桜の国チェリンと七聖剣【百五十一】
脇腹を抉られてから数秒が経過した頃、
「が、ぁ……!?」
突然傷口が燃えるような熱を持ち、名状し難い激痛が走った。
すぐに視線を向けるとそこには――毒々しい紫の紋様が、くっきりと浮かび上がっている。
(くそ、やられた……っ)
ローズたちと同様、俺もディールの毒に侵されてしまったようだ。
(それにしても……痛い、痛い痛い痛い痛い……ッ。なんだこれは、冗談抜きで死ぬほど痛いぞ……!?)
その激痛は、想像の遥か上を往った。
反射的に脇腹へ闇を集中させ、すぐさま治療を始めたが……。
(やっぱり駄目か……ッ)
結果はさっきと同じ。ゼオンの闇をもってしても、この毒を消滅させることはできなかった。
そうして俺が毒の対応に困っていると、
「――ねぇねぇ旦那ぁ、<九首の毒龍>の味はどうです? よろしければぜひ、感想のほどを教えていただけませんかねぇ?」
ディールは肩口から生えた毒龍の首を撫でながら、随分と趣味の悪い質問を口にした。
「……あぁ、思っていたより大したことないな」
「ぷっ、くくく……まったまたぁ! そんな顔を青くして、玉のような汗を浮かべてぇ、強がってんのがバレバレですよぉ?」
奴は手をパタパタと振って、相も変わらず癇に障る喋りを披露した。




