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異世界はボッチから  作者: tommy
2/2

異世界は修行の日々??

「グルルルゥっ!!」

涎を垂らしながら、爪長熊がこちらに近づいてくる。


「で、でた〜っ!!!」


爪長熊には絶対に勝てない!それこそ、リックのように殺される!いや、リックは俺だけど、俺になる前のリックみたいにね!


ということで、逃げる一択!!

なりふり構わず、走り出し、目の前に見えた茂みを軽く飛び越え着地するはずが、、、


着地するはずの地面が……無かった……


ヤバいと思い、壁に手を伸ばし、掴めるところも無かったが勢いを少しでも軽減するために、掴もうとする…


ズガガガガガガッ!!!


ドンっ!!!!


最後は、壁に手を弾かれ、背中から落ちる…。


「カハッ!!」


そのまま、視界が暗くなり、意識を手放した……。





…………。



「……っ、うぅ……」


目を覚ますと、体中に痛みが走り、起き上がるのもやっとだった…。


「い、いただただ…」


辺りは真っ暗で上を見上げると、丸い穴から星空のようなものが見える。

どうやら、穴に落ち、衝撃で意識を失っていたようだ。しかも、外はもう夜…かなり長いこと意識を失っていたらしい。


暗すぎてどれだけの穴に落ちたかもわからない…この夜は、登ることは潔く諦めよう…


体の痛みも激しかったため、壁際にうずくまり、目を閉じると、意識を失うように眠りに落ちた。






…明るさに目を覚まし、上を見上げると丸い小さな穴から青空が見える…。


日が昇り、自分の落ちた穴の深さが理解出来た……。


これは、何メートル??10?20??深すぎる……

しかも壁は凸凹の少ない岩壁。

オリンピック出るようなロッククライマーでも登るのは無理そうな壁…。


早々に登るのはあきらめ、他の出口を探すべく探索に乗り出すが………


落ちたところから、横に洞窟のような穴があったため、入ってみるが、なんのことは無く、直径10m程度の円形の空間があるのみだった…。


日中は、縦穴からの光が差し込み、薄暗く空間全体が見渡せた。壁際を歩き、抜けられる穴がないかくまなく探したが、何も無い…。


1箇所、水が溜まっている所があったため、水の流れ込む穴がないかまで確かめてみたが、人が通れるような穴は確認出来なかった。湧き水か、地下水が溜まってるだけのようだった。


「いやいやいやいやいやいやいやいや…無理ゲーじゃん!」


思わず、声に出し、今のおかれた現状を嘆く…。


どうやら、壁を登るしか道はないようだ。


試しに登ろうとしてみるが、全く壁をつかむこともできず、30㎝も登れない・・・。

絶望を覚える中、ヒントはないかとステータスをのぞいてみる。


リック・K・アルジャン 10歳

Lv.1

体力 20/20

魔力 10/10

筋力 6

速さ 7

精神力 5

器用さ 5

魅力 5

運 25


属性 無


スキル 打撃耐性 Lv.2 


ユニークスキル 極耐性 理 


あれ・・。ステータス上がってる!

体力倍になってるし!スキルなしだったのに、打撃耐性とかできてる!

??????


これは、この穴に落ちたことが関係してるっぽいな・・。


ここは、桐生恭弥の知識を活かして考えてみよう。異世界小説の知識を参考にすると、体力や魔力は0になるまで使えば、大きく上昇する・・。

ということは、体力が倍になったのは、落ちたことでダメージを受け、体力が0になった。

体力が0になったことで気を失い、眠ることで回復し、ステータスUP。

こんな感じかな?


あとは、発生した打撃耐性スキル、これはおそらく穴に落ちた衝撃を受けて、発生したと考えられる。

ユニークスキルの極耐性が関係しているのかもしれない。


ぐうぅぅぅぅぅ・・・。


考えを巡らせていると、お腹が大きな音をたてて鳴り響く。


腹減った・・・。よくよく考えれば、転生してから何も口にしていない。

食べ物・・。このあなぐらに何か食べれるものがあるのか・・。とりあえず水は、ある。

きれいな水かどうかはわからなかったが、背に腹は代えられず、手ですくって飲んでみる。


ゴクゴクゴク。


「ぷはっ!」


臭みもなく、問題なく飲めそうだ。生きる上で欠かせない水の確保はできた。

ただし、水も無限にあるわけでもなく、大切に飲む必要がありそうだ。


問題は、食べ物・・。見渡す限り、動物の気配はない空間である。襲ってくるモンスターがいないのは幸いだが、食べ物がないのは致命的だ。

狭い空間をうろうろしながら探していると、毒々しいキノコを見つける。


「キノコ・・・。」


アウトドアの中で、正確な知識もなく、素人が一番手を出してはいけないともいわれるキノコ・・。

しかも、この毒々しい見た目。色は紫に白い水玉模様・・。完全に毒キノコですよね・・・。

異世界によくある鑑定スキルとかでてこないかな・・・。と考えた瞬間、ウインドウが開く。


紫茸・・??????


え??名前だけ??


ステータスを開くと、スキルに鑑定Lv.1が増えていた。鑑定レベルが低すぎてわかるのは名前だけってww

全く役に立たんな・・・ww


ただ、この飢えを何とかしのぐ必要がある・・・。他に食べ物はない・・・。

そうだ、極耐性があるっ!何とかなるはず!!


バクッ!!


もうなるようになれと思い切って食べてみる。


もぐもぐ、もぐもぐ・・・。


味は、無味無臭。苦み等があるわけでもないため、大丈夫かも?と思った瞬間、めまいと吐き気、腹痛が発生。


「これは、ダメなやひゅら・・。」


呂律も回らなくなり、意識が遠のき、その場で倒れこむ・・。


「うぅ・・・。」


意識を取り戻すと、明かりはなく、また夜まで意識を失っていた。

ステータスを開いてみると、


リック・K・アルジャン 10歳

Lv.1

体力 40/40

魔力 10/10

筋力 6

速さ 7

精神力 6

器用さ 5

魅力 5

運 25


属性 無


スキル 鑑定 Lv.1、打撃耐性 Lv.2、毒耐性 Lv.2 


ユニークスキル 極耐性 理


お、毒耐性増えた。しかも極耐性レベル上がって、体力もさらに倍に!

というか、20以上ののダメージを食らう毒キノコ・・。怖いなw


でもまあ、なかなか体を張った方法だが、ステータスUP方法がわかってきた。


ただ、この状況から抜け出すためには、体力ではなく、筋力を伸ばし、何とか壁を登る必要がある。

筋力UPか、、思い浮かぶのは筋トレだ。地道なトレーニングをするしかないのか・・・。


空腹具合としては、意識を失う前よりはマシになっていた。毒キノコでも腹に入るだけで、飢えはしのげるようだ。


脱出のために、思い浮かぶ筋トレを始めてみる。


腕立て、腹筋、スクワット、背筋、腿上げなど、筋トレをとにかくやってみる。登るためには、握力とか手、腕を中心にした筋力が必要と思い、重点を手、腕にして筋トレを実施。


筋トレに疲れ、水分補給をして、腹の足しに紫茸をむさぼる。


そのまま、また意識を失い、目を覚ます。


ステータスを確認。


リック・K・アルジャン 10歳

Lv.1

体力 80/80

魔力 10/10

筋力 10

速さ 7

精神力 6

器用さ 5

魅力 5

運 25


属性 無


スキル 鑑定 Lv.1、打撃耐性 Lv.2、毒耐性 Lv.3 


ユニークスキル 極耐性 理


体力、筋力、毒耐性上がってる。方法は間違っていないようだ。

試しに壁を登ってみると、多少登りやすくなっていた。


・・・・・・。

あこがれの異世界ライフ、想像と違いすぎる・・・。何この修行・・。しかもずっと一人・・。ぼっちよろしくのこの状況が辛い・・。


ふと、我に返り涙が出そうになったが、こんな穴に落ちたのもあの爪長熊のせいだと、爪長熊への憎しみを募らせ、ひたすらにこのステータスアップという名の、


筋トレ → 食事(毒接種) → 睡眠(意識喪失)という、地獄のサイクルを繰り返していく。


少し経過すると、毒耐性のレベルUPと体力増加から、さすがに紫茸の毒では、体力0まではダメージを受けなくなり、意識を失うことはなくなったが、体力を減らして、回復することで、倍とはいかないが体力値は増えていった。


さらに、筋トレの成果により、壁をそれなりに登れるようになったため、壁を登ることで筋力UPを図った。

登れる高さが上がることで、落ちる高さも上がり、落ちた衝撃を受けることで、打撃耐性レベルも上がった。


ひたすら、この地獄サイクルを繰り返し、1か月ほど経っただろうか・・。

もう今では、筋トレにダッシュなども加え、どこのスポーツマンかと思われるようなトレーニングを行っていた。


ステータスは、


リック・K・アルジャン 10歳

Lv.1

体力 2700/2700

魔力 10/10

筋力 500

速さ 400

精神力 500

器用さ 300

魅力 100

運 25


属性 無


スキル 鑑定 Lv.2、打撃耐性 Lv.10、毒耐性 Lv.20 


ユニークスキル 極耐性 理


かなり上がったように思うが、まだ壁を登りきることができない。まだ、真ん中くらいまでしか登れていない。

その理由としては、真ん中くらいから、穴の大きさが狭まっており、壁が垂直よりもきつい傾斜になっているのだ。つかむところも、足を引っかけるところも少ないため、完全に指の力だけで登る必要がある。


最近では、打撃、毒耐性のスキルレベルが上がったせいで、紫茸を食べても、壁から落ちても、あまりダメージを受けなくなってしまった。それにより、体力値の上昇もなくなっており、筋力等の上昇速度が非常に悪くなってしまった。


ステータスアップも頭打ちになってしまい、どうしようかとステータスを眺めていると、大変な見落としをしていることに気づく。


せっかく異世界に来たというのに、穴に落ち、壁を登らねばと、完全に頭が筋トレモードになり、ステータスの魔力という項目をスルーしてしまっていた。最初に魔法を使おうとして、結局使えなかったため、あきらめていたこともあったが、、、


「魔力上げれば、転移ででれるんじゃね???」


この一か月、地道なトレーニングのおかげで、体力値は2700と大幅に上がっており、転移に必要な魔力値50000は程遠いが、何か可能性はあるのではないかと思える。しかも、ユニークスキルの理については、まったく考えてこなかった。


今一度、転移を思い浮かべると、転移魔法の術式が頭に浮かぶ。それを地面の土に、書き写し、よくよく確認していくと、非効率と思える箇所が数か所見つかる。魔法の知識は全くないが、なぜか理解できてしまう。その箇所を、自分の解釈で修正してみる。


すると、効果(転移距離)上昇に、消費魔力低減ができ、魔力消費500で転移が使える術式に書き換えることができてしまった。


魔力500ならば、体力の上昇値を考えると、不可能な数値ではない・・・。魔力を上げることができれば・・。なぜ、もっと早く気づけなかった・・・。


ここにきて、最大の自分の落ち度に気づき、落ち込むのであった。


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