表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/269

今のうちに仮眠を取ってこい

 敵の軍勢は数を増し、夜明けを迎える頃には六百ほどの数が要塞の前に集結していた。

 対する駐留軍もほぼ全ての人員を要塞前面の防壁上に配備していつでも対抗できるよう準備していた。


 要塞駐留軍の兵力は千五百を越す上に守備側は絶対的に有利なために普段であれば恐れるような状況ではない。ましてやここは難攻不落のヴレダ要塞だ。


 しかし、先の戦いで外征軍は敵軍の五倍の戦力差があったにもかかわらず敗北したという。その責任を取って総司令官のアガリアレプト皇子は処分されたとの噂も流れている。

 決して侮ってはならない――それが駐留軍の総意であった。


 それから半日近く敵の動きはなく、また夜が訪れようとしていた。


「敵の様子に変化はあるか?」

 要塞全面の防壁上に矢を装備して待機するンジャーミンに下半身が蛇の女性――ラミア隊長が話しかけてきた。


 ラミア隊長の本名は別にあるのだが、あまりに長すぎて覚えられない結果、皆は彼女のことをラミア隊長と呼ぶようになっていた。


「いえ、夜が明けてから敵の動きに変化はありません」

「そうか……」


 ラミア隊長はそのまま立ち去ろうとしたが、すぐに何事かを思い出したようで、ンジャーミンに問いかけてきた。


「最初に敵を発見したのは貴様だと聞いたが?」

「はっ、そうでありますが……」


 ラミア隊長は少し何事か考え、ンジャーミンに命じた。

「三時間与える。今のうちに仮眠を取ってこい」

「は……? いえしかし」


「おそらく敵の狙いは持久戦に持ち込み、こちらを疲弊させる戦術だろう。こちらも兵を分け、少しずつ休息させる。まずはお前からだ。行け」


「そういうわけでしたら……。お先に失礼します」

「うむ」


 ンジャーミンはラミア隊長に敬礼をし、同僚のオークに手を軽く上げて挨拶をすると要塞の奥へと入っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ