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桜の国チェリンと七聖剣【百六十九】

 アレンたちが飛空機(ひくうき)のもとへ駆け出したその瞬間、


「誰が『逃げてもよい』と言った? ――押し潰せ、黒鯨(くろくじら)!」


「旦那ぁ、あっしのことを無視せんでくださいよぉ! ――毒龍の死舞(ヴェノム・ワルツ)ッ!」


 巨大な砂鯨が天高くから落下し、九体の毒龍が牙を剥く。


「くっ――白龍の鱗(ホワイト・スケイル)ッ!」


「なんとかこれで――水精の鏡(アクア・ミラー)ッ!」


 リアとシィはすぐさま魂装を展開、それぞれの防御術を発動する。

 攻撃を真っ正面から受けるのではなく、いなすような角度で生み出された二つの盾だが……彼我の実力差は歴然。


「ブォオオオオオオオオ……!」


「ジュァアアアアアアア……!」


 砂鯨の巨体は白炎を包み込み、毒龍の牙は水鏡を噛み砕いていく。


「こんなの……出力が違い過ぎるわ……っ」


「駄目、もたない……ッ」


 コンマ数秒後、二つの盾が儚くも砕け散り――それと同時にバッカスが力強く右足を踏み鳴らした。


「――千樹(せんじゅ)観音(かんのん)ッ!」


 七本の巨大な根が地面から立ち昇り、押し迫る砂鯨と毒龍をいとも容易く叩き潰す。


「幻霊<億年桜>か……ッ」


「その死に体で、まだこれだけの力を誇るとは……。さすがはバレル陛下のお墨付きですねぇ……」


 フォンとディールは憎々しげにそう呟き、静かに標的を変更した。


「ばらららら、なんとも軽い攻撃じゃのぅ……!」


 バッカスはそんな挑発を口にしながら、必死に余裕の笑みを作ってみせる。


 これは二人の意識を自分に引き付け、アレンたちが逃げる時間を確保するための行動。

 実際のところ、彼はもう限界ギリギリだった。


(はぁはぁ……っ。まったく、情けない限りじゃのぅ……)


 千樹観音(せんじゅかんのん)は本来『千』の根をもって、敵を串刺しにする技なのだが……。

 瀕死のバッカスでは、『七』の根を操ることしかできなかったのだ。


「これ以上、横槍を入れられても面倒だ。まずは貴様から始末するとしよう」


「あんまり時間もねぇですし、一瞬で終わらせやすよぉ……!」


 フォンとディールは大地を蹴り付け、一足で間合いをゼロにした。


 それに対してバッカスは、長年連れ添った愛剣を大上段に構える。


 しかし、


「桜華一刀、流……ッ!? ごふ、がは……っ」


 千樹観音(せんじゅかんのん)を使った反動が、一気に襲い掛かってきた。


 膝を突いて大きくむせ返る彼のもとへ、二振りの凶刃が迫る。


「ふっ、無駄に寿命を縮めただけだったな。正心(せいしん)流――正突(せいとつ)の斬ッ!」


「心臓、いただきでさぁ! ――毒龍の咬撃(ヴェノム・ヴァイト)ッ!」


 フォンとディールの鋭い突きは、


「が、はぁ……っ」


 バッカスの心臓を正確に刺し穿(うが)った。

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またまた読者の方から、素晴らしいレビューをいただきました! ありがとうございます!


そして本日は『コミック版』一億年ボタンの更新日!

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それと……この一億年ボタンを読んで、

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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦いのシーンもとってもかっこよくて一億年ボタンの世界に引き込まれる、そして何よりアレンの周りのリアたちがかわいい
[気になる点] アレンの能力は影ではなく闇なんですよね?
[気になる点] アレン意外に冷静だな 仲間の死とか嫌いそうだけど [一言] 敵側の方がなんか好き
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