桜の国チェリンと七聖剣【百二十九】
(……そろそろ仕掛けるか)
濃密な闇を剣に集中させ、疑似的な黒剣を作り上げる。
そうして力強く地面を踏みしめたそのとき、
「んー、もう回ってくる頃かと思いますが……。お加減のほどは、いかかでございやしょうか?」
ディールはこちらを気遣うようにして、そんな問い掛けを投げて来た。
すると次の瞬間、
「これ、は……!?」
「あ、れ……?」
ローズと会長の体がグラリと揺れ、そのままゆっくりと倒れ伏してしまった。
「ろ、ローズ、会長!?」
「大丈夫ですか!?」
俺とリアが慌てて、二人を抱き起こすと――いったいどういうわけか、その首筋にはリリム先輩とフェリス先輩と同じ、紫色の紋様が浮かび上がっていた。
「うぅ、ぐっ……。何故、だ……ッ」
「はぁはぁ……。ぃ、痛いよ……」
ローズと会長は額に大粒の汗を浮かべながら、荒く鋭い息を吐いた。目尻には涙が浮かび上がり、その頬は熱に浮かされて紅潮している。
(ど、どういうことだ……!?)
この状況を見る限り、ディールの毒に侵されていることは間違いない。
だけど、二人はしっかり毒玉の拡散を防いでいたはずだ。




