第四話「俺がするべきこと」
異世界に来てから一日目の夜だ
とりあえず、俺はゼノさんの馬ご......家に居候させてもらうことになった。
俺は色々な質問を彼女にした。
・魔術について
基本的にラノベに出てくる魔術に似ている。
体内にある自らの魔力を火や水などの様々な物質に変えたり、ものに魔力を流して移動させたり、だが、大きく違う点が一つあった。
それは、魔力自体に特性があるということだ。
この世界の人たちはその特性のことを『ガイア』と呼んでいるらしい。
ガイアは生まれた時から自身の魔力に備わっており自分が使う魔術に大きな影響を与えるらしい。
例えば、魔力に風のガイアが備わっていて、炎魔術を使うと風の特性をもった炎魔術が生み出され、ファイアートルネードになるらしい。
魔力の量は定期的に魔力を使い続ければ、成長に応じて魔力総量が増える仕組みらしい。逆を言えば、定期的に魔力を使わないと魔力は増えないみたいだ。
魔力を全く使ってこなかった俺には、魔術は使えないのかと思っていたが、ゼノさん曰く、俺にも人並程度の魔力が存在しているらしい。
なんともまあ心惹かれる話じゃないの。
・ゼノさんについて
ゼノさんは剣と魔術、両方を使いこなす冒険者みたいだ。
なぜこんな森の中の馬小屋に住んでいるのか聞いてみると、妙にはぐらかされてしまった。何か事情があるのだろう。
まあ、深く詮索するのはやめておこう、助けてもらった上に居候までさせてもらえるんだ、迷惑をかけるわけにはいかない。
・・・さて、これからどうすれば...ずっとここに住まわせてもらうわけにはいかないだろう。しかし、宿に泊まるにも家を買うにもなんにせよ金が必要だ。この世界ではもちろん日本円は使えない。
ちなみに俺の初期装備
・折り畳み傘1本
・日本円 野口二枚のみ
・ボールペン二本
わかっちゃいたけど使えそうなものはなんもないな...。
ていうか、あの紋様によってこの世界に転移したのは俺だけなのだろうか...。
いや、紋様からそれなりに離れていた俺だけがピンポイントで飛ばされるとは
考えにくい、つまり、俺のクラスメイトもこの世界のどこかにいるのか?
だとしたら合流して一緒に帰る方法を......帰る?
俺はそもそも帰りたいと思っているのか?
こんなラノベにしか出てこない異世界…、危険は沢山あるだろうが、元の世界よりかは単純な構造でできているわかりやすい世界だ。こんな理想的な世界...手離していいのだろうか...。
いいわけがねえ......。
・・・よし、決めた、俺はこの世界で生きていく。そうしよう、うん......。
・・・・・そういえば、俺は運よく助けてもらえたけど、他のみんなは今どんな生活を送っているのだろう...。
見慣れない格好をしている人間をこの世界の住人は助けるだろうか...。
当然、優しい人もいるだろう。だけど、ここには国を支配している王族などの貴族もいるらしい、行き場がなく、そこで奴隷として働かせられる人も少なくない。
魔物だって沢山いる。この森も充分危険だが、ゼノさんの話を聞く限り、
もっと危険な場所もあるらしい......。
はあ......クソ、モヤモヤする...どうすれば...。
「随分と悩んでいるみたいだが、どうした?」
そこには透き通るような白髪を持ち、素晴らしい天使のような声色を発する女性が俺を目視していた。ああ、やばい、可愛すぎてヤバい。
って...言ってる場合じゃないよな......。
「ゼノさん...これはもしもの話なんですけど...ある日、一緒に遊んでいた知り合いと突然離れ離れになってしまい、自分はそこそこの生活を送れているが、知り合いの方はとても危険な場所で過ごしていて、苦しい生活を送っているかもしれない。それが心配で仕方ないとき、ゼノさんならどうしますか?」
わからなくなってきたのでゼノさんに質問をなげてしまった...。
彼女からしたら、いきなりなんなんだと思うかもしれないが、どうだろうか...。
「私だったら、その知り合いに会いに行くな」
「でも、その知り合いがどこにいるのか正確にわからない場合は?」
「そのときは...その知り合いを探す旅に出る。これではダメか?」
旅...旅か、うん、確かにそうだな。
この際この世界を歩き回ってあいつらを見つけてすっきりしてから、異世界生活とシャレこもうじゃないか。うん、そのほうがいい。
・・・ん?って結局金が必要じゃねえか・・・・・。
ああもういいや、考えるのもめんどくなってきた。この際ゼノさんに全部答えを出してもらうか・・・・・。
「ありがとうございます。今日はもう遅いですし、これで最後の質問にします」
「ああ」
「俺がここでお金を稼ぐためには、どうしたらいいでしょうか?」
ゼノさんは少し考えて、
「そうだな......私は昔から剣術と魔術を教わっていたからな、冒険者になって魔物を倒して換金するだけでも充分稼ぐことができたが...。」
冒険者...俺が冒険者か...なれるのだろうか。でも、この先、この世界で生きていくのだとしたら、それなりの実力はやはり必要になってくるだろう...。
よし、俺は冒険者になろう。
・・・・不安だ。剣術も魔術もからっきしな俺が冒険者なんてなれるのだろうか...。
できないなら、教わればいいが、教えてくれる先生が......。
・・・・・こうなったらダメもとで頼んでみるか...。
「ゼノさん、助けていただいた上に居候までさせていただいてる身ですが、お願いがあります」
「なんだ?」
「俺に、剣術と魔術を教えてくれませんか」




