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桜の国チェリンと七聖剣【百四十】
「す、凄い……。元皇帝直属の四騎士をたった一人で圧倒するなんて……っ」
リアのそんな呟きは、俺たちの雄叫びにかき消された。
「うぉおおおおおおおお……!」
「はぁああああああああ……!」
一合二合三合――互いの剣が激しくぶつかり合い、眩い火花が舞い上がる。
「――らぁ゛ッ!」
「ぐっ!?」
俺の放った斬り上げにより、ディールの両腕が跳ね上がった。
そのわずかな隙を見逃さず、クルリと半転し――。
「ハァッ!」
がら空きの腹部へ強烈な回し蹴りを叩き込む。
「が、ふ……ッ!?」
百八十を超える大きな体が地面から離れ、十メートルほど後ろへ吹き飛んだ。
(……いける。この調子なら、勝てるぞ……!)
純粋な身体能力と剣術は、完全にディールの上を往く。
(桜の雫でバッカスさんやセバスさんという、超一流の剣士と斬り結んだからだろうか……)
奴の動きや息遣いが、手に取るようにわかった。




