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友達から始めるべきだった

作者: 三瀬ヒタ

「あの……私と付き合ってくれませんか?」


何かの間違いだろうか。学校一番人気の彼女が僕に告白してきたのだ。

罰ゲームだろうか……いや彼女はそんな人ではない。学校の行事には率先して協力し、悪い噂がたったことがない人だ。

じゃあなぜ? 僕みたいな冴えない男子に告白なんて……でもこれはチャンスでもある。

僕はザ・ぼっち的存在である。友人などネットでしかできたことがない(遊ばないけどフレンドでいるだけの)。彼女と付き合えば友人が出来るかもしれない。そして何より可愛い彼女が出来る。

でも、友達から始めるべきか? 僕みたいな男子が断ったりしたら絶対的にいじめられる。『生意気じゃない』『何様のつもり』『可哀想』と言われる可能性がある(絶対に)。ここは断る訳にはいかない。僕は勢いよく返事をした。


「僕で良ければよろしくお願いします」


至って平凡的な返事だ。ここでふざけた返事をすればいじめられるというぼっちからぼっち+いじめられる人と下がってしまう。僕は断る権利はないし彼女とは付き合ってから仲良くなりたいと思っていた。


彼女とのお付き合いは一般的なそれと変わりはなかった。デートをしたり、家にお邪魔したり、時にはキスもした。キスする時は彼女のエスコートのおかげでファーストキスと言う生涯に一度しかないその感触は柔らかかった。

僕はこれからも彼女を好きでいると思うし、稼げるようになったら結婚をして、子供を産んで生涯かけて一緒にいるだろうと心の底から思っていた。


ふと、僕は思った。彼女の趣味はなんだろうと。家にお邪魔した時も趣味らしきものはなかった。アイドルが好きならグッズがあったり、動物が好きなら飼っていたりしているだろう。気になった僕は聞いて見ることにした。


「趣味って何かあるの?」


彼女はビクッと肩を震わせた。これ聞いてはいけない感じだがそうではなかった。口元は緩み笑顔を浮かべて彼女は言った。


「次のデートの時に教えてあげる」


満開の笑顔だった。一緒にいる中で一番と言えるほど彼女の笑顔は輝いていたようにと思った。戸惑いは多少あったが気にするのを辞めた。


「了解」


次のデート当日


「今日はどこに行くの?」


「行ってからのお楽しみ!」


いつもよりもテンションが高かった彼女はそんなには趣味を教えたいのかと僕は思っていた。


「ここだよ!」


そこは飲食店らしきところだった。少し古びた外見だったが店内に入ると高級店か位の綺麗さだった(まぁ高級店には行ったことがないのだが)。こんな感じだろうとイメージをわかせていた。


座席に着くとスーツを着た男性がメニュー表を持ってこちらに案内してくれた。「ごゆっくり。お決まりになりましたらお呼びください」と言ってから厨房へ戻って行った。


「何にする?」


「僕はこの三千円コースってやつにしようかな」


「じゃあ私もそれにする」


彼女は慣れているのかまた男性を読んで頼んでいた。趣味と言うこともあるのだろう慣れと言うやつだろう。僕は緊張しすぎて吐きそうだったが我慢していた。

料理はいわゆるコースで頼む系のところだった。本当に高級店みたいなところだった(行ったことはないが)。

料理は肉中心のだった。全て来るころにはお腹も膨れて帰ろうとしていた。

そこで彼女は今日の目的である趣味についてを聞いてきた。


「私の趣味これでわかった?」


僕はそこで疑問だった。彼女の趣味が分からなかったからだ。食べることが趣味? それとも肉料理が好きなのか? それとも店内が好きなのか? 僕には分からなかった。彼女をがっかりさせないためにも僕は嘘をついた。


「あ……わかったよ」


「ならよかった」


罪悪感は少し残ったがバレていないのでいいだろう。多分それは疑問の方が上だったからだろう。

ならよかったとはどうゆうことか? 食べることが好きなのなら直接言ってくれればいいのに疑問は深まるばかりだ。そんなことを浮かべていると彼女はまた意味不明な言葉を発した。


「じゃあバイバイ」


バイバイ? 一緒に帰るんじゃないの?

僕がその意味を知ることはなかった。だって僕はもう生きていないのだから。

これだから人付き合いは”友達から始めるべき”だと公開した時は手遅れだった。


彼女はあれからまた肉料理を食べていた。

読んでいただきありがとうございました

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