桜の国チェリンと七聖剣【百二十七】
「いやぁ困った困ったぁ。まさかこんな簡単に解毒方法がバレちまうなんて、完全に想定外でさぁ……」
ディールはボリボリと頭を掻き、胡散臭い困り顔を作った。
「あっしのような能力は、世界に五人といないはずなんですが……。さすがは二百年もの時を生きる化物。どうやら過去に『未知の毒使い』と戦った経験があるみたいですねぇ……」
奴は肩を竦めながら、大きなため息をこぼす。
その行動一つ一つがどこかわざとらしく、なんとなく小馬鹿にされているような気がした。
「……アレンくん、リアさん、ローズさん。力を貸してもらえるかしら?」
大切な幼馴染を傷付けられた会長は、瞳の奥に強い怒りを燃やしながら静かに剣を構える。
「はい!」
「もちろんです!」
「無論だ」
俺たちはディールに切っ先を向けたまま、即座に返答をした。
(たったの一手で、リリム先輩とフェリス先輩は戦闘不能にされてしまったけれど……)
それでもまだ四対一。
数的有利がこちらにあることを、しっかりと活かさなければならない。




