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灯火の魔導師  作者: 稲葉 鈴
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エディの長い一日 -4

前回のあらすじ

エディは教会にある学校でお勉強を始めました。

ペリーヌ、ヨハネス、マノロという年の近い子と四人で学びます。

 教会の別棟の教室で、教壇代わりの机の前に持ってきた椅子に腰かけて、タノ司祭は本の頁をめくる。教室には机が二つずつ横に並び、合計で六つ置いてあった。その内の四つの席に子供たちが座っている。女の子がひとりに、男の子が三人。彼女たちはみんな真剣に、そして楽しそうにタノ司祭を見つめていた。


「さてペリーヌさん」

「はい、先生」


 タノ司祭に指名されて、嬉しそうにペリーヌは手を挙げた。タノ司祭はゆっくりと、彼女に頷きかける。


「セルベル文字のアルファベットは、何文字かな?」

「えっと、二十六文字です」

「そう、基本文字は二十六文字だね」


 セルベル文字のアルファベットには、基本文字の他に追加文字が九種類ある。この追加文字を総称してグレタ文字と呼ぶ。このセルベル文字とグレタ文字、合計六十四文字をサランドナ文字と呼び、サランドナ文字は教会の経典に使われている。

 そこまで説明して、タノ司祭はエディに目をやった。エディは困惑したように、首を小さく傾げている。


「エディ君、これは今すぐ覚えなくてもいい事ですよ。ただ、知っておいた方が後々楽しくなるだけです。

 さて皆さんが覚えるのは、難しいことを言いましたがセルベル文字の二十六文字のみになります。これは正しいかな? ヨハネス君?」


 悪戯っぽく笑って、タノ司祭は最年長のヨハネスに問う。


「えっと、セルベル文字は頭の一文字が大文字になって、後は小文字になるから、えぇと全部で、五十二文字?」

「そうだね。まあいくつか、大文字と小文字で大きさが同じだけの変わらない文字もあるから、覚える必要があるのは四十文字と少しくらいになるかな」


 タノ司祭は椅子から立ち上がると、エディの所まで来て、机に一枚の紙を置いた。その紙は古く、茶色くなっていて、あちこち破れていた。

 エディの前の席に座っているマノロが振り返ってその紙をのぞき込む。ペリーヌとヨハネスの位置からは、タノ司祭の体が邪魔をして覗きこめないようだった。


「さてエディ君、これがセルベル文字になります。上の行に書いてあるのが大文字で、その下の行に書いてあるのが小文字です。

 エディ君はまず、このお手本の文字をまねて書く練習をしてもらいます。お手本を見なくても書けるようになったら、みんなと同じように単語の練習を始めます」

「はい、先生」

「いいお返事です。ペリーヌさん、ヨハネス君、マノロ君は昨日のおさらいを始めましょう。

 それじゃあ皆さん、黒板とチョークを取りに来て」


 教壇代わりの机の引き出しから、タノ司祭は人数分の小さな黒板と、チョークと、チョークけしを取り出した。それをひとりひとりに手渡しながら、あわせて手本となる紙も渡す。


「それじゃあ今日ペリーヌさんはここ、Aの続きから始めましょう。今日中には終わりそうですね。分からないところがあったら、声をかけてください。

 マノロ君は、Bのはじめからですね。しばらくは、意味が分からないものが続きそうですが……まぁ、覚えても死ぬまで使わない単語も多くあります」


 タノ司祭の苦笑交じりの言葉に、子供たちはやっぱりあるんだと顔を見合わせて笑った。ペリーヌもマノロもヨハネスも、エディにも笑いかけてくれる。


「さて、みんなより少しお兄さんのヨハネス君は、Vの途中からですね。やれやれ、このままだとヨハネス君は誕生日が来る前に書き終ってしまうな。終わったらどうするかを、今度ご家族と相談させてもらえるかい?」


 グレタ文字について、タノ司祭が教えることもできる。学びたい、と思うのなら、領都にある上の学校に進んでもいいし、神学校に行ってもいいし、魔力があるのなら王都にある魔法学院へ進学してもいい。だがそれを決めるのはタノ司祭でも、ヨハネスでもなく、ヨハネスの両親だ。

 ヨハネスの希望はそれなりに考慮されるかもしれないが、どれだけ考慮したとしても、上の学校に行くには金がかかる。


「分かりました、両親に伝えておきます」


 ヨハネス自身は、特に上の学校に行って、この地の領主や王のために仕えたい、という願望は持っていない。両親と司祭様がいいと言ってくれたら、ここでもう少し勉強できたらいいな、と思う程度だ。彼の夢は、父の店を継ぐことにあるから。


なんか今回説明文祭りになった。

文字めっちゃ詰まってる。


最初の内はね、仕方ないね。


20190804 要らない説明文をごりっと削除しました。

そのためとても短くなりました。

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