桜の国チェリンと七聖剣【百三十二】
「いやぁしかし、みなさん本当にい~ぃ声で鳴いてくれやすねぇ……」
頬を紅潮させたディールは、ローズたちの苦鳴に耳を傾けた。
「ねぇ、アレンの旦那ぁ……。あちらのお嬢さん方に盛った毒、いったいどんなものか知りたくありやせんか?」
「……」
こちらが無言のままでいると、奴は嬉々として語り始める。
「それは……『細胞を殺す猛毒』。あっしの生成できる毒の中で、一番痛みの強いやつでさぁ。――ほらほらぁ、旦那もちょっと想像してみてくださいよぉ? こうしている今も、あのお嬢さん方の全身をとんでもねぇ激痛が走り回っている。くくくっ、あぁ……こりゃたまらねぇや……興奮が収まりませんねぇ……ッ」
ディールは両手で体を抱き、ドロドロとした醜い感情をぶちまける。
「あなたみたいな下種、生まれて初めて見たわ……ッ!」
リアは敵意を剥き出しにながら、原初の龍王を構えた。
俺はその動きを制するようにして、一歩前に踏み出す。
「……悪い。リアはローズたちを守ってやってくれないか?」
すると――彼女は驚愕の表情を浮かべた後、すぐさま首を横へ振った。




