新しい仲間はどういう奴なんだ?
三人で食事をしているうちに昼近くになったので、新メンバーとの待ち合わせ場所である東門へと足を運んだ。
今日も東門は多くの人々が行き来している。徒歩の者もいれば馬車の者もいる。中には、多くのロバを引き連れた行商人らしき者の姿もあった。
メリアは馬車を操り、行き来する人々の邪魔にならない場所に馬車を止めた。
「で、新しい仲間はどういう奴なんだ?」
「さあ……。使者の方はここで待つようにとおっしゃっていました。向こうから声をかけてくるのではないでしょうか」
確かにそうかもしれない。相手の特徴を聞き出すよりも、おそらく向こうから声をかけてくる方が手っ取り早い。何せこのお姫様は目立つ上に有名人だ。今も街をゆく人々がメリアに目を奪われている。
そういうわけで待ち人を待つことにした。
「んじゃ、オレは昼寝でもするよ。来たら起こしてくれ」
「ふふっ、かしこまりました」
イリスは馬車の荷台に入っていった。中ではねこ娘が荷台の真ん中でまるくなってすやすや眠っていたので、それをどかしてミャーリーの隣で昼寝をした。
「ふわぁ、よく寝た」
「あら、勇者さま。よくお眠りになっておられましたね」
イリスが目覚めたとき、陽は西に傾きつつあった。相変わらずミャーリーは気持ちよさそうな寝息を立てて眠っている。いつまで寝てるんだと思ったが放っておいた。
「来たか?」
イリスが聞くが、メリアの表情は晴れない。
「いえ……。何度か話しかけられましたが、やはり握手やサインの要求ばかりでしたね。それらしき人は来てません」
握手やサインを求められるのは日常茶飯事なのかよ……。と思ったが、さすがに口に出して言ったりはしなかった。
「どうなってるんだよ、もう夕方だぞ。もしかしてあの教皇、俺たちの相手するのが面倒くさくなって適当なこと言ったんじゃないだろうな!?」
「さすがにそれは……。適当に追い払ったとしたら、あとから余計面倒なことになるだけじゃないでしょうか」
「そりゃそうだな。なら、新しい仲間はどこに行ったんだよ」
「それは……」
メリアを問い詰めても仕方ないのはわかってはいるが、苛立ちからつい言葉にとげが入ってしまう。
「どうするかな……。今から教皇宮に戻って教皇にもう一度会ってみるか?」
「そうするしかないでしょうね……」
御者台の上で二人揃って大きくため息をついた。馬車の前方では一日待ちぼうけの馬が所在なさげにしていた。




