような奴が来るようなとこじゃねぇんだよ。帰ってママのおっぱいでも吸ってろ。」

そんな煽りに俺は

 「あなたのような雑魚が冒険者になれるのなら俺でもなれそうですね。」

と返す。

 「なんだと?言わせとけば調子に乗りやがって!」

 「ちょっと!」

近くの女性が男を静止しようとするがそんな声を無視して殴りかかってくる。

 「《反射》」

俺がそう唱えた瞬間、男の殴ったダメージが男自身に返る。

 「なにしやがった!」

 「さあ?何が起きたんでしょうね?」

 「クソが!」

男は剣を抜き斬りかかってくる。

 「それを抜いたなら手加減はしませんよ?」

 「調子乗るなよガキが!」

男は確実に俺のことを仕留めに来ている。俺はその剣を避けてカウンターで男の胸に重い一撃を放つ。男はその一撃だけで気絶した。

 「調子に乗っていたのはそっちの方だったらしいですね。」

俺はそう言って受付の方に再び歩き出す。

 「あの、身分証明書を作ってほしいんですけど。」

 「え?」

 「門番の方からここで身分証明書が作れるって聞いて…」

 「そうなんですね。でも役所でも作れますよ?」

 「冒険者に興味があったので。」

 「そうなんですね。それではこの用紙に名前、年齢、性別、種族をお願いします。」

 「わかりました。」

俺は適当に書いていく。

 「できました。」

 「はい。では作ってきますね。完成までに20分程度かかりますのでお待ちください。」

 「はーい」

俺はそう言って近くの椅子に座る。すると近くの3人組のパーティーらしき人たちが近づいてきた。

 「何の用ですか?」

 「さっきの戦いを見てうちの魔法使いが興味が出たらしくてね。」

 「あ、あの私、マリノア・ハーノスです…」

 「俺はスーク・ディフールだ。」

 「さっきの戦いで少し疑問があって…」

 「?なんですか?」

 「さっきの戦いで反射を使いましたよね?」

 「はい。」

 「反射は本来魔法しか跳ね返せないはず。なんで物理攻撃を跳ね返せたんですか?」

 「あー、そういう疑問か。簡単に言うと俺が使った反射はみんなの使う反射を改良したものだ。」

 「改良!?」

 「そんなに驚くことなの?」

 「魔法の改良はとても難しいんです。たくさんの宮廷魔導士が集まって何年もかけてやっとできるような難易度です。それをこんな若い子が…」

 「話を戻すぞ。俺の反射はみんなの反射とは違う。俺の反射は全ての存在に干渉できる反射になっている。わかりやすく言うとみんなの反射は対生物魔法だが俺の反射は干渉魔法になっている。」

 「凄い…そんなことが可能なんて…かの有名なユキ・ヤナギさん並に凄いですよ。」

 「あーマリノアがよく言ってる魔法の論文をちょこちょこ出しては魔法の理論を進化させている人でしょ?」

 「はい。これはそれと同じぐらい凄いことです!」

 「あのー」

 「?なんですか?」

 「そのユキ・ヤナギって俺なんだが…」

 「え?」

 「えーーーーーー」

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