第十三話「旅の準備」
そろそろ旅の準備を始めようと思う。
旅に必要なものと言えば移動用の馬車に食料など色々だ。
ついでに魔導書も欲しいところだが、この街にはそれほど大きい本屋はないので
まだ先だ。
魔導書を買えるほどの金があんのかって話だが...。
まあ、金の方はクエストを攻略しまくったことでかなり集まっている。
今のうちは心配ないだろう。
しかし、旅に行くとなるとゼノさんともお別れか...寂しくなるな。
まあ、また会えるだろ。世間は意外と狭いしな。
・・・ホントに狭かったら、どれほど仲間探しが楽か...。
人ひとり探すのにも一苦労だし、ましてや五人も探すんだ、そんな簡単に見つかるとは思えない。
・・・みんな無事だろうか。
五人の中には一人だけ女子もいたし、眼鏡野郎の真面目君もいた。
まあ、青葉と倉井あたりは頑丈にできてるし大丈夫だろうけど...。
・・・・・・今考えても仕方ない。
とにかく、準備開始だな。
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変なものを買うといけないので、ゼノさんに協力をお願いしたところ、
許可していただけた。
「どこに行くのかにもよるが、食料は現地調達でもいい場合もあるから、
難しいところだな。移動速度を上げたりできる魔導具なんかも
買っておくといいんじゃないか。あとは...」
ゼノさんに説明をしてもらいながら、街を歩き回り、商品を買う。
これはもはやデートというものではないのだろうか。
「・・・なあミナミ、一つ頼みがあるんだが...」
なんでございましょうか。
「私も...同行してはいけないだろうか?」
「・・・・今なんて?」
「え?あ、えっと、私もお前と共に旅をしたいんだ」
・・・ほっほう、なるほどなるほど、俺と一緒に旅ねぇ...。
「キタコレーーーーー!」
「え?」
おっと間違えた。
「もちろんです。俺からもお願いします。」
「そ、そうか?ならいいんだが...そろそろ潮時だしな...」
・・・なんか聞こえた気がするが気のせいだろう。
さて、ショッピングを再開しようじゃないか。
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「目的地はどこにするか...確かお前は仲間を探しているんだったな、
そのことを考慮した上で決めよう」
ショッピングを終え、家に帰った後、街で購入したマップを見ながら、
俺とゼノさんは最初の行く場所を決めていた。
マップを見る限り、いろいろな街や他種族の村があるみたいだ。
大体の街にはその街を統治する王族貴族がいるらしい。
行き場のない子供を匿っている場所と言えば、学校や孤児院だろう。
となると今いる街から一番近い学校や孤児院がある場所に行くか。
「このコエダ村はどうでしょう?孤児院が多いみたいですし、
もしかしたら、俺の仲間が匿われているかもしれません」
「その村は、よく物騒な噂を耳にするぞ、あまりすすめられないが...。
お前がいいなら同行しよう」
いわゆるスラム街のようなものだろうか...孤児院があるくらいだし
大丈夫だと思うが...まあ、ゼノさんも来てくれるし
あまり心配しなくてもいいだろう。
「はい、お願いします」
馬車はゼノさんの家の馬を使い、荷車を引っ張ってもらうことになった、
大体準備は整ったので、明日出発することになった。スムーズに進んでいる。
・・・不安だな、日本でも旅行は何回かしたことがあるが、今回は旅だ。
道中に危険がたくさんあるだろうし、ましてや、ここは魔物が住み着く異世界だ、
死ぬ確率だって低くない、まあ、今の俺には剣術と魔術もあるし、
そう簡単にはやられないだろうが...。
「不安か?」
「・・・いえ、大丈夫です」
「そうか?」
・・・顔に出てただろうか...旅を提案した俺が不安がってちゃ話にならん。
男ならもっと、ずっしり構えてなきゃな。
「あまり無理するな、互いにフォローしあえばいい」
「・・・はい、ありがとうございます」
まあ、いいや、今ウジウジしてもしかたない、ようやく仲間探しの旅をスタートできるんだ、
もっと気合入れないとな。