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13☆食材を探せ! Part 2

ア、アクセスが毎回どんどん伸びてく…。めっちゃ嬉しいもう感謝しかないです。

「こ、これ食べれるのかな……」


「わ、私も分かりませんよ……」


 僕は葉々下さんと二人で、今晩の食事に使う食材を探していた。


 山菜っぽいものはそこそこ見つかる。それ以外にも、体内に取り入れること自体は可能そうな物体はそこそこある。


 しかし毒性的に、食べて良いものか否かの区別がつかない。


「いやでも……、これは流石に毒……あるよね、絶対」


 燃えるような赤が、斑に印されたキノコ。

 それが今、僕らの目の前にデンと生えていた。


 空を目指すかのように生き生きと聳え立つ様は、食べた者に活力を与えそうな気もするが、同時に生命力を奪い取りそうな気配すらある。


「もしかしたら触るのもアウトなタイプでは…?」


――怖いこと言わないで欲しい僕さっき触ったんだから。


「ま、まぁ調城さんが見れば分かるって言ってたし、一旦回収しておくよ」


「そうですね」


 とはいえ、もし食べられると言われても食べたくはないが。


 僕は、何もない空間に壁を張れるという『防壁』を利用して、スコップを使うようにその灼熱色のキノコを籠に仕舞い入れた。


「私も野草には詳しいつもりだったんですけど、異世界の物は全く分かりません。調城さんは一体どうやって見分けているのでしょうか」


「んー、あの人の観察眼ってよく分からないレベルにあるからなぁ…。常人には見えない何かが見えてるのかも」


 例えばオーラとか。


「そんな馬鹿な……、とも言い切れないのが彼女の怖いとこですよね」


 僕らは顔を合わせて、乾いた笑いを浮かべ合う。


 さて、と僕は呟き、しゃがみ込んだ。

 土に触れると、それは比較的肥沃に思えた。


「地面を掘ったら何か出てきたりするのかな」 


「芋とか、ですか?何が出てきても不思議ではありませんけど」


 葉々下さんは僕のすぐ隣に屈み、土を摘まんでそれを眺める。


「む」


 不意に彼女の長い髪が僕の腕に触れ、同時に女の子特有の甘い匂いが鼻孔をくすぐった。

 葉々下さんは特に気にした様子もなく地面に視線を送っているが、前触れのない急接近に胸がドキリとする。


 僕は一歩横にズレ、距離を取った。


「――?どうしました?」


「いや別に?ここに何かが埋まっている気配を感じ取ってね。きっと大物だよ」


「はー、よく分かりますね」


 とってつけたようなテキトーな理由だったが、葉々下さんは心底感心したような声を上げる。そのあまりの素直さに、いっそ申し訳なさすら感じた。


「――では、地面の下は主之さんにお任せして、私は木に成っている実でも探してきます。お互い頑張りましょう」


「うん、了解」


 それだけ言うと、葉々下さんは手を使うこともなく、遥か高くの木の頂上まで登っていった。

 階段を駆け上がる程度の感覚で、枝の少ないこの木を踏破するその相変わらずの技術に息を洩らす。

 無駄のない流麗な跳躍は、さながら一つの芸術のようですらある。


 ただやはり、パンツは見えていた。


 僕はその光景を脳内で何度もリフレインしながら、防壁スコップを振り上げ地面を掘っていく。



――それから約一時間、僕らは上と下とで各自食料を探し続けた。


「お疲れ、葉々下さん。木の上はどんな感じだった?」


「色々な実が見つかりましたよ。この木の高さですから、木の実を取れる魔物はそう多くないのかもしれません。中には随分と大きなものも幾つか。――食べられるかは分かりませんけど」


 見れば、彼女の腰に巻いた籠は半分ほどが満たされていた。

 色合いが怪しいものもかなりあったが、量だけで見れば相当な収穫だ。


 対して僕はと言えば。


「主之さんはどう、でし――。……なんですかそれ」


「ホントにね。なんだろうね、これ」


 僕の籠に入っているのは、元気に暴れまわる大根みたいな何か。

 植物のクセに、籠から脱出しようと全力で抵抗してくる。


「掘り出した瞬間に物凄い速さで逃げ出したから、つい捕まえて籠にぶち込んじゃったんだけど、僕もこれどうしたものかと……」


 僕が話す間にも、籠を壊さんとばかりにガコンガコンとめっちゃ跳ね回っていた。

 この大根、生存意欲が高過ぎる。


「足も無いのにどうやって跳ねてるんですか…」


「籠を持てば分かると思うけど、魚みたいに反動使ってる。エグイ衝撃来るよ。持ってみる?」


「いえ、大丈夫です」


 遠慮している、とかの表情ではなかった。ホントに大丈夫そうな顔だった。


「……そっか」


「な、なんでそんな悲しそうな顔するんですか。たった一時間そこらで変な感情移入してませんよね?そんなよく分からない大根にペットみたいな感覚持つのは不味いですって」


 いやそこまでではないけど。


「とにかく戻ろっか。少し早いけど、僕はもう籠が使えないし」


「それ逃がせば良いのでは……」


 それは少し嫌かもしれない。



面白いと感じていただけた方は、是非ブクマして続きを追っていただけると嬉しいです!

ここまでかなり伏線ばらまいてますけど、ちゃんと全部回収するタイミングは考えているんで大丈夫です!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 気付いたら夢中になって読んでしまえるほど面白かったです、シルス様のキャラが最高でした!!
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