オレは男だぞ!
「お目覚めですかな、お嬢様」
リーダー格であろう、一際大柄な顔に傷のあるはげ頭の男がそう言うと、周囲の男達がゲラゲラ下品な笑い声を上げた。イリスは寝たふりをして無視することにした。
「アニキが話しかけてるだろうがよ!」
直後、強烈な衝撃がイリスの腹に襲いかかった。
「ぐぶっ!」
その衝撃で小柄な身体は吹っ飛び、小屋の中に詰まれているガラクタの山の中に突っ込んだ。
「おいおい、手荒なマネはするなよ? 俺たちにとって大事な『商品』だ」
「わかってますぜ、アニキ。外から見えるところは傷つけたりしませんって」
そう言った痩せぎすで長身の男が下卑た笑みを浮かべ、自らの腰に手を当てた。
「まったく、これだからロリコンは」
「手早く済ませろよ」
「わかってますって」
げらげらと笑いながら男達のうち二人はその場から立ち去っていった。ただひとり残ったのは先ほどから下卑た笑みを浮かべている痩せぎすの男ただひとり。
まさか……。
「そう怖い顔すんなって。すぐに良くしてやるからさ」
男はイリスの身体の上に覆い被さってきた。
「てめえ……」
イリスが男を睨むが、男は全く怯む様子もない。
「おや、猿ぐつわがいつの間にか外れちまってるな。まいっか。その方がかわいい声が聞けるしな」
男はイリスに顔を近づけてきた。イリスは必死になってもがくが、十歳相当の体力しかないと公式に判定されている身体では大の大人をとても押しのけられるものではない。
「やめろ。オレは男だぞ!」
イリスの言葉に男は少しだけ虚を突かれたようだったが、すぐに元の下卑た笑みに戻ってしまった。
「へぇ。じゃあ、確かめないとな。もっとも、俺は男でも一向に構わないがな。ひゃひゃひゃ」
男はこれ以上ないのではないかと思われるほど下品な笑い声をだして、イリスの服に手をかけた。
「やめろ! いい加減にしないと……!」
神を名乗る老人に与えられたかりそめの身体といえど嫌悪感を覚えないはずがない。イリスは必死になって男の戒めから逃れようとするが、やはり体格差はいかんともしがたく男の腕はぴくりとも動かない。
男がイリスの首筋を舐めた。ぞくぞくっと身体全体が震えるかのような寒気がした。悔しさに涙があふれてくる。
せめて男の股間を蹴り飛ばしてやりたいとも思ったが、手足を縛られている状況ではどうにもならない。
いよいよ男の手がイリスの服にかかり、それをめくろうとしたその瞬間、小屋の外で倉庫街全体が揺れたとおもえるほど巨大な爆発が起こった。正確には大爆発かと思われるような音が。




