桜の国チェリンと七聖剣【百八十八】
みんなの待つ病室へ戻ると、
「アレン、大丈夫だった!?」
「少し長かったように思えたが……何か問題でもあったのか?」
「アレンくん、検査の結果は……?」
リア・ローズ・会長が、すぐに駆け寄って来てくれた。
「大丈夫、なんともなかったよ」
「あぁ、よかったぁ……」
「そうか、それは何よりだ」
「とりあえず、これでみんな一安心ね」
三人がホッと胸を撫で下ろす一方、
「だから言ったじゃないか。アレンくんなら、絶対に大丈夫だって」
「リリムの言う通りなんですけど」
リリム先輩とフェリス先輩は、仲良くバリボリと駄菓子を食べながら余裕の構えを見せた。
「そう言えば……。俺はもう退院していいみたいなんですが、みんなはどうでしたか?」
「私は大事を取って、三日ほど様子を見る必要があるって言われたわ」
「右に同じくだ」
「私も霊力がちゃんと回復するまでは、入院しておかなきゃ駄目みたい」
「リリム=ツオリーネの回復力をもってしても、後数日は掛かるようだぜ……」
「まだ安静にしておく必要があるっぽいんですけど」
どうやらみんなの退院は、まだ少し先になるみたいだ。
俺たちはその後、全員の無事を喜びつつ、ちょっとした雑談に興じる。
あまり馴染みのない病院食のことや肌触りのいい入院着のことなど、話題はどれも本当に些細なものばかり。
だけど、今はこれでよかった。
この雑談は、血生臭い殺し合いの場から、穏やかな日常へ戻るための儀式なのだ。
「さて、と……それじゃ俺は、このあたりで失礼しますね」
時刻は二十二時三十分。
入院患者でもない俺は、そろそろ帰らなければならない時間だ。
「アレン、明日もお見舞いに来てね?」
「お前と一緒にいると安心するんだ。……よかったら、明日も来てくれると嬉しい」
「あぁ、もちろんだ」
リアとローズと約束し、
「アレンくん、おやすみなさい」
「おやすみなさい、会長」
会長におやすみの挨拶を告げ、
「なぁアレンくん。明日はなんかこう、もっと体に悪そうなファストフードを持ってきてくれ!」
「暇つぶしの雑誌的なもの、お願いしたいんですけど……?」
「はいはい、適当なものを見繕ってきますね」
リリム先輩とフェリス先輩のお願いを仕方なく受諾。
そうして俺は一人、オーレスト国立病院を後にする。
ちなみに……<涅槃水晶>の不吉な占い結果は、誰にも話さなかった。
肉体・精神共に疲弊しているみんなに、余計な心配を掛ける必要はない、そう判断してのことだ。
【読者のみなさまへ、メッセージ!】
大晦日更新!
今年一年、私(月島秀一)の作品をたくさんお読みいただき、ありがとうございました!
来年は一億年ボタンの更新をググッと進めつつ、現在執筆中の新作をババンと公開して、かなり活動的な一年にしたいと思っております!(ちなみについ先日、一億年ボタンの漫画版に『二度目の重版』が掛かりました! ありがとうございます!)
後それから……一億年ボタンの書籍版には、大量の加筆修正&かっこいい+可愛いイラストが収録され、Web版からの読者様も楽しめるようになっております! 年末年始のおともに、ぜひいかがでしょうか?
それではみなさま、よいお年を!
月島秀一




