伊崎家の事
今回BL要素が含まれます。
俺が部屋で漫画を読んでいたらいきなり部屋の扉が開いた。
「優一、飯できたぞ!」
「いきなり入って来んなよバカ光樹!」
「ん?もしかしてお楽しみ中だったか?」
「違うわ!」
「じゃあお楽しみの時は呼んでな!手伝うから!」
「呼ばねぇし、手伝いも要らん!」
部屋に入って来たのは俺の兄貴だ。兄貴は双子で今部屋に居るのは次男の光樹だ。光樹はこんな感じでいきなり部屋に入って来たりする。おバカに思えるが意外にも成績はかなりいいし、スポーツも万能だ。
ちなみに兄貴達は一卵性双生児でめちゃくちゃ似ている。しかもイケメンだ。イケメン羨ましいぜ。(優一も超が付くほどのイケメンです。)
光樹に言われリビングに降りると長男の智樹が夕飯を準備していた。
「優一おまたせ、夕飯食べようか!」
智樹は光樹と違って爽やか系である。そして光樹と同じように成績もかなりいいし、スポーツだって光樹と同じように出来るのだ。
そんな兄貴達は高校1年生だ。さぞかし女子にキャーキャー言われている事だろう。
そんな俺もよく妄想のネタにさせてもらっているのだがな。
ああ、兄貴達の顔が本当に良い。こんなイケメン達の弟に生まれ変わらせていただき神様ありがとうございます。(お前もイケメンだろうが……。By神)
心の中でお礼をして、智樹の作ったオムライスを食べる。これがめちゃくちゃ美味いのだ。
ちなみに両親は仕事の都合上海外にいる。兄貴達が高校に入り、俺が中学に入学したタイミングで海外に移住したのだった。兄貴達に自立させるためでもある為に俺は一緒に海外に行く予定だったらしいが、兄貴達と離れたくなかったので渋ったのだ。イケメンは正義である。
「優一、飯食ったら風呂入ろうぜ!」
「光樹1人で入れよ!」
「そんな事言うなよ、兄ちゃんが体洗ってあげるから!」
「おい。抱き上げるな!おろせ!」
光樹によって風呂場に連れていかれ着ている服を脱がされそうになる。
「自分で脱ぐからやめろ!」
「ちっ脱がせたかったのに……。」
この次男坊は変態なんだろうか?脱がすなら自分のクラスの男子の制服を脱がして、それからその他もろもろをお楽しみください。
こうして光樹に風呂に連れて行かれるのもいつもの事と言ったらいつもの事だ。
「なんで俺と風呂に入りたがるのさ?」
毎度思っている事を聞いてみた。
「なんでって可愛い弟と一緒に風呂に入ったらいけないと言う法律は無いから。」
真顔で答えた光樹に俺は少し、いやかなり引いていた。
「と言うのは冗談で、いっぺんに入った方がガス代なり節約になるだろう?」
「確かにそうだけど、別に俺じゃなくて智樹と入っても………。」
ちなみに俺は兄貴達の事を名前で呼んでいる。人生2回目故兄ちゃんと言うのが恥ずかしかったからだ。
「智樹ともたまに入っているぜ!」
「そうなの?知らんかった。」
「お前が正樹の家に泊まりに行っている時とかは俺と智樹で一緒に入っている。」
「ほー!」
「おい、優一今俺らで妄想しただろう!」
兄貴二人には俺が腐男子と言うのはバレている。
「だって双子の禁断の恋って美味しいじゃん!」
「またお前はマニアックなものを………。」
「えへへっ!」
「褒めてねぇよ!」
いつもの様に光樹と風呂に入り、自分の部屋に戻り漫画を描き始める。これは俺の趣味であり同人誌として出すなどは考えていないが、投稿サイトに投稿してはいる。
「さてと、今日は短編漫画の方を描くとするか!」
ちなみに俺はデジタル派である。紙で描くのも好きなんだが、なんやかんや前世から使い慣れているデジタルで描いている。
そして今描いている漫画は学ランを着た男子高校生が誘拐されてあれやこれやをされてしまう内容だ。
思わず筆が進み全220ページになってしまった漫画の仕上げ作業を今日はしている。
そして2時間くらい作業をしていると部屋の扉がノックされる。ノックするのは智樹しかいない。
「いいぞ!」
と声をかけると智樹が部屋に入って来る。
「今日はこっちをやってるのか。」
「そう!もう少しで完成するから早く仕上げて投稿したい!」
「それは楽しみだな!」
ちなみに智樹は腐男子仲間である。なので二人で光樹を腐男子の道に誘導したり、正樹にもそれとなく勧めてみたりしている。
「それで、この時間にどうしたん?」
時刻は午後11時を指している。いつもなら智樹も部屋でくつろいでいるはずだ。
「優一、4日前に俺告白されたんだ。」
智樹が真剣な顔で言ってきた。告白?!確かに智樹は爽やか系のイケメンで文武両道だからモテるだろうが、その報告を俺にしてくることは無かった。それを言ってくると言うのは何故だろう。
「告白って今までもされてきてない?今更俺に言うってどういうこと?あとイケメン兄貴め、羨ましいからハグさせろ!イケメン養分吸い取らせろ!」
俺はそう言って智樹に抱きつく。うん、胸板も体つきも匂いもイケメンそのものです。って俺がなんか変態みたいになってしまったではないか。
ちなみに智樹はそんな俺を優しく抱きしめてくれるのである。
「告白自体はよくあるけどな、その………。」
なんとなく俺は察してしまった。
「もしかして男?」
「そうなんだ、しかもクラスメイトでかなり仲のいい奴。」
「俺に言ってきたのって………。」
「ネタ提供もだけど、どうしたもんかと悩んでるんだ。腐男子って事もちゃんと理解してくれるし、気を使わなくていいから、一緒にいると楽だし楽しいし……。」
「ひょっとして、智樹はこれが恋なのか分からない感じ?」
「BL漫画とかでよくあるそんな感じなんだ。」
なるほど、だから俺に相談してきたわけなのか。
智樹の相談内容は、告白された相手の事は親友として好きではあるが、恋愛感情では無かった。だが告白されてからはその相手の行動や仕草にドキッとする様になったかもしれない。ただ告白されたあとだから変に意識しているだけなのか、恋愛感情が芽生えてドキッとするのかが分からないからどうするべきか悩んでるとの事だった。
BL漫画とかならこのドキッとするのは相手が好きだからとなるのだろうが、そう簡単にはいかないだろう。
ちなみに俺は未だに智樹に抱きついてイケメン養分を吸い取っている。イケメンに抱きつけるなんて幸せすぎる。
「なるほど、告白の返事も早めにしたいから悩んでいたんだな?」
「そうだな。優一なんかいい方法無いか?」
「ちょっと考えてみる!」
そう言うと智樹が俺の頭を撫でてきた。
「優一ありがとう。」
智樹に撫でられるのは気持ちいいから大好きなのである。
「どういたしまして、イケメン兄貴にお願い、もっと撫でてくれない?」
ちょっと甘えたモードでおねだりして撫でてもらった。
精神年齢はそこそこいっているのだが、肉体年齢に引っ張られてついつい甘えたくなる時がある。
そう言う時は光樹なり智樹に頭を撫でてもらったり抱きついたりしている。家族だから別に普通だろう?それにイケメンすぎる兄貴達だから多少はブラコンにもなるさ。
さてと、何かいい方法を考えるとしますかな。
BL漫画を沢山読んでいてもいざ自分の事になるとこんな感じに悩む人もいるはず。と言う事でこんな展開になりました。