表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/82

第58話 第一死徒グレゴリ

悪魔は周りをキョロキョロと見回す。


「【الروح الآكل】。」


その声は男の声にも女の声にも聞こえる不気味な響きだった。

悪魔が理解不能な言葉を唱える、恐らく悪魔の言語だろう。

すると周りで気絶している侍たちの体から青白い人魂のようなものが抜ける。

それはフヨフヨと悪魔の元へ集まり出す。


「野郎…!!」


悪魔のやろうとしていることを察し俺は駆け出す。


「【雷鳴怒濤】!!!!」


鬼哭は悪魔の顔面を捉えるが…手応えがねェ…!

悪魔の頭は霧のようにブワッと霧散する。

俺の鬼哭が振り抜かれると頭は元通りになる。


『【راكع】。』


またも悪魔が唱える。

すると俺の体が急に重くなる。


「あァ?」


だが俺は平然と立っていた。

それどころか1歩足を前に出した。

足は地面にめり込み、ヒビが広がる。


『これは驚いた、まさか人間風情が私の【言霊】に対抗し得るとは。』


「ンだよ、話せんのかおめェ。」


『家畜と言葉を交わす物好きなどそういまい。』


その発言に俺の額に青筋が浮き出る。


「あ?」


『お前はどうも劣等種である人間の中では強者のようだが、所詮サルよな…私との力の差はあまりに隔絶している。』


「随分舐めた口きくじゃねェか…」


『私の異能は強い言葉であればある程効力を増す、【الاستلقاء】。』


俺の体にかかる重力がさらに増える。

だが俺は平然と立って悪魔を見据える。


『有り得ない…何故立っていられる?』


「あ?別に体が()()()()()()()ところで障害にもならねェよ。」


悪魔はここで初めて表情らしきものを見せる、驚いているようだ。

だがその表情はすぐに怒りに染まる。


『この劣等種風情が…!!【موت】。』


悪魔がまた『言霊』とやらを使う。

だが今回は体を重くするどころか何も起きなかった。


「……?」


『ば、バカな…!?何故効かない!?何故死なない!?』


「何がしてぇのか知らねェが、言葉遊びなら他所でやれ。」


俺は大きく息を吸う。


『【إنه جدار】!!!』


悪魔の声で地面から真っ黒なデカい壁が生える。


「【雷轟】!!!!」


俺の口から集束された雷のブレスが放たれる。

壁とぶつかると拮抗することもなく瞬く間に破壊し焼き尽くす。


『有り得ん…!!【إنه جدار متعدد الطبقات】!!!!』


今度は何重にも壁が現れる。

だが俺のブレスで次々と破壊されていく。


『クソッ!!【تسوباسا】!!!』


悪魔の言葉で背中に翼が生える。

そして俺のブレスの射線外に逃げ延びる。

悪魔は空中で何やらブツブツ言い始める。


『クソクソクソクソ私が逃げた…!?劣等種である人間風情の攻撃から…!?!?第一死徒であるこのグレゴリが…!?』


「……(確かに今までのヤツらより魔力は桁違いにデケェ…だがコイツの戦い方はなんか怖くねェんだよなァ…能力頼りって言うか…)」


『屈辱だ…!この屈辱、晴らさねば耐えられん!!【الظلام】!!!!』


悪魔がまた新たな『言霊』を紡ぐ。

すると空気中から黒い霧のようなものが悪魔に纏わり付く。

それは悪魔を覆い隠すが、すぐに霧散する。


中から先程より二回りはデカくなった悪魔が出てくる。


『これは醜くなるから使いたくはなかったんだが…貴様は私の手で殺さねば気が済まん…!!』


次の瞬間悪魔の姿が消える。

俺は気配を感じ腕で防ごうとするが、全く別方向から攻撃が飛んできた。

攻撃は俺の顔面を捉え吹き飛ばされる。

俺は今の攻防を瓦礫の中で反芻していた。


「……(今…俺は何を貰ったんだ?)」


だがすぐに瓦礫を吹き飛ばして悪魔の前に立つ。


『理解ができておらんようだな、所詮サルよ。』


今度は真正面から殴りかかってくる。

俺はそれをかわしてカウンターの一撃を入れようとした時、悪魔は俺が攻撃を出す前に動いたのが見えた。

俺のカウンターパンチは空を切り悪魔の蹴りを腹に貰い後退する。


『ハハハハハ!所詮サル!我々悪魔の敵ではない!!!!』


「…おめェ、未来が見えてんのか?」


『!!』


「やっぱりか…すっかり忘れてたぜ、その力ハービットのヤツしか使えなかったからなァ…」


『!?(バカな!?高度な魔力感知による未来を知覚する技術…未来感知を人間が使えるだと…!?)』


「その反応…普通なら人間には逆立ちしても使えねェ能力なんだろうな。」


『戯言をほざくなよ人間…!この技術は我々悪魔の中でも限られた者しか使えん秘中の秘…それを人間が使うなどなんたる侮辱!!!!』


悪魔を中心に魔力が圧となって吹き荒れる。

そして悪魔の身体は更に膨れ上がる、俺はその様子を見ていてドラゴンエイプを思い出す。

そして俺は自分が成長できるかもしれない予感を感じニヤリと笑った。


『グルルアアアア!!!!』


単調な攻撃だが『未来が見える』それだけでかなり厄介になる。

俺がいくら避けようと数発に1発は貰っちまう。

だが俺の攻撃はいくらしようとかわされちまう。

そこいらのザコなら身体能力で捻じ伏せられるんだが、相手は悪魔…身体能力的にはまだ俺に分があるっぽいが、未来感知がそれを補って余りある。


『キサマァ!!ナニヲワラッテイル!?!!』


攻撃を受けながらも俺は笑っちまってたらしい。

久々の苦戦につい嬉しくなっちまった!!


コイツとの戦いで俺は何としても未来感知をモノにしてみせる…!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ