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音楽フェスに行こう!

「あっしまった。」

急に正樹がそう言って立ち止まった。

「正樹どうした?」

「家に携帯忘れてきたかも。」

「マジか、どんまいだなぁ。最悪俺のがあるから心配はいらん。」

「まぁそうだよな。」

今日は土曜日で俺達二人はとあるイベントに参加する為に栄の久屋大通公園に来ている。そのイベントとは音楽フェスティバル、通称フェスと呼ばれるイベントである。

意外な事に正樹から行かないかと誘って来たのだ。俺の時はこういうイベント事に興味なかったのにこの子は興味津々みたいだ。

このイベントに俺達の好きな歌手が出るから誘ってくれたらしい。

元をたどれば自分自身なのに何故か悔しい気分になる。まぁ今では完全に前世の自分とも別人だと思えるけど。だって陽キャだし、目が死んでいないしな。と言うか俺がそうしたんだがな。


「優一、あっちで美味そうなの売ってるぜ!」

この幼なじみ様は音楽フェスに来てまで食べ物の方に行くらしい。

こういう所の食べ物って何故か美味しく感じるんだよな。

そんな俺達二人はカレーやら焼き鳥やらを買って飲食スペースで食べていた。

ステージからもそんなに離れていないため、ここからでも十分曲を聞くことが出来る。

「この曲好きだなぁ誰のなんて言う曲なんだろう?」

やはり別人になっても感性は同じな様で俺も好きだなと思っていた。

今歌っている歌手と曲は梨川ちひろって言う人の『蛍』と言う曲らしい。早速昼食を食べ終えた俺達はCDの即売所に行き梨川ちひろのCDを購入したのだった。

ちなみにこういう所は人が多いので携帯を忘れてきたお馬鹿な正樹とはぐれると困るので俺は正樹のカバンを掴んでいる。さすがに手を繋ぐ行為は恥ずかしいからやらない。


もうすぐで俺達の好きな歌手の出番の時間。なのでステージ前に移動するのだがさすがに最前列は諦めた。ちょうど真ん中くらいの位置を確保して今出ている歌手の曲を聴きながら待っている。

正樹は隣で手羽先を頬張っていた。しかも5個入り3箱抱えている。どれだけ食べるのだろうか。

運動部に入っている為かよく食べる。俺も運動部なんだがコイツよりは食べない。胃袋オバケすぎて笑えるレベルまである。

「正樹お前本当によく食うよな。腹いっぱいにならないのか?」

「ん?意外とお腹いい感じだぜ?あとこのたこ焼き食べたら満腹だ!」

「たこ焼きまで買っていたのか……。」

いつの間にかたこ焼きが増えていた。

俺も後で買って来ようかな、見ていたら食べたくなってしまった。


そんな感じに時間が過ぎていくと、ようやく俺達の好きな歌手の出番になった。

その人の名前は田島育美と言う人だ。

デビューしてまだ1年くらいだがあるドラマの劇場版の主題歌に選ばれて、話題になっている。

ちなみに俺はデビューから応援している。なんせ前世からのファンである。

前世ではこの劇場版の主題歌から聴き始め、全曲制覇するまでのファンになった。なら逆行転生した今世はデビューから応援するしかないのである。

もちろん正樹も巻き込んでだ。


2曲聴いたところでMCが入る。

「皆さん、こんにちは田島育美です。この度はThe Musicpark IN名古屋にお越しくださいましてありがとうございます。短い時間ですが楽しんでいってください。」

そう挨拶した後、デビューしてからこのイベントに参加するまでの事を語っていた。

語り終わると曲に入り再び歌い始める。


迫力のある歌声だけど優しく包んでくれる様な声に耳を傾けていると、あっという間に最後の曲が終わった。

全部で6曲を歌い上げていた。その中にはまだ未発表の曲もあり、正樹はテンション上がっていたようだった。俺は前世で知っている為懐かしい気持ちだった。

「やっぱり最高だったな!」

「めちゃくちゃよかったわ!」

「正樹未発表曲の時にめちゃくちゃテンション上がっていただろ?」

「当たり前だ!まさか未発表曲が聴けるなんて思っていなかったからな。そう言うお前だってそうだろう?」

「まぁその通りだけどな。」

その後しばらくは他の歌手の曲を聴いていた。

こういう場所で聴くと今まで興味なかったジャンルの曲も聞いてみようという気になる。

気になるだけで聴き始めたりはしないのだがな。


「もう夕方かぁ。早いな。」

「今日確か香織さん夜勤だよな?」

「母さん?夜勤だぜ!」

「じゃあ家で夕飯食べていくだろう?」

「いつもお世話になります。」

「じゃあ帰るか。」

「そうだな、腹減ったぜ!」

「は?あんなに食べておきながらまだ腹減ったと言うのかお前は……。」

「腹減ったんだから腹減ったんだ!」

「その返しは意味わからんぞ。」


俺達はイベント会場を後にして地下鉄の栄駅まで歩いて行く。

その途中にある本屋に寄り、俺がBL漫画を漁っていたら正樹が「そんなに面白いのなら今度貸してくれ!」と言っていたので絶対に腐男子にしてやると心の中ではしゃいでいた。


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