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小テスト

放課=休み時間。愛知県などで使われる方言です。

たまにこうして方言が出てきます。

俺の一日はまず起きて、中学の制服(詰襟学生服)に着替える。

リビングに下りて歯を磨き朝食を食べる。そして隣の家に行き、幼なじみの正樹を起こす事から始まる。

正樹の家は俺の時と同じく小5の時に離婚しており、母親である香織さんが看護師として昼夜働いている。

ちなみに離婚理由は父親の不倫と、まともに働かない事が主な理由だ。

虐待は無かったがそこそこクズな男だった。

正樹の家は香織さんが購入した物である。


昨日香織さんが夜勤で出勤した為、今日は朝から正樹1人だ。だから俺が合鍵を使い家に入り正樹の朝食を準備してから起こしに行く。

部屋に入ると気持ち良さそうに寝ている正樹を容赦なく叩き起す。

「正樹、朝だぜ、起きろ!」

「後5時間………もう山口県は食べられない……。」

一体どんな夢を見ているのやら……。

それにしても後5時間は寝すぎなので俺は優しくベッドからたたき落とす事にした。


「痛ェ!なんだなんだ?」

「なんだなんだ?じゃないわ。朝だぜ。」

「優一、もっと優しく起こせと何度言えばいいんだよ。」

「優しく起こしても起きなかったのは何処の誰だっけ?」

「…………俺です。だからと言ってたたき落とすことは無いだろう。」

「じゃあ1人で起きられるようにするんだな!」

「善処します。」

なんだか前世の俺より朝が弱くなっている気がするので、そのうち目覚まし時計で起きれるように訓練させなきゃな。


正樹を起こすと後は登校時間までまったりタイムだ。

テレビの内容は俺にとっては再放送みたいなものだが、所々記憶と違っていたり、記憶にないニュースもあるのだ。それを見つけるのが密かに楽しかったりする。まぁ物騒な事件以外に限るけどね。


「そう言えば今日の数学って小テストあるんだよな?」

「優一……。マジで?」

「マジだ!」

「放課に教えてください。」

「仕方ないな、って言ってもお前なら大丈夫だとは思うがな。」

「不安なんだよ、頼む!」

「はいはい分かりましたよ、とりあえず準備しろよ、学校行くぜ!」


学校は徒歩15分程の所にある普通の公立中学校に通っている。

下駄箱で靴を履き替えていると、「優一、正樹、おはよう。」と挨拶してくる男子生徒が1人、俺と正樹の小学校からの友人である松本春樹だ。

「春樹おはよう。今日数学の小テストあるの知ってるか?」

「本当か正樹!聞いてないぜ!」

「お前らは……。昨日言っていたぜ?」

正樹は成績的に平均より上だから心配はいらないが、春樹は平均すら怪しい程の成績だ。今から勉強させても間に合わないだろう。

「春樹は………諦めるんだな。」

「優一見捨てないでぇぇぇぇ!」

朝から賑やかである。

二人は忘れている様だが今日の数学は1時間目にある。今から勉強しても間に合わない事は内緒にしておこう。



1時間目の数学が終わるとすぐ正樹が俺の机まで来る。

「数学1時間目とか聞いてないぜ…。」

「いや、毎週水曜日は1時間目が数学じゃん。覚えておこうぜ。」

「ぐぬぬ……。」

春樹は自分の席で灰になっていた。どうやら小テスト壊滅的だったらしい。

正樹はそこそこ自信あると言っていた。

ちなみに俺は今世は真面目に勉強しているし、前世の記憶もあるためなかなか好成績だと思う。


「春樹そう落ち込むな、授業後勉強見てやるから。」

「あっ春樹ズリィ!優一俺も見てくれよ!」

「はいはい分かってますよ。ってか正樹は毎日勉強見てるじゃねぇか!」

「えへへ!」

「えへへじゃねぇし。」

しばらく正樹と会話していたら、春樹が灰から人間に戻り「優一は神だ!」と言って抱きついてきた。

「うわっ抱きつくなよ暑苦しい。」

「ごめんごめん、つい。」

「つい、じゃねぇし、離れろや!」

春樹を剥がそうとするのだがこいつめちゃくちゃ力強く、なかなか剥がせない。

諦めてそのままにしていたら「優一っていい匂い……。」と言っていたから張り倒しておいた。


「イテテ……、冗談だってば。」

「冗談が過ぎたな!」

「春樹ってなんで毎日優一に抱きつくんだ?」

「正樹、それは俺より身長が低いからだ!」

もう一度春樹を張り倒した。確かに春樹より身長は低いが、これでも中学一年生の平均身長152cmより5cm高いのだ。

正樹はちょうど平均身長と同じである。

そして春樹は身長162cmとクラス1背が高いのだ。

ついでに言うと春樹はイケメンである。おバカだけど。


春樹が俺に抱きつく事によってクラスの1部の女子は何故か鼻血を出してガン見してくるのだ。

うん、妄想はおやめください。

「ワンコ系イケメン×爽やか系イケメン……尊死。」

聞こえていますよ。こんな感じで腐女子のネタになっている。俺自身腐男子なので気持ちは分かる。

関口正樹だった時、仕事帰りに何気なく買った漫画がBLで、しかもかなり面白かった為にハマってしまったのだ。

だが俺がリアルBLになるのは却下だがな。

あと正樹と誰かでも却下する。なんせ元をたどれば俺は関口正樹だったからな。



学校が終わると約束通り春樹と正樹の勉強を見るために、春樹の家に行く。春樹の家の方が学校から近い為である。

しばらく勉強を見ているとやはり飽きてくる二人、勉強始めてから2時間経っているので当たり前だ。

俺はあらかじめ作っておいたプリントを二人に渡して「このプリントで半分正解すればゲームしようぜ!」と言うと集中して解き始める。

しばらく待っていると意外にも春樹が終わったと言ってプリントを持ってきた。

採点するとギリギリだが合格範囲を超えていた。

「春樹、おめでとう合格だ。」

「ヤッター!」


少し遅れて正樹も時終えて採点する。

正直言って正樹は普通に成績いいからこの様なプリントはあまり必要では無い。

無事に二人共合格し、勉強用具を片付けてゲームを始めたのだ。



後日数学の小テストが返ってきた。

言うまでもなく俺は満点だったが、春樹は0点であった。

そこまで難しいテストでは無いのに0点だった春樹には、お仕置として授業後に春樹の家で4時間みっちり数学を叩き込んでおいた。

正樹は30点満点中、22点だったからお仕置は免れていた。

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