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妹が魔物化したけど可愛いので元の姿に戻したくない  作者: レイディアンと
第三章 陰謀の定石
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1 智朗、プルフェの口に○○○をつっこむ。そしてプルフェの服を濡らす。

 

 独多乃緒という人物が、魔物の体内から取り出した物質からエネルギーの抽出に成功した。


 それはまさか、魔素の取り出しに成功したということだろうか?


 記事の続きを読む。


 エネルギーの抽出方法は記事に書かれていないので不明。

 物質の大きさは砂粒程度。

 抽出したエネルギーを電力に変換し、物質の体積当たりのエネルギー総量を測定中。


 魔素っぽい記述は無い。よくわからんがエネルギーが抽出できたようだ。



「……兄さん、聞いてる?」



 ”可愛い”が顔を覗き込んできた。可愛い。


 記事に夢中で悠が話しかけてきたことに気づけなかったようだ。俺としたことが、一生の不覚である。



「ああすまん、なんだっけ?」


「お手伝いするの、本当に大丈夫なの?」


「大丈夫なんとかなる。帰ろう」


「う、うん……」




 ***




 家に着き、食事等を済ませ、悠が就寝した後、俺はある物を持ち物置の地下へと向かった。


 地下に下りた俺は椅子に縛り付けられたままのプルフェに問うた。



「プルフェ、魔物の死体から魔素の抽出は可能か?」


「ムグ?」



 おっと、ガムテープを取ってやらねば。



 ベリッ



「プ八ッ」


「さっきの質問に答えてくれ」


「……」


「どうした?」


「……」



 無視か。プルフェにはまだ抵抗の意思があるようだ。


 やれやれ。


 俺は地下に持ち込んだある物の容器の蓋をはがした。



「!?」



 その音に反応し、ビクッとするプルフェ。


 俺は容器を地下室のテーブルに置くと、金属製の匙を取り出した。


 匙で容器の中身をすくい、プルフェの口元へと運ぶ。



「プルフェ、口を開けろ」


「ふぐっ!?」


「口を開けろと言ってるんだ」


「……!」



 口を開けろと命じたのに、反対にギュッと口を閉めるプルフェ。


 仕方が無いので片手でプルフェの口をこじ開けようと試みる。



「う!? うむぐぐ! うぎぎ!」



 無理矢理口に指をつっこみ、横に引く。



「うにー!?」



 歯を食いしばるプルフェ。歯茎が丸見えである。


 そんな状態でも整然と並んだ歯と形の良い顎は美しく、彼女の美は崩れていない。


 流石は超常的存在である。


 だがこれでは匙を入れることができない。


 こういう場合、口移しで与える展開を映画などでたまに見た気がするが、口移しで相手の口に入れたとしても、飲む気が無ければ飲まないだろう。つまりああいう展開で口移しされる側は嫌がりながらも受け入れる気満々の……。



 ガブッ!



 プルフェが俺の指に噛みついた。


 しかし、レベルアップで頑丈になった俺の指にダメージは無い。


 噛みつきのおかげでプルフェの口に隙間が出来たので、そこに匙をつっこむ。



「むぐぅ!?」



 すかさず手でプルフェの口をおさえ、吐き出させないようにする。



「んんんぐぐぐ!」



 プルフェの唇がムニュムニュ動き、俺の手をくすぐる。



「んぐ……んむ?」



 突然、ガタガタと椅子を揺らし暴れていたプルフェが大人しくなる。



 ゴクリ



 プルフェの喉が動く。飲んだな。


 プルフェの口から手を外す。



「……智朗、今、私に何を飲ませたのです?」


「さあ? なんだろうな? それより質問に答えてくれ」


「……」


「魔物の死体から魔素の抽出は可能か?」


「……」


「ほら」



 俺は再びテーブルの上の容器を匙ですくい、プルフェの口元に近づける。



「……!」



 抵抗するプルフェ。だが彼女は既に一口、これを飲んでしまっている。


 プルフェの唇の中に匙を少し入れる。



「ん……む」



 口を開けないプルフェ。だが舌が動いている。匙の上に乗ったある物を舐めているのだ。



「どうした? さあほら、口を開けるんだ」


「あ……む……」



 二口目を口に含んだプルフェ。



「んん……ん……」


 ゴクリ



 堕ちたな。



「プルフェ、もっと欲しいか?」


「……」


 コクリ



 プルフェは無言で頷いた。



「もっと欲しかったら俺の質問に答えるんだ」


「な……! ひ、卑怯な!!」


「欲しくないのか?」


「うう……、わ、わかりました。答えます」



 超常的存在はプリンの二口目で堕ちた。



 ***


 

 プルフェは話した。


「魔物の体内には魔素を貯めこむ器官があって、そこに余剰魔素を貯めています。

 魔物が倒されると、魔物の身体から放出された魔素は倒した相手の体に移ります。

 しかし、器官にため込まれた魔素は魔石となって残ります。

 魔石は魔物によって性質が異なり、炎や水を発生させたり、傷を癒したり、色々な用途に使えて非常に便利です」


「本当か? 倒した魔物は解体して収納に入れてるが、魔石なんて見た覚えが無いぞ?」


「……」



 そこで黙り込むプルフェ。教えたくない情報でもあるのだろうか。



「ほらほら」



 プルフェの口元にプリンの乗った匙を運ぶ。



「くっ……、こんな、こんな物がこの世界にあるだなんて。抗えない、悔しい……!」


 パク


 プリンをパクつくプルフェ。



「魔石は収納画面から移動できる魔石管理画面で管理します」


「画面を移動? ……ああこれか」



 俺の頭の中に魔石管理画面が表示された。


 いくつも魔石が並んでいる。


 解体スキルを取得した後に倒した魔物の魔石は全てここに入っていたようだ。



「魔石の使用方法は?」


「投げて割ったり、粉々に砕いて飲んだり、様々です」



 独多が調査している魔石はどんな使用方法の魔石なのだろうか?


 水色の魔石を取り出し、握って圧力を加えてみる。



 ピュー



「ひゃ! 冷た!」



 魔石から飛び出した水がプルフェの顔にかかる。



「おっと」



 ピューピュー



 水の止め方がわからず、焦って力を入れたらさらに水が出た。



「うぶっ!? ぶぺっ! げほっ! ちょっと! ともろ、ぶ! 智朗!」



 力を抜いたら水の出は治まった。


 綺麗な銀髪から水を滴らせつつ、プルフェは俺に無言の抗議をした。



「……」


「すまん」



 プルフェの顔から流れた水がプルフェの着ている服を濡らした。


 赤いケープの下、白いローブが体にピタリと張り付き、プルフェの体のラインを浮き上がらせる。


 服を乾かしてやらねばなるまい。


 赤い魔石を取り出して手に握り、少しだけ力を加える。



 ボボッ!



 魔石から小さく火が出たので、すぐに力を入れるのを止めた。


 この魔石は与えられた圧力によって火を放出するようだ。


 こんな地下室で火など使ったら酸素が無くなって呼吸困難になってしまう。


 ……なるよな?


 魔石は火自体を放出している? 何かを燃やしているわけではない?


 だとしても、放出された火の回りで酸素は消費されるよな?


 ……。


 わからん。


 わからんので火の魔石を使うのはやめておく。



 緑色の魔石を取り出し、少しだけ力を加える。



 ヒュウッ!



 魔石から気体が放出された。


 この魔石は与えられた圧力によって気体を放出するようだ。


 何の気体かはわからないが多分これは風の魔石で、放出されているのはただの空気だろう。


 これなら地下室で使っても酸素欠乏症になることは無さそうである。


 だがこれはこれで埃が舞うという問題がある。地下室の掃除など何年もしていないので、えぐい量の埃が舞うことであろう。


 肺へのダメージは高そうである。



「……智朗、さっきから何をしているのです?」



 不安そうな声でプルフェが問いかけてきた。



「ん? いや、お前の服濡らしちゃったから乾かしてやろうと思って……。あれ?」



 見ればプルフェの服は既に乾いていた。


 そういえばプルフェの服は自動修復するのだった。水濡れも異常と判断されて修復されたのだろう。



「それよりもっと……、その……」



 プルフェがモジモジする。



「ああはいはい」



 俺は容器に残ったプリンを全てプルフェに与えた。




 ***




 地下室から出た俺はダサい服に着替えた。


 独多乃緒の居る研究所に潜入し、魔石についてどこまで知られているかを調査するためである。


 研究所の場所をスマホで調べる。


 結構近い。


 最低限の睡眠が取れるくらいの時間には帰って来たい。


 マスクとサングラスをした俺は目的地に向けて出発した。


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