貴族派と新学年【十六】
【※とても大切なお知らせ!】
本日、新連載をはじめました! ジャンルは一億年ボタンと同じ、『最強ファンタジー』です!
タイトル:断罪された転生聖女は、悪役令嬢の道を行く!~聖女のいない世界線、後悔したってもう遅い~
タイトルに『悪役令嬢』と入っていますが、完全に男性読者向けの作品なので、絶対に面白いと思うので、どうかぜひ『第一話』だけでも読んでみてください! お願いします!
このページの下にタイトルを張ってありますので、そちらを押すと読めます!
ボロボロになった千刃学院の本校舎に入り、ひび割れた廊下を歩き、レイア先生が引き籠っているであろう理事長室に到着。
扉をコンコンコンとノックすると、「入れ」という先生の声が返ってきた。
俺の見立て通り、彼女はここにいたようだ。
「――失礼します」
「……なんだ、アレンか」
いつになく真剣な表情の先生は、仕事机に張り付いたまま動かない。
彼女のことをあまり知らない人が見れば、真面目に仕事をしているようにしか映らないが……。
俺はもう知っている。
先生がただ漫画を読んでいるだけだということを。
「今週号はどうですか?」
「……今のところ、この読み切りが熱いな。まだまだ粗削りだが、作者の『個性』をひしひしと感じる。後もう少しで読み終わるから、しばしそこで待っていてくれ」
「はい」
それから待つこと三分、
「ふぅ……今週もまた素晴らしかった」
ホクホク顔の先生がゆっくりと顔を上げる。
「それでどうした、何かあったのか?」
「はい、実は――」
それから俺は先ほどあった、ルーとのやり取りを伝えた。
なんだか告げ口をしているような気がして、あまり気持ちのいいものじゃなかったけれど……。
モノがモノということもあって、相談せずにはいられなかったのだ。
「……そうか、ルー=ロレンティが一億年ボタンのことを……」
先生は怪訝な表情を浮かべ、静かに考え込んだ。
「……結論から言えば、『わからん』というのが正直なところだ。私の知る関係者の中で、ルーに一億年ボタンを話すようなやつはいない。おそらく彼女は、何かしらの『独自ルート』で、ボタンのことを知ったのだろう」
「独自ルート……」
一億年ボタンの情報は、ほとんど外部に流れていない。
これを知っているのは、あの地獄を経験した者か、もしくは……黒の組織の関係者か。
……なんだか嫌な予感がする。
「ただまぁ、ルーは一年生離れした剣術と膂力を誇り、入学時点で既に魂装を会得していた。時の仙人が彼女に接触し、一億年ボタンを渡した――すなわち、ルー=ロレンティが『超越者』であるという線も考えられる」
「そ、そうですよね!」
これ以上、自分の周りに裏切者がいるだなんて考えたくなかった。
「だがしかし、物事は常に最悪の事態を考えて動かねばならん――十八号」
「はっ」
「しばらくの間、ルー=ロレンティを監視しろ。もしも敵国と繋がっているようならば捕獲。可能な限り、生きたままでな」
先生は冷酷にそう言い放ち、
「承知しました」
十八号さんは腰を深く折った。
「あ、あの、監視って……それに生きたままっていうのは……っ」
「念には念を、というやつだ。ルーが白ならばそれでよし。万が一にも黒ならば……そのときは、覚悟をしてもらう。キミもつらいだろうが、理解してくれ」
「……はい」
納得はできない。
本心からの納得はできないけれど、仕方のないことだとも思った。
もしルーと組織が繋がっていたとしたら、きっとまた碌でもないことが起こる。
最近の奴等は、本当に無茶苦茶だ。
今回の強襲もそうだし、どれだけの被害が出るか、想像もつかない。
だから、先生のこの対応について、納得はできないけれど、仕方がないと思った。
「十八号を監視に付けはするが、それも完璧ではない。今後ルーからさらなる接触があったり、新たな情報を入手した際は、すぐに私へ報告してくれ」
「わかりました」
「うむ。ではまた、仕事に戻ってくれ。アレンの力は、復興に必要不可欠だからな」
先生はそう言って、週刊少年ヤイバを開いた。
おそらく二周目に入るつもりだろう。
「その前に……一つ、いいですか?」
「なんだね?」
「俺は自分の後輩を――ルーのことを信じています。そもそも彼女が敵と繋がっているとは思いませんし、もし万が一そうだったとしても、きっと何か理由が……深い事情があるはずです!」
俺がそう主張すると、先生は真剣な表情を浮かべた。
「では、万が一の話をしよう。万が一、ルーが敵に脅されて、仕方なく組織に与していた場合、アレンはどうするつもりなんだ?」
「もちろん斬ります」
「……斬る?」
彼女は意外そうに目を丸くする。
「ルーを縛るしがらみ、その全てを斬り払い、彼女のことを助け出します」
「ほぅ……敵は強大だぞ? もしかしたら今回の件は、バレル=ローネリアが絡んでいるかもしれん」
「関係ありません。バレルだろうがなんだろうが、俺の友達に手を出すのならば――斬る。俺の剣術は、そのためにあります」
しばしの間、お互いの視線が真っ直ぐに交錯し――。
「ぷっ、くく……っ。あっはははははははは……ッ」
何故か突然、先生が大笑いし始めた。
「はー……あのバレルを斬る、か。これはまた随分と大きく出たな!」
「おかしいですか?」
「いや、いい。アレンはそれでいい。それがキミの――アレン=ロードルだけの強さだ」
「えっと……それは褒められているんでしょうか?」
「もちろん、これ以上ないほどにな」
彼女はそう言って、ニッと笑った。
「他の誰ぞがそれを言えば、『何を馬鹿なことを』と呆れるだけだ。しかし、アレンならば『もしかして』と思わせてくれる。キミには本当に期待しているよ」
「あ、ありがとうございます。それじゃ自分は、復興作業に戻りますね」
「うむ、頼んだぞ」
こうして俺は、理事長室を後にした。
しかしこの時の俺は、まさかあんなことになるなんて、知る由もなかった。
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