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第43話 新たな仲間

飛竜の背に乗り風を感じながら海を眺める。

ちと危ねェがこういうのも悪くねェなぁ…


「そういやどのくらいで東の大陸に着くんだ?」


「この速度であれば日が暮れる前にはつくはずだ。」


「いやーワイバーンって意外と速いんですねー!」


そんな会話をしながら空の旅を楽しむ。

だが、俺は魔力感知で反対側から複数の何かが近付いてくるのを感じ取った。

敵か味方か知らんが戦闘のヤツはちょっとだけ強ェな。


「おい、忍者。おめェの飼い主はこんなとこまで迎えを寄越してくれんのか。」


「む?いえ、そんな話は私は聞かされてはないですが…」


「じゃぁおめェの飼い主の邪魔をして喜ぶヤツは?」


「ッ!!まさか…!!」


「あ、向こうから大量にワイバーンが飛んできてますね。」


「あれは竜賊…飛竜を操るだけの力を持ちながら賊に身を(やつ)した痴れ者達だ、リーダーの男がやたらと強いと聞く!!」


エマとモミジも気付いた。

俺はタバコに火を付けてそれを一息で吸い切る。


「ブハァー…1匹貰ってくるとするぜ。」


大量の煙を吐き出してからそう言うと俺はワイバーンの背中を蹴った。


「うわぁ!?」


「わわっ!!」リューゴさん無茶しないでくださいよー!!」


そんな声が背中から聞こえたが俺は気にせず先頭の黒いワイバーンに突っ込む。

黒竜が俺に気付き少し呻く、ようやく乗り手は俺に気付いたが、もう遅せェ。


「おめェの相棒貰うぜ。」


乗り手をぶん殴る。

呆気なく吹き飛んで落ちていく。


「噂が独り歩きしてたみてぇだなァ…」


他より強ェ魔力を放ってんのは乗り手(アイツ)じゃなくて…


黒竜(おめェ)か…!」


周りのザコが騒ぎ出す。


「おい!ボスが一撃でやられたぞ!?」


「ずらかるぞ!!」


「散り散りに逃げるんだ!!」


俺はそんな周りの雑音など全く耳に入らなかった。

乗っている黒竜が暴れ始める。


「グルルルアアア!!!!」


コイツ…俺より弱ェヤツを乗せてた時は大人しかったくせに俺が乗って暴れ出しやがった…!!


「ハッハハハハァ!!おめェ良いなァ!!」


黒竜は俺を振り落とそうと翼を畳んで回転しながら自由落下を始める。

そして水面スレスレで翼を広げて滑空する。


「うおぉ!?(コイツ慣性や遠心力を理解してんのか…!?)」


コイツは頭が良くプライドが高ェ…

それなのにあのザコに大人しく従ってたってのは納得いかねェな。

すると通信魔法が俺に届く。


「リューゴ殿!!その黒竜は隷属の首輪を嵌められている!!」


隷属の首輪…?

俺は黒竜の首元を見る、確かに物々しい首輪が嵌っている。

俺はそれを力ずくで壊そうとするが察したモミジが声を上げる。


「リューゴ殿!!隷属の首輪は無理に外せば死に至る!!もしやるのなら首輪が知覚する以上の速さで壊さねばならん!!」


「はっ!余裕じゃねェか。」


俺は首輪が知覚する以上の速さで握り潰して引きちぎった。

だがすぐに嫌な予感がして遠くに投げ飛ばす。

すると空中で大爆発が起きた。


「……相棒にあんなもん嵌めてやがったのか…」


俺はそう呟いて黒竜を見る。

黒竜は首輪が外れてから大人しく俺を背中に乗せて飛んでいる。


「災難だったな、これからは俺がおめェの飼い主だ。」


そう言って背中に手を置いた。

すると黒竜は鳴き声をひとつ上げた。

その声はやけに嬉しそうに聞こえた。


「おい、あの2人乗せてるワイバーンのとこまで行ってくれ。」


俺がそう言うと黒竜はモミジの操るワイバーンの元に飛んでいく。

やっぱりか…コイツ人間の言葉が理解できんのか。


「ククク…おめェのことが知れればバカどもがこぞって押し寄せて来るな。」


俺はそう笑って首元をポンポン叩く。


「グルァ…」


それが伝わったのか黒竜は嫌そうに鳴く。


「リューゴ殿!まさか本当に隷属の首輪を力ずくで外してしまうとは…」


「リューゴさんその子飼うんですかか?」


「ああ、コイツは俺のもんにする。」


「ならば名付けをしてやるのがよろしいかと。」


「名付け?いるか?黒竜でいいだろ。」


「従魔の契約は名付けで成されるのです。」


「クロちゃんとか可愛くないですか!?」


「クロちゃんだァ?…モミジ、おめェのワイバーンの名前は?」


「この子は翡翠色をしているので(みどり)です。」


「色かァ…だとするとやっぱりおめェはクロになんのか?」


「良いじゃないですか!可愛いですよ?」


「ガアアッ!!」


黒竜は怒るように鳴く。


「ハッハハ、だってよエマ。」


「むぅ…可愛いのに………へ?」


「あ?」


「リューゴ殿…その飛竜は人語を解するのか…!?」


「ああ、それか…みたいだぜ、コイツ俺と戦ってる時に力の流れを利用するような動きも見せたしな。」


「な、なんと…」


「すごい…」


「………じゃぁ黒姫だ。」


「グルァ♪」


「「…え!?」」


「この子女の子なんですか!?」


「な、何故分かったんだ!?」


「あ?見りゃ分かるだろ。」


「え…!?」


「リューゴ殿が我々とは違う世界を見ていると言うことが分かったな…」


モミジはそんなことを言って遠い目をする。


「これから頼むぜ…黒姫。」


「グルアアアアア!!!!」


黒姫は歓喜の雄叫びを上げた。


「……にしてもリューゴ殿…」


そう言いながらモミジは手網も握らずに黒姫の背中で胡座をかく俺を見る。


「すごいな…何故落ちないのだ…」


「そりゃァ俺が落ちねェように乗ってんのと黒姫(コイツ)が俺が落ちねェように飛んでるからだろ。」


「うぎぎぎ…こんな所に正妻ポジを脅かす伏兵がいるとは…!!」


「エマ、お前は変わらんな…」


そうこうしているうちに大陸が見えてきた。


「リューゴ殿、それでは私が飛竜の発着場まで先導しますので着いてきてください。」


「ああ、黒姫頼む。」


俺がそう言うと黒姫はモミジが操る翠の後ろに付く。


「本当にすごい飛竜だな…翠も逸材と言われているのだがな…」


「ワイバーン全てがこれだけ賢ければ共存もあるでしょうに…」


「飛竜も本来魔物の一種だからな…」


「でもこうして見てみると意外と可愛いですよね。」


「ふふ、私の翠はこれでも里一番の美人さんなんだぞ。」


「わぁ!全然区別つきません!」


俺はそんな2人のどうでもいいやり取りを聞きながら黒姫の背中に寝そべって空を眺める。


東の大国ヤマト、どれだけ強ェヤツがいんのか今から楽しみだ…あぁ…楽しみだ…!!

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