桜の国チェリンと七聖剣【百三十七】
「お前が斬ったそばから回復していくというのなら、それを上回る速度で斬り刻むだけだ……!」
俺は真の黒剣を構え、力強く地面を蹴り付けた。
すると、
「その加速には――もう慣れやしたよぉ……!」
ディールは勢いよく振り返り、背後を取ろうとしたこちらの動きに対応してきた。
「――猛毒の爆槍ッ!」
奴が大きく両手を広げた瞬間、
「……ッ!?」
堂々と晒されたその腹部から、十二本の槍がとてつもない速度で放たれた。
見るも毒々しいそれは、まず間違いなく毒槍だろう。
「旦那なら『串刺し』にゃならんでしょうが、一発当たればそれでおしまいでさぁ……!」
完璧なタイミングで差し込まれたカウンター。
その全てを回避することは難しく、闇の防御も間に合わない。
(それに何より、厄介なのは『十二』という数だ……)
小回りの利く八咫烏では迎撃しきれず、断界や冥轟はこのわずかな時間で放てる技じゃない。
回避不可・防御不可・迎撃不可という完全に『詰みの状況』。
しかしそれは――バッカスさんとの修業をこなす前の俺ならば、という条件付きの話だ。
「八の太刀――八咫烏・連!」
刹那、十六の斬撃が空を駆け、
「なっ、にぃ……!?」
十二の毒槍は一呼吸のうちに斬り刻まれた。




