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笑わない魔女は光の聖女に憧れる  作者: 悠里愁
第ニ章 学院七不思議
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精霊召喚(二年生)

二年生の授業内容は一年生とそこまで変わらない。座学が減って実践的な魔術や体術などが少しだけ増えているが、本格的なコース別授業が始まるのは三年生のようだった。


まだまだ基礎的な事を学ぶ必要があるって事だよね


ふんふんと時間割を見ていると、カルロが何やってんだと声をかけてきた。


「授業内容見てたの。それにしてもまたカルロ達と一緒のクラスでよかったよ」

「学年に一クラスしかないのに分かれようがないだろ。三年になると上の学年と合同授業もあるとか言ってたけどな」


そういえば、そうだった


クラス内には騎士も官僚コースもいる。そう考えると魔術師になれるのは、少ない気がする。貴族は皆学院に通うが、子供の数はそこまで多くないのだろうか。自分が六人兄弟で育ったので、そう思うのかもしれない。


「貴族の子供達ってそこまで多くないよね?貴族は少ないの?」

「少なくはないですが、半分以上は平民ですからね。それに貴族は子は二人まで、男児が居ない場合は三人までと決められています」


にゅっと会話に加わってきたライが説明してくれる。


「えっ!?なんで!?平民はそんな事ないよね?」

「さあ…随分前の王が決めたようですし…。その時代は多子化だったのかもしれないですね」


ジュリは首を傾げながら、よくわからない貴族の決まり事をまたひとつ知った。





最初の授業は魔術の関するもので、講師は引き続き師長だった。


この人忙しいって言ってなかったっけ?


ジュリがそんな事をぼへーっと考えていたら、にこっと師長と目があって当てられた。


「では復習です。精霊召喚はなぜ低級の精霊から契約した方がいいのか覚えていますか?」

「えっと契約した精霊より、低いランクの精霊とは契約できなくなるからです」


はいそうですねと褒めてもらった。ほっ


「今回は二つ目の精霊との契約をしてもらいます。今の精霊よりも高ランクの精霊と契約するというわけです。ちょっと難しくなりますが、まあ大丈夫でしょう」


何が難しくなって、どう大丈夫なのか詳しく説明して欲しいとクラス一同思った。


「その前に精霊について、もう少し詳しく知って行きましょう」


そしてぺらんと三角形の表のようなものを取り出した。なんかよれよれしてて、相変わらず絵が下手なのかなと思った。


三角形の中を五つに分けるように線を引いた。そして上は高位で下は低級だと説明してくれる。


上に行くほど数が少ないから、精霊の序列かな…?


「精霊にもランクがあると説明しましたね。大まかに分けて五つに分類されます。一番下がプレブス次にノビレス、エクエス、プネウマ、アマルティアの順となります」


うう、知らない単語ばかりで覚えにくい


ジュリと同じような事を思ったのか、誰かがその言葉の意味を質問した。


「人間がつけた意味ですが、一応あります。僕はあまり好きではないのですが、下から平民、貴族、騎士、聖なるとなります。学生が呼び出せるものはほぼ下から二つでしょうね。プネウマは神獣や聖獣などほぼ目にすることはないでしょう」

「あれ?四つだけ?最後のひとつの意味はなんでしょう?」


ジュリが質問すると、師長はああと少し考える仕草をしたが答えてくれた。


「アマルティアは罪という意味になります」

「…罪?」


序列を表すと言う意味で、平民や貴族を当てたのはわかった。最後の神獣などを聞いても、上に行くほど高位の伝説になるような生物になるのだろう。


けれどなぜ最上位のものが罪?


不思議そうな顔をするジュリや他の生徒の顔を見ながら、師長はふふっと笑った。


「誰が決めたのかわかりませんが、不思議ですよね?何がアマルティアなのかちゃんと書かれた本は存在しません。下の四つには分類できないものだと言われています」

「けれどその名前が存在するという事は、いるって事ですよね?」


カルロが質問すると、記録がないのでいたかどうかは不明という事になっていると言われた。


何か魔術って失われた魔術とか魔法とか、言葉は残っているのにわからないものが多いな…?


「気になる方は幻想生物の本などを読むと面白いですよ?では、話を戻しますよー。君達には前回プレブスの中でもかなり下位の精霊を召喚したと思います。今回はプレブスの上~中位くらいの精霊と契約して見ましょう。また二つ以上の属性を持っている方は、前回と違う属性に挑戦しましょう」


そう言って精霊に捧げる花用の水晶が配られた。花を咲かすのが苦手なカルロはまたかあと頭を抱えている。


え、まって?じゃあ私はシグナと同じくらいの力を持った精霊と契約しなきゃいけないの?


シグナの精霊のランクはわからないが、高位なのは知っている。どう考えても無謀に思えて、師長に相談しに行った。


「あの…私は前回の精霊召喚で、失敗したんですけど」

「ああ、そうでしたね。あの陣では高位の精霊は呼べないでしょうから…」

「シグナだけじゃダメなんですか?」


正直シグナ一人で、何人もの低級精霊合わせたより強いと思うのだが、増やさないといけないのだろうか。


「貴方は四属性持ちですから、四つの属性の精霊と契約しなければいけません。これは聖女候補として必須です」


そんなの初めて聞きましたけど!?


絶望的な表情になったジュリに師長が、確かに今の貴方には難しいかもですねと言った。


「精霊召喚は陣に魔力を満たしますよね?その魔力や質を見て、契約してもいいという精霊が召喚に応じてくれるんです。また高位になるほど人間に使われるのを嫌うので、召喚じゃ現れない精霊もいます。僕の精霊もほとんど精霊召喚じゃ呼び出せないですね」

「えっ?じゃあ師長はどうやって契約したんですか?」


師長はふふっと笑いながら、探して倒しましたと言った。


「はい?」

「倒して契約しました」


二回も言われても…。


言葉はわかるが、何を言っているかわからない。


「精霊と言うのは自分より強いものに従う性質があります。序列にしてもそうでしょう?だから召喚する際に貴方の魔力じゃ今はプレブスしか呼び出せないんです」

「じゃあ魔力が強くないと、強い精霊とは契約できないんでしょうか」

「いいえ、君はすでに高位精霊と契約できているでしょう?これはまあ、例外ともいえますけど、精霊によっても個性があるんです。彼らが認めてくれるのは力だけではないのです」


確かに魔力が強くないと契約できないなら、自分はシグナと契約できていないはずだ。その契約した時の事もよくわからないのだが…。


「君の精霊は多分ノビレスとエクエスの中間くらいでしょうか。そのランクの精霊と契約しようとしたら、話をして精霊の試練を受けさせてもらう方がいいでしょうね。僕はもう面倒なので、力でねじ伏せた方が早いのですが…」


最後何か物騒な事が聞こえたような気がしたが、スルーした。


「ただ陣じゃ無理だと思うので、森に探しに行った方がいいと思います」

「森?」


確か入学式の案内図に森のようなものがあった気がする。


「エクス契約などしていますか?」


ん?どこかで聞いた覚えがある気がする


何か雑談の中で話した気がするが、よく覚えてないくらいだ。もちろんそんな契約をした事もないので、ジュリはふるふると頭を振った。


「採取などは森の入り口ですることもありますが、奥は基本的に最高学年でしか行けません。それなりに危険なので。ただ精霊を探すとなると入らなければいけないでしょうね」


精霊がいる森って事なのかな?どんな森なんだろ


「騎士団に知り合いがいますが、流石に生徒の為に呼び出すわけにはいかないですしね…だからって僕だけで行くと後で文句言われそうなんですよね~森には必ず騎士や兵士が同行しないといけないので」


下級生を森に連れて行くのはあまり褒められた事ではなく、出来れば森探索は内密でしたいとの事だった。騎士団の偉い人に苦手な人でもいるのだろうか?


「あっ最高学年にいましたね騎士が。お金で解決できそうな」


それを聞いて、ジュリはなんとなく誰かわかるような気がした。

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