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おれは帝国で成り上がってみせる!

 ゴブリン族のンジャーミンはヴレダ要塞の守備隊所属である。

 ゴブリンの集落は帝国全土に存在するが、ンジャーミンの生まれた集落はその中でも特に辺境の地にあった。


 ゴブリンは帝国の中でも弱小な種族であり、能力がすべてである帝国において顧みられぬ存在である。加えて彼の村はゴブリンの集落の中でも特に貧しく、日々を生きていくのがやっとという生活を送っていた。


 そんな状況で生まれ育ったンジャーミンであった。ンジャーミン自身はゴブリンの中でもとりわけ体格がいい方でもなく、貧しさの影響もあってか、小柄で虚弱な体質であった。


 しかし彼は他のゴブリンと比較して特に秀でた特徴があった。

 非常に真面目で努力家であったのだ。


 彼は五歳の時に両親から与えられた粗末な木の槍を日々振り続けた。

「おれは帝国で成り上がってみせる!」


 ンジャーミンには野望があった。この貧しいゴブリンの集落を、ひいてはゴブリンという種族そのものを豊かにし、帝国での地位を向上させるという、ゴブリンとしては壮大な野望だった。


 その野望を両親は応援してくれた。村長むらおさはゴブリンとしてはあまりに壮大な野望を最初は鼻で笑っていた。


 にもかかわらず諦めることを知らないンジャーミンは槍を振り続け、十歳にもなろうとする頃には村で一番の使い手になっていた。


 その姿を見た村長は――いや、集落の誰もがンジャーミンを笑うことはもうなくなっていた。これほどの逸材を村で飼い殺しにするわけにも行かないという意見が出るのは必然であった。


 今も昔も帝国で栄達するには軍人になるのが最も早い。村の者皆が財産を少しずつ出し合い、ンジャーミンは集落で初めて帝国軍幼年学校へと進学することになった。大変な栄誉である。


 そこでも彼は努力に努力を重ね、種族的な不利を克服して幼年学校を首席――とは言わずとも、そこそこの成績で卒業することができた。


 幼年学校を卒業したンジャーミンは、ヴレダ要塞に配属された。


 ヴレダ要塞守備隊はアガリアレプト皇子率いる外征軍や魔王を守護する親衛隊、貴族の私設軍には及ばないものの、帝国軍にとって重要拠点を守る部隊である。ンジャーミンはそのような重要な部隊に配属されたことを誇りに思い、持ち前の生真面目さもあって日々の任務をこなしていた。


 そしてこの日の夜も。


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