桜の国チェリンと七聖剣【百四十八】
「く、くくくくく……っ。あっはははははははは……!」
いったい何がおかしいのか、ディールは突然壊れたように笑い出した。
「いやぁお強いお強い……。これでまだ『魂装使い』というのだから、本当に末恐ろしい御方でさぁ……。あのバレル陛下が、わざわざ名指しで『警戒せよ』というわけだ」
奴は大きなため息をつきながら、魂装<英雄殺しの劇毒>を手放した。
それは重力に引かれて地面に突き刺さり、やがて光の粒子となって消えていく。
(これは……諦めた、のか?)
俺がそんなことを考えていると、
「アレンの旦那は、いずれもっと強くなりやす。このまま順調に成長を続け、十年・二十年と経つ頃には、きっと皇帝直属の四騎士や七聖剣に肩を並べていることでしょう。下手をすれば、もっと厄介な存在になっているかもしれやせん……」
ディールは「まいったまいったぁ」と呟き、小さく首を横へ振る。
そしてその直後――。
「ですからそうなる前に、確実に殺せる今の内に――しっかりと芽を摘んでおきやしょう」
「~~ッ!?」
とてつもない悪寒が全身を走り抜けた。




